このブログでも度々ご紹介しているように、JR北海道では度重なる事故等による事業改善命令を契機に、安全な鉄道サービスを継続していくための経営再生が必要となっています。
そのため、これまでも同社単独で維持することが困難な線区を公表し、持続的な交通体系の構築に向けた取り組みを行ってきているところです。
この度、JR北海道では、2031年度までの長期経営ビジョン及び2023年度までの中期経営計画、そして2020年度までの事業計画(アクションプラン)を公表しました。
「JR北海道グループ長期経営ビジョン」等について|JR北海道
概要は、以下の通りです。
詳細は、上記発表資料をご覧下さい。
長期経営ビジョン・中期経営計画・事業計画の合計57ページにも渡る資料となった、今回JR北海道が発表した経営計画。
資料内にも記載があるように、国の支援として2019年度・2020年度において、400億円台の支援額が措置されることとなっていますが、今回の計画はその支援の条件として策定が求められていたものとのことです。
内容としては、2031年度(北海道新幹線札幌開業時)に連結最終利益黒字化達成による経営自立を目指すため、JR北海道と地域の関係者が一丸となって取り組む内容を様々な観点で記しています。
その中には、好調が続く新千歳空港アクセスの充実や運賃値上げといった増収策の一方、「赤・茶」記された単独維持困難な線区の転換、「黄」線区の利用促進による支出の抑制による経営健全化が見て取れます。
個別の施策をみてみると、中期経営計画で興味深い記述が多いように感じました。
快速エアポート関連では、来春のダイヤ改正では1時間あたり1本増発が実施されるとともに、2024年度までに721系が733系に置き換えられることとなります。
更に、中期的には新千歳空港アクセス鉄道のスルー化(苫小牧方面への延長)の検討も記されています。
JR北海道の中でも、インバウンド需要の高まりとともに混雑が激しくなっている「快速エアポート」ですが、北海道新幹線開業後も引き続き収益源の一つとなるとも考えられるだけに、積極的な投資が目に付きますが、逆に721系が「快速エアポート」として運用されるのもそう長くなくなったというのも明らかとなりました。

▲721系「快速エアポート」(手稲駅、2019年1月)
今後の車両置き換えの点で言えば、特急「北斗」の281系についても、2022年度に261系への置き換えが記されました。
1994年に営業運転を開始して、今年で25年となりますが、流石に老朽化の進行は避けがたい状況であるといえるので、こちらも「北斗」として見られるのもあとわずかといえるでしょう。
一方、281系自体が廃車となるのか、それとも「オホーツク」「大雪」用キハ183系の置き換えとして転用されるのか、といった点には言及がありませんでしたので、この辺りも引き続き注目しておく必要があるといえるでしょう。

▲281系特急「北斗」(函館駅、2016年7月)
加えて車両置き換えで気になるのは2両ワンマン電車の新製でしょうか。
意外な話かも知れませんが、現在JR北海道では電車のワンマン車両が存在していません。
一方で、函館本線の岩見沢〜旭川間のように、比較的閑散でありながら車掌が乗務している区間や、室蘭本線の岩見沢〜東室蘭間のように、需要の関係から3両編成では余剰が生じるためか、電化区間でありながらキハ141系等の気動車による運行となっている区間もあります。
これらの線区で、老朽化による車両の置き換えに際し、需要に合わせた2両編成の電車を導入することが明記されていますので、上記線区で残っている721系やキハ141系についても、何らかの動きがでてくるものと思われます。
持続可能な交通体系の構築では、「赤・茶」線区のバス等への転換方針がほぼ確実となった書きぶりである一方、「黄」線区では、地域の協力を前提に、存続を基本とした書きぶりになっているのが特徴といえるでしょうか。
勿論、状況が厳しいことには変わりなく、黄線区でもバス転換への可能性も残っていますが、運賃値上げの理由として「黄線区」の維持も記されているところをみると、存続を基本方針としているのも感じ取れたりしました。
とはいえ、繰り返しではありますが、沿線地域も不断の取組が求められているのは、当然の通りであるでしょう。
以上、長々と渡りましたが、今回発表されたJR北海道の長期経営ビジョン・中期経営計画等について記してみました。
路線の見直し等は既に当ブログでもご紹介していますが、車両の置き換え等は、今後の投資内容が詰まってきたことから、今回初めて目にした項目も多いように感じました。
今後、これらの計画を元にして、JR北海道が、そして北海道の鉄道がどう変わっていくのか、遠いところからでは、本当に眺めていることと、時折利用することしかできないわけではあるのですが、引き続き見守っていきたいと感じたニュースでありました。
●関連ニュースサイト:
JR北海道、400億円の収支改善目指す=中長期計画 | 乗りものニュース
快速エアポートの増発・増結など、JR北が長期経営ビジョンなどを発表 - 鉄道コム
●関連ブログ:
「JR北海道グループ中期経営計画2023」より: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」
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そのため、これまでも同社単独で維持することが困難な線区を公表し、持続的な交通体系の構築に向けた取り組みを行ってきているところです。
この度、JR北海道では、2031年度までの長期経営ビジョン及び2023年度までの中期経営計画、そして2020年度までの事業計画(アクションプラン)を公表しました。
「JR北海道グループ長期経営ビジョン」等について|JR北海道
概要は、以下の通りです。
●JR北海道グループ長期経営ビジョン 未来 2031
JR北海道が抱える赤字要因について、同社自身の経営努力に加え「持続可能な交通体系の構築」「北海道新幹線の収支改善」「地域と利用者に理解をお願いする課題」の3つの経営課題をクリアするため、「開発・関連事業の拡大による事業構造の変革」「輸送サービスの変革」「鉄道オペレーションの変革」の3つの戦略により、2031年度の経営自立を目指す。
・開発・関連事業の拡大による事業構造の変革:
関連事業の売上を1.5倍(約800億円→約1200億円)に拡大
(ホテル・不動産事業の拡大、新幹線口の再開発、生活関連事業の展開)
・輸送サービスの変革:
1:北海道新幹線
札幌〜東京最速4時間半への挑戦のため、共用走行問題の解決・320km/hの高速化に挑戦。
また同時に、札幌〜函館1時間圏の創出による道内輸送の変革を実現
2:新千歳空港アクセス
インバウンド受け入れ体制の強化のため、新千歳空港アクセスを更に進化。
2020年春ダイヤ改正で快速エアポートを増発(5本/時)とともに、2023年度・2024年度に721系車両を733系車両へ更新することで、定員を増加。
3:維持困難線区
黄線区(輸送密度200人以上2,000人未満の線区)では、関係者とともに維持する仕組みづくりや利用促進や経費節減を進める一体的な取り組みを進めるとともに、あるべき交通体系を議論。
赤・茶線区(輸送密度200人未満の線区)では、同社による代替交通確保等を支援。
・鉄道オペレーションの変革
列車運行の安全性向上、労働集約型の業務の軽減、メンテナンスの自動化・省力化、鉄道を取り巻く情報のネットワーク化を実施
●JR北海道グループ中期経営計画2023
「長期経営ビジョン」の3つの戦略に基づき、2023年度までの5年間で合計1,770億円の設備投資を実施。
加えて「安全計画2023」に基づき、修繕費として1,765億円を計上。
経営基盤の強化として、以下の施策等を実施。
・北海道新幹線の取り組み
(JRグループ及び旅行会社との連携、修学旅行の取り組み拡大、高速化の実施)
・空港アクセス輸送の強化
(2020年春に快速エアポートの5本/時化及び無線公衆LANサービス導入、2023年春以降に721系車両の733系への更新、7両化及びJR貨物とのダイヤ調整検討及び新千歳空港駅スルー化検討。)
・観光列車の取り組み
(特急ニセコ号の運行期間拡大検討、他社車両による観光列車の運行等)
・輸送サービス改善
(特急「北斗」(現行281系・261系)のオール261系化(2022年度予定)、駅で発券する必要の無いチケットレスサービスの検討等)
・運賃改定
(1996年1月以降、消費税改定を除くと20年以上にわたり運賃を維持してきたが、輸送サービス工場と黄線区維持のため、利用者にも費用の一部を負担をお願いする必要。2019年10月実施を検討)
・省力化・効率化によるコスト削減
(アシストマルス(話せる券売機)の配備、ワンマン運転の拡大(2両ワンマン電車新製の検討))
・H100形導入によるメンテナンスコストの削減
(2019年度より順次各線区へ導入)
また、持続可能な交通体系の構築として、以下の取り組みを実施。
・赤・茶5線区(石勝線(新夕張・夕張間)、札沼線(北海道医療大学・新十津川間)、日高線(鵡川・様似間)、留萌線(深川・留萌間)、根室線(富良野・新得間)):
地域と合意形成を得ながら、鉄道よりも便利で効率的な交通手段への転換を進める。
・黄8線区:
鉄道を持続的に維持する仕組みの構築を進めるべく、各線区の事業計画(アクションプラン)を策定。
アクションプランでは、基本指標として「線区別収支」「輸送密度」とし、具体的な取組内容として「利用促進」「経費節減」「第2期集中改革期間に向けた取組内容の検討」を策定。
●事業計画(アクションプラン)
上記「黄線区」において、利用促進や経費節減に一体となって取り組に、持続的な鉄道網を確率するために、実施する内容を策定。
・利用促進:
沿線地域の日常的な利用や、道内外からの観光等による利用、出張などの際に鉄道を利用するための取組等
・経費節減:
利用の少ない駅や踏切の見直し等
・第2期集中改革期間に向けた取組内容の検討:
あるべき交通体系についての徹底的な検討等、すぐに結論は出ないが中長期的視野で検討することを記載
詳細は、上記発表資料をご覧下さい。
長期経営ビジョン・中期経営計画・事業計画の合計57ページにも渡る資料となった、今回JR北海道が発表した経営計画。
資料内にも記載があるように、国の支援として2019年度・2020年度において、400億円台の支援額が措置されることとなっていますが、今回の計画はその支援の条件として策定が求められていたものとのことです。
内容としては、2031年度(北海道新幹線札幌開業時)に連結最終利益黒字化達成による経営自立を目指すため、JR北海道と地域の関係者が一丸となって取り組む内容を様々な観点で記しています。
その中には、好調が続く新千歳空港アクセスの充実や運賃値上げといった増収策の一方、「赤・茶」記された単独維持困難な線区の転換、「黄」線区の利用促進による支出の抑制による経営健全化が見て取れます。
個別の施策をみてみると、中期経営計画で興味深い記述が多いように感じました。
快速エアポート関連では、来春のダイヤ改正では1時間あたり1本増発が実施されるとともに、2024年度までに721系が733系に置き換えられることとなります。
更に、中期的には新千歳空港アクセス鉄道のスルー化(苫小牧方面への延長)の検討も記されています。
JR北海道の中でも、インバウンド需要の高まりとともに混雑が激しくなっている「快速エアポート」ですが、北海道新幹線開業後も引き続き収益源の一つとなるとも考えられるだけに、積極的な投資が目に付きますが、逆に721系が「快速エアポート」として運用されるのもそう長くなくなったというのも明らかとなりました。

▲721系「快速エアポート」(手稲駅、2019年1月)
今後の車両置き換えの点で言えば、特急「北斗」の281系についても、2022年度に261系への置き換えが記されました。
1994年に営業運転を開始して、今年で25年となりますが、流石に老朽化の進行は避けがたい状況であるといえるので、こちらも「北斗」として見られるのもあとわずかといえるでしょう。
一方、281系自体が廃車となるのか、それとも「オホーツク」「大雪」用キハ183系の置き換えとして転用されるのか、といった点には言及がありませんでしたので、この辺りも引き続き注目しておく必要があるといえるでしょう。

▲281系特急「北斗」(函館駅、2016年7月)
加えて車両置き換えで気になるのは2両ワンマン電車の新製でしょうか。
意外な話かも知れませんが、現在JR北海道では電車のワンマン車両が存在していません。
一方で、函館本線の岩見沢〜旭川間のように、比較的閑散でありながら車掌が乗務している区間や、室蘭本線の岩見沢〜東室蘭間のように、需要の関係から3両編成では余剰が生じるためか、電化区間でありながらキハ141系等の気動車による運行となっている区間もあります。
これらの線区で、老朽化による車両の置き換えに際し、需要に合わせた2両編成の電車を導入することが明記されていますので、上記線区で残っている721系やキハ141系についても、何らかの動きがでてくるものと思われます。
持続可能な交通体系の構築では、「赤・茶」線区のバス等への転換方針がほぼ確実となった書きぶりである一方、「黄」線区では、地域の協力を前提に、存続を基本とした書きぶりになっているのが特徴といえるでしょうか。
勿論、状況が厳しいことには変わりなく、黄線区でもバス転換への可能性も残っていますが、運賃値上げの理由として「黄線区」の維持も記されているところをみると、存続を基本方針としているのも感じ取れたりしました。
とはいえ、繰り返しではありますが、沿線地域も不断の取組が求められているのは、当然の通りであるでしょう。
以上、長々と渡りましたが、今回発表されたJR北海道の長期経営ビジョン・中期経営計画等について記してみました。
路線の見直し等は既に当ブログでもご紹介していますが、車両の置き換え等は、今後の投資内容が詰まってきたことから、今回初めて目にした項目も多いように感じました。
今後、これらの計画を元にして、JR北海道が、そして北海道の鉄道がどう変わっていくのか、遠いところからでは、本当に眺めていることと、時折利用することしかできないわけではあるのですが、引き続き見守っていきたいと感じたニュースでありました。
●関連ニュースサイト:
JR北海道、400億円の収支改善目指す=中長期計画 | 乗りものニュース
快速エアポートの増発・増結など、JR北が長期経営ビジョンなどを発表 - 鉄道コム
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