和歌山バスと和歌山バス那賀では、2020年4月にICカードシステムを導入することとしていました。


この度4月1日(水)より和歌山バス・和歌山バス那賀専用のICカード「kinoca」(キノカ)の導入を発表しました。
専用ICカード「kinoca」(キノカ)を導入します | 和歌山バス株式会社

概要は以下の通りです。

●利用開始日:
2020年4月1日(水)

●発売開始日:
窓口・・・2020年3月23日(月)
バス車内・・・2020年4月1日(水)

●適用路線:
和歌山バス・和歌山バス那賀の一般バス路線全線
(夜行高速バス、関西空港リムジンバス、ふじと台バス、各市町コミュニティ路線を除く)

●発売内容:
・発売金額:
2,000円〜(デポジット500円含む)

・チャージ限度額:
20,000円

・販売権種:
無記名式(大人)・・・紛失時再発行不可
記名式(大人、小児、大人特割、小人特割)・・・紛失時再発行可能

・販売場所:
和歌山バス・和歌山バス那賀の各営業所、定期券発売所、バス車内

・チャージ場所:
窓口・・・和歌山バス・和歌山バス那賀の各営業所、定期券発売所
チャージ機・・・南海和歌山駅、JR和歌山駅のバス乗車券発売所
バス車内・・・3,000円まで

●サービス概要:
1.ポイントサービス:
・毎月1日〜末日までの利用分を集計し、算出されるポイントを翌月以降の最初の乗車時に付与
・付与ポイントは1ポイント=1円で運賃の支払いに充当。
・ポイント>利用運賃の場合、ポイントから優先的に引き去り
・ポイント残高<利用金額の場合、ポイントは利用不可

・ポイント付与率:
全日(基本ポイント)・・・5%
平日昼間(10時〜16時降車)・土休日・・・2%加算
ボーナスポイント:
2,000円以上・・・100ポイント
5,000円以上・・・200ポイント加算(合計300ポイント)
8,000円以上・・・200ポイント加算(合計500ポイント)

2.IC定期券:
「金額式定期券」となり、券面表示金額以下の運賃区間であれば、どの区間でも利用可能。
・紛失時の再発行が可能
・乗り越し精算が自動精算に。
・乗り越しの精算方法は、乗車区間の運賃と定期券面金額の差額を収受するが、大人運賃で100円以下の場合は、100円とする。
・通学1年定期の割引率は50%から45%に、利用日は4月1日〜3月31日に固定
・楽器定期券の利用日は、以下の通り固定。
1学期:4月1日〜7月31日
2学期:8月21日〜12月31日
3学期:1月1日〜3月31日
・各駅前定期券売場、那賀営業所ではクレジットカードでの購入が可能に(1回払いのみ)

3.一日フリー券
・バス車内で、kinoca利用者からの申告で、運転士が運賃箱を操作してICカードを1日フリー券化。
・販売金額:
大人1,000円、小児500円(ICカードチャージ残高から引き去り)
(なお、1日フリー券は、引き続き窓口も発売するが、当日発売のみに)

●その他:
全国交通系ICカードについては、2020年3月上旬頃発表予定。

●カードデザイン:
wakayamabus_kinoka
▲kinocaカードデザイン
(上記発表資料(http://www.wakayamabus.co.jp/news/kinoca/)より引用)


先の記事でご紹介したように、和歌山バスではこの4月にICカードサービスの開始を発表していましたが、その際気になったのが、「紙式定期券の販売終了」で、4月以降の定期券(あるいはそれの代替となるサービス)は、ICカードによるものになるのか、それともPiTaPaの登録型割引サービスを利用するものなのか、等が気になっていました。

今回、独自カードの「kinoca」と、そのサービスが発表されましたが、大きなポイントとしては、やはりプリペイド機能でのポイント制への移行、そして定期券サービスでの金額式定期券の導入でしょうか。

「金額式定期券」は、既に他地域のバス事業者でも導入事例があるもので、関西地区では阪急バス等にそれが見られます。
参考:
hanica通勤定期券|路線バス|阪急バス

金額式の定期券となることにより、これまでは予め定められた区間でのみ利用できなかったものが、和歌山バス・和歌山バス那賀の全線で、表示金額以下の区間でならどこでも使えることとなり、使い勝手が非常に向上します。

また、乗り越しについても、これまでは乗り越し区間の運賃を別途支払う必要がありましたが、kinoca定期券では、乗り越した区間と券面金額の差額(但し100円以下は100円)となり、これまた現在に比べておトクになるものと思われます。

「金額式定期券」「乗り越し精算の差額精算」の採用から、例えば休日に通勤時と違う区間を利用する際、現在は別途運賃が必要なケースであっても、IC定期券を利用することによって別途運賃差額が発生しない、あるいは安くなることにもなりますので、この際定期券に乗り換えてみよう、というユーザーも出てくるのではないのでしょうか。


一方、ポイントサービスについても、基本ポイントこそ5%ですが、2,000円以上で100ポイント、5,000円以上で更に200ポイントが加算され、例えば5,000円利用した場合、合計で550ポイント獲得となります。
バスカードが月をまたいでも同じ割引率である一方、kinocaでは月ごとにボーナスポイントの計算がリセットされるため、単純に比較することは難しいのですが、決して大幅な改悪というわけでもなく、これまでの磁気バスカード利用者にも一定の配慮がなされているものと考えられます。


そして、個人的に大いに大歓迎したいのが、「紛失時再発行」「定期券購入時のクレジットカード取扱開始」でしょうか。
前者は、記名式ICカードであれば実施の可能性は高く、元から期待していたのですが、一方後者は、まさか和歌山バスの定期券をクレジットカードで購入できるとは、思いもしませんでした。

元より高額となる定期券購入ですが、クレジットカードにより多額の現金を持ち歩くことなく購入が可能ですし、紛失時再発行が可能となれば、高額な6ヶ月定期であっても紛失による再購入のリスクを考える必要がなくなることから、これらの理由から、これまで定期券の購入を避けていた利用者にとっては、朗報と言えるのではないのでしょうか。


以上、4月からスタートする和歌山バス・和歌山バス那賀専用のICカード「kinoca」のサービスについてご紹介しました。
総じて、毎月概ね5,000円以上利用するヘビーユーザーにとっては、現状のバスカードからサービス内容はあまり低下していないように感じられ、特に定期券の使い勝手向上は、予想外のサービス拡充になったといえます。
私自身も、4月以降も和歌山バスを引き続き利用するのであれば、是非とも「kinoca」定期券を購入して、日々の通勤はもとより、休日に少し違う場所へ遊びに行くのにも活用したいな、と思ったニュースでありました。



●関連ブログ:
wap ONLINE:ついに発表!和歌山バス・和歌山バス那賀 ICカード「kinoca」4月1日導入



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