今月発売の鉄道雑誌のご紹介ですが、この10月に京阪神地区の「新快速」が50周年を迎えるにあたり、京阪神地区の特集が目立ちます。
下記記事では、鉄道ダイヤ情報2020年10月号での京阪間の特集をご紹介しました。
鉄道ダイヤ情報2020年10月号「特集 京都−大阪 都市間輸送のこだわり」を読む : 阪和線の沿線から

次いでご紹介するのは、鉄道ジャーナル2020年11月号、特集は「関西の流儀」であります。

DSC_2170




鉄道ジャーナル 2020年 11月号 [雑誌]
鉄道ジャーナル 2020年 11月号 [雑誌]

冒頭では、まず「新快速50周年」として有料座席「Aシート」を連結したグラビア写真とともに、「新快速」50年のあゆみを文章で紹介しています。

続く特集記事では、「大阪・うめきた・新大阪」として、ここ10年ほどで大きな改良工事が実施された新大阪駅及び大阪駅、そして現在大阪駅の北側で開発が進められており、今後その姿が大きく変わることになる「うめきた」地区の様子を紹介しています。

そして「阪神電車は、いま」として、大阪・神戸間を結ぶ阪神電鉄にスポットを当て、近年の車両、ダイヤ、改良のの様子を紹介しており、本記事で阪神電鉄の近年の取り組みが把握できる記事となっています。

一方、「京都洛西鉄道めぐり」では、「歩くまち・京都レールきっぷ」などを用いて京都市内の鉄道路線(阪急嵐山線、嵯峨野観光鉄道、JR嵯峨野線、京都市営地下鉄、嵐電)に乗り、京都市内で特に観光客の利用が多い線区について、新型コロナウイルス感染症の影響の中、様々に乗り継いだ現地レポートを紹介しています。

最後に「関西大手私鉄 近年の動向」として、阪急、阪神、近鉄、京阪、南海の関西大手私鉄5社について、その近年の動向を直近の決算状況から振り返るとともに、その今後の課題についてまとめています。


以上が特集記事の概要ですが、「鉄道ダイヤ情報」では京阪間に絞った特集となっているのに対し、この「鉄道ジャーナル」ではそれよりも少し範囲を広げつつ、「新快速50周年」という折ではありますが、「新快速」をテーマにした都市間輸送に注視するのではなく、むしろ関西の鉄道輸送システム的にどうか、といった論点でまとめられているのかな、とも感じました。




「新快速50周年」繋がりの関西地区特集、として購入した本号ですが、注目したのは、むしろ下記2つのJR北海道関連の記事でありましょうか。
・THE ROYAL EXPRESS 北の大地を行く
・JR北海道の維持困難線区を維持するために


前者は、この夏に運行された、観光列車「THE ROYAL EXPRESS〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の記事で、新型コロナウイルス感染症の影響で当初5回の営業運転が3回に減らされた本列車の、運行開始初日の札幌駅出発セレモニーの様子、車両を含めた列車の概要、試運転の様子、そして今後の課題についてまとめられています。
【参考】
【東急】【JR北海道】「THE ROYAL EXPRESS〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の旅行プランを発表。2020年8月〜9月に計5回運行 : 阪和線の沿線から

後者は、既に当ブログでも幾度にもわたりご紹介してきた、JR北海道の維持困難線区のあり方について、その現況と地方自治体に求められる支援策、そして維持困難線区を維持する最後の手段の提案について記されています。

本稿では、維持困難線区の維持に対して、特に道や沿線市町村の地方自治体に対し、より根本的な取り組み求める内容となっています。

具体的には、「北海道の自治体に財政的な余裕がないは周知である」ことから「金銭以外の面での支援策が必要」であり、それは「駅前に多くの人が集まる環境を作る」ことが地方自治体に求められている、としています。
そこで「こうした施策を何もしないままに国に対して支援を求めるのは、空気を運ぶ様な状態の鉄道路線に多額の税金を支出しろと要求するようなもので、認められるはずがない」と評しています。

しかし、「実際に各線区で検討されている利用促進策のほとんどは観光を中心とした、外部からの入り込みに期待する内容」とし、その答えを「『自分たちは使わないから』」とし、「自分たちでは使わないが廃止には賛成できない、そのため外部の、鉄道を使ってくれそうな人を招こうという論理」と評しています。

また、最後に、「JR北海道の維持困難線区は・・・全ての路線を残すことは不可能だろう」とした上で、「適切な利用促進策も打ち出さず金銭的な支援もせず、そのうえ利用が少なくバスで十分に代替可能な路線については、・・・運行を打ち切るべき」とし、「一方で、再生可能と判断される路線は極力維持する方向でタブー無く方策を検討するべき」としています。
(以上、カッコ部分は本誌P57〜P59より引用)


JR北海道の維持困難線区については、元々利用者数が少なく、かつての特定地方交通線の水準であった、輸送密度が4000人/日あるいは2000人/日を大きく下回る線区であり、こういった線区で多少の利用者が増えたとしても収益上好転することは望むべくもありません。

そうすると、実際の利用者を増やすこと、あるいは少なくとも現行の水準を維持することで、地域に必要な線区であることを実績の数値で示し、公的資金の支援を沿線内外に求めていくよりほかは無い、と考えるのは、私も同感であります。

ただ本稿では、その方法があくまで観光を中心とした、沿線外からの入り込みに頼ったものであることに警鐘を鳴らしています。
その理由を要約すれば、「自分たちは使わないが廃止は認めない」ための方策、としていますが、ここまで露骨でなくとも、沿線の利用促進策が外部頼み、というのはちょっとどうかな、という気も、私自身は感じたりはしていました。

これらの維持困難線区は、決して多くない本数しかなく、日常的な利用には利便性に難がある、というのは、私自身も承知してはいますが、それでも沿線住民自らが、その用務で利用するというライフスタイルを少しでも構築するために取り組みを実施しないと、これら維持困難線区の維持するための、現在の沿線の取り組みは早晩破綻してしまうのではないか、と危惧しています。

言わば、沿線住民が「我が事」として、これら維持困難線区の存廃をどこまで捉えている、その本気度がまだ足りないとしか思えない、と評している内容でありますし、私自身もそこは現状ではマズいよな、と思っているだけに、参考になった記事でありました。



特集記事に釣られて購入した鉄道雑誌が、それよりも、その他の記事の方に注目した、という事例はこれまでにもありました。
今回も同様のパターンで、むしろJR北海道の経営維持に関する記事が、今後のこれらの線区のあり方を、当ブログで記すのにも少しでも参考になりそうにも感じました

とはいえ、当ブログ記事の冒頭でもご紹介した、新快速50周年を契機に、特に大阪・新大阪駅とその周辺の動きをまとめた記事は、今後更なる変貌を見せるこれらの地域を振り返り、今後の動きを検討する、という意味でも貴重な記事だと思いましたので、関西地区在住の方々を中心に、購入して一読してみてはどうか、と感じた次第でありました。




↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム