近畿日本鉄道(近鉄)では、伊勢志摩の魚介類を車体に描いたラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」を導入し、3月16日(月)から平日朝の松阪から大阪上本町への一般列車の最後部に連結し、鮮魚運搬車両とすることを発表しました。

併せて、現在運転している鮮魚専用列車(平日・土曜日に1日1往復運転)は、3月13日(金)をもって運転を終了することも、併せて発表しました。

伊勢志摩の魚介類がテーマのラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」を導入 鮮魚運搬などに活用します|近畿日本鉄道


概要は以下の通りです。

●ラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」:
2両編成の通勤型車両のうち1両の車体全体に伊勢志摩の海に生息する様々な魚介類を描いたもの。
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▲近鉄「伊勢志摩お魚図鑑」デザイン
(上記発表資料(https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/sengyo.pdf)より引用)



●「伊勢志摩お魚図鑑」の平日の運行について:
3月16日(月)以降の平日に、松阪6:44発・上本町8:46着の列車の最後部に、鮮魚運搬専用の車両として、「伊勢志摩お魚図鑑」1両を連結して運行。
(※)松阪〜名張間は6両編成の急行として運転、名張で4両編成を増結後、10両編成の快速急行として運転。

●鮮魚専用列車の運転終了:
「伊勢志摩お魚図鑑」による鮮魚運搬開始に伴い、現在運転している鮮魚専用列車(平日・土曜日に、1日1往復(宇治山田発大阪上本町行き、大阪上本町発松阪行き)は、3月13日(金)をもって運転終了

●「伊勢志摩お魚図鑑」登場 新旧鮮魚車両撮影会ツアー:
現在の鮮魚運搬車両と「伊勢志摩お魚図鑑」を並べた撮影会ツアーを実施。
・実施日:
2020年3月22日(日)

・場所:
青山町車庫

・時間:
9:00〜15:30頃

・募集人員:
100名(最少催行人員:50名)

・募集期間:
2020年2月21日(金)〜3月12日(木)

・旅行代金:
近鉄名古屋駅出発:7,620円
大阪難波駅出発:7,000円
(他駅からの設定もあり)

・申込み:
大阪難波駅、大阪上本町駅、大和西大寺駅、橿原神宮前駅、名張駅、京都駅、大阪阿部野橋駅、近鉄名古屋駅、近鉄四日市駅、津駅、宇治山田駅ほか近鉄各駅営業所



その他詳細は、上記発表資料をご覧下さい。

近鉄では、伊勢志摩で水揚げされた魚介類を大阪市内などで売りさばく行商人が利用する「鮮魚列車」という団体専用列車を、昭和38年(1963年)から運転してきました。
魚介類を車内に持ち込むと、魚の臭いなどで他の乗客の迷惑になることから、この「鮮魚列車」には専用の車両が用いられたほか、他の列車との併結ではない、専用のダイヤが設定されていました。

この鮮魚列車、最盛期には200名を超える利用があったようですが、トラックによる輸送が増加してきたことなどから、利用者は減少しているものの、10年前の平成20年に水産庁が発行した「水産白書」によれば、当時でも50名程度の行商人が利用しているとのことでした。
参考:
平成20年度 水産白書 全文:水産庁
(P70「コラム 産地と消費地を列車でつなぐ「鮮魚列車」」参照)

その後も行商人の高齢化や商流の変化などにより、更に利用者は減少してきたものと推測されますが、一方で引き続き鮮魚列車を利用する行商人もあることから、今回定期列車の併結という形で、鮮魚専用の列車がリニューアルされることとなりました。


新しい「鮮魚専用車両」は、これまでの赤色をベースに前面に「ヒゲ」のような白帯を配したカラーリングから一変、伊勢志摩の海に生息する様々な魚介類がデザインされたラッピングとなっており、これまた大いに注目を浴びる車両になるのではないかと思われます。

加えて、「伊勢志摩お魚図鑑」と「鮮魚列車」という、新旧の鮮魚運搬車両を並べた撮影会も開催されるとのことで、こちらも恐らく今回限りの企画であるといえるでしょうから、早々に満員になりそうな気もします。


ともあれ、1963年から半世紀以上に渡り行商人の足として走り続けた「鮮魚列車」。
行商人専用列車としての運行は終了するのは一抹の寂しさを感じますが、新たに行商人専用「車両」として伊勢志摩の魚介類を大阪の市場に運ぶ役割を担うこととなりますので、新たな時代の鮮魚専用車両としての活躍を見届けていきたいな、と感じた次第です。



このブログではかつて一度だけ、鶴橋駅などででこの「鮮魚列車」を撮影したことがありました。


P2173717-2
▲鶴橋駅に入線する「鮮魚列車」
方向幕の「鮮魚」が目を惹きます。

P2173723
▲上本町駅で発車待ちの「鮮魚列車」専用車両の回送列車
(いずれも2010年2月17日撮影)

奇遇にも、丁度10年前の撮影記録を、このようにご紹介することになったわけですが、恐らくこれが最初で最後の「鮮魚列車」撮影記録となると、やはりふとしたきっかけで撮影しておくのは非常に大事なのかな、と感じた次第でありました。




●関連ニュースサイト:
近鉄の「鮮魚列車」3月終了 後継はラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」一般列車に連結 | 乗りものニュース
近鉄 鮮魚運搬車両 伊勢志摩お魚図鑑 運転(2020年3月16日〜) - 鉄道コム
近鉄 鮮魚列車 運転終了(2020年3月13日) - 鉄道コム
近鉄 青山町車庫 新旧鮮魚車両 撮影会ツアー(2020年3月22日) - 鉄道コム



●関連ブログ:


近鉄、鮮魚専用列車の運行を終了し、一般列車の最後部にラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」を導入へ - kqtrain.net(京浜急行)
ダイヤ改正以降の行商人用車両は「伊勢志摩お魚図鑑」: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



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