秋の4連休も間もなく終わりとなりましたが、この連休は多くの人々が国内の様々な観光地に出向いていました。
高速道路の渋滞や、新幹線・特急列車の混雑等、新型コロナウイルス感染症前ならば大型連休中に普通に見られていた風景が展開されるのも、本当に久々に感じました。

今回の連休で新型コロナウイルス感染症の感染が広がらないか、一抹の不安はありますが、仮に感染が大きく広がらなければ、国内旅行者の回復に向けて、大きな前進といえるかも知れません。



さてかくいう私は、この4連休の間、家の用事などで遠出することもありませんでしたが、そのおかげで、溜まっていた鉄道関連書籍を読み終えることができました。
その結果は、このブログでもご紹介してきましたが、今回は、連休最後に読み終えた、下記の鉄道書籍についてご紹介したいと思います。

DSC_2175




「技あり!」の京阪電車 創意工夫のチャレンジ鉄道 (交通新聞社新書 129) [ 伊原薫 ]
「技あり!」の京阪電車 創意工夫のチャレンジ鉄道 (交通新聞社新書 129) [ 伊原薫 ]


「『技あり!』の京阪電車」という交通新聞社新書の書籍であります。

この本を読もうとしたきっかけは、下記記事でご紹介した「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」(伊原薫著・交通新聞社新書)の中で、現在の阪急京都線・千里線の歴史について、「詳細は拙著『「技あり!」の京阪電車』で紹介している」と記されていたからであります。

「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」では、阪急電車が別格であるエピソードを、微に入り細に入り拾い上げていたところもあり、誤解を恐れず言うと、「著者が持つ阪急リスペクト・阪急愛が紙幅の限り書き綴られた」一冊だと感じました。

これが、著者にとって阪急とは違い「それほど馴染みのない鉄道」であり、「生粋の・・・ファン、というわけではない」(いずれも「〜京阪電車」より引用)京阪に関する書籍だと、そういった書きぶりがどのように変化するのか、というのも気になり、上記の「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」を読了してから早速、この「『技あり!』の京阪電車」を読んでみることにしました。



本書では、まず第1章で京阪電鉄の設立から現在(2018年)に至るまでの歴史を振り返り、建設時の経緯からカーブが多くスピードが出せない路線状況と、それを克服するための様々な「日本発」の取り組みを紹介しています。
そして「関西人は〜」でも紹介された、新京阪電鉄の建設と、戦時体制における阪急電鉄(当時・阪神急行電鉄)との合併、戦後の分離の際に、京阪電鉄が建設した新京阪線の取り扱い(京阪側へは移らず、阪急京都線として存続)も、記されています。
また一方で、丹波橋で接続していた奈良電気鉄道を巡る近鉄と京阪との動きも紹介しており、このあたりのエピソードからも、京阪電鉄が他社に翻弄された苦難の歴史をたどってきたことが見て取れます。

第2章では、現在の京阪電鉄の車両を紹介しており、「プレミアムカー」を連結し、特急運用を担うフラッグシップトレインの8000系を筆頭に、800系や600形、700形といった大津線の特徴ある車両も漏れなく紹介しています。

第3章では、著者がピックアップする個性的な駅10線として、淀屋橋、京橋、三条、出町柳といった拠点駅のみならず、駅間距離が短い区間を見渡すことのできる土居駅や、大クスノキが見守る萱島駅、40パーミルの急勾配に設置されている大谷駅など、個性あふれる駅を紹介しています。

第4章では、観光開発、中之島線の将来構想など、京阪が取り組む沿線活性化のこれまでと、これからを取り上げ、京阪電鉄で長年実施してきた「菊人形展」をはじめ、グループで取り組んできた琵琶湖・比叡山・鞍馬エリアの観光開発、そして延伸構想やがなにわ筋線との接続が計画されている中之島線の将来について記しています。



本書では、上記でも記したように、著者が京阪について、阪急ほどの個人的な思い入れがある、ということがある意味幸いしてか、比較的客観的な記述にとどめ、著者の感想があまり入り込んでいないところが奏効したのか、個人的にすんなり読めたように感じました。

京阪電鉄の歴史を概観し、京阪電鉄の基本的な知識を習得したい向きには、入門的な一冊として読みやすい書籍ではないかと思います。
本書を足がかりとして、様々な書籍を手にすることで、様々な魅力を有する京阪電鉄の世界を楽しむ方が一人でも増えれば、本書を紹介した甲斐もあるのかな、と感じた次第です。



とはいえ、本書で若干気になる記述もあったのですが、それは2600系に関する記述であります。

この2600系は、最小単位が2両編成から組成することが可能となっていますが、それについて、本書ではその理由を叡山電鉄線(当時は京福電鉄線)への乗り入れに求めていました。
具体的な記述では、「出町柳から叡山線への乗り入れも視野に入れていた」として、その具体例として「2600系の初期車はこれを考慮して2両編成で運用できるように考えられていた」としています。
(いずれもカッコ部は本書P137より引用。)

確かに京阪電鉄と叡山線(京福電鉄→叡山電鉄の叡山本線及び鞍馬線に相当)は、線路幅も同一であることから、両線区の直通運転の構想も出てきそうな点は理解できます。
ただ、それを考慮して2600系が2両編成での運用が可能とされたというのは、個人的に初耳でありました。
ただ、これについては、手持ちの他の文献からは確認することはできませんでしたが、元々手持ちの資料が非常に少ないことから、単に私の資料不足とも考えることから、折をみて確認していくことができればいいな、と思っています。


ともあれ、上記で記したように、「京阪電鉄」の入門本としては、取っつきやすい新書であるかと思いますし、一日あれば読み通せる分量ですので、秋の夜長に、京阪電鉄を知るための一冊として、読書の秋のお供にしてみてはいかがでしょうか。




↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム