毎月発売される鉄道雑誌の中でも、個人的に気になる特集があれば、実際に購入して読むことにしています。
今月発売の中では、「鉄道ジャーナル」の特集を読んでみたいと思い、購入してみました。
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鉄道ジャーナル 2021年 01月号 [雑誌]
鉄道ジャーナル 2021年 01月号 [雑誌]

鉄道ジャーナル2021年1月号。
特集は「災害多発の深刻」です。

このブログでもご紹介したように、今年7月に発生した豪雨で、特にJR九州肥薩線、久大本線やくま川鉄道では、橋梁や路盤の流失等、甚大な被害を被りました。
【JR九州】令和2年7月豪雨による被災状況を発表。久大本線、肥薩線を中心に計345件の被害が判明 : 阪和線の沿線から

今回の特集記事での一番の記事は、その中でも特に被害の大きかった肥薩線・八代〜人吉間の被害の状況を、著者が実際に訪問し、記録した記事「土壇場の肥薩線」でありましょう。

被害の状況については、既にJR九州からの発表資料や、それをご紹介した上記ブログ記事でご紹介していますが、それからおよそ4ヶ月経ち、現場での復旧状況はどうか、また、長期間の不通に対する代替輸送の状況はどうなっているのか、といった点を総合的・俯瞰的に理解する上では、またとない記事になっていると感じました。

被害の状況は、被害の惨状を写した数多くの写真で一目瞭然であり、これを見るだけでも、今回号を購入する価値はあると思いますが、更に特集では、既存不適格だった橋梁の掛け替えの問題(古い基準で建設された橋梁を再建する際、新たな基準で建設する必要があり、勾配等の技術的な問題に加え、復旧費用の負担の問題も生じる)についての解説、更に肥薩線の不通区間を取り巻く利用者が非常に僅少な点に触れ、復旧費用の投資に値する路線なのか否か、という点にも触れています。

当ブログでも触れてきたように、今回の被害が甚大だった肥薩線・八代〜人吉間の利用状況(平均通過人数)は1987年の2,171人に対し、2018年度は455人とこの30年間の間に8割に減少しています。
【JR九州肥薩線・くま川鉄道】令和2年7月豪雨災害により橋梁流失等の被害 : 阪和線の沿線から

今回の特集記事でも、「肥薩線で八代へ向かう生徒はほぼバス1台分」「人吉方面にも5校の高校があり、肥薩線利用は21人」(いずれも本号P28より引用)という、厳しい状況が記されています。

特集記事では、地元の新聞記事での報道も紹介していますが、ここでも肥薩線に関する情報が少ない、という点も触れており、地方における鉄道の立場、そして人々の認識がそれくらい小さなものであるのではないか、としています。

本特集記事では、肥薩線被災区間の復旧に向けての意見については特に述べておらず、現状と課題に止めていますが、その「被害」と「課題」を突きつけられるだけでも、読者にとっては復旧が非常に厳しい状況であることが、客観的に理解できる、という良記事だと感じました。

その他、今年の水害で不通となっている久大本線、くま川鉄道に加え、2016年(平成28年)の熊本地震により一部区間不通となり、今年8月に復旧した豊肥本線の乗車レポート、そして同地震により同じく一部区間不通となっている南阿蘇鉄道の被害の状況と復旧に向けての状況を取材しています。

また近年の地震・水害の被害ということで、九州地方で甚大被害が続きましたが、それ以外にも2011年(平成23年)の水害で橋梁流失等の被害を受けたJR東日本・只見線の復旧工事の状況についても触れています。


総じて言えば、甚大な自然災害を受けた地方路線、特に、近年の災害で増えてきた、元より利用者が激減していて運営自体が厳しい線区で、かつ被害が甚大なために現状復旧に技術的な問題も重なる線区での復旧についての課題を理解する上では、よい特集になっていると感じました。

今回被災した肥薩線が、今後復旧できるのかどうかは、今後の地域と事業者との話し合いによるしかないと思われますが、その議論を見ていく中では、今回の特集記事が論じている問題点は外すことができないのかな、と感じ、そういう意味でも今回購入しておきたいところだ、と感じました。



地方路線の災害の状況について、かなり記してしまいましたが、それ以外にも海外記事では「懐かしき欧州食堂車の思い出」、「ICE(ドイツの高速列車)30周年」と、これまた読みごたえのある記事が見られました。
特に「ICE30周年」では、「白地に赤帯」というICE登場からのカラーリングが、2019年から先頭車を中心に、一部編成では全車両が「緑帯」に変更されている、ということを知り、驚いた次第です。
また、2017年に営業運転開始したICE4を今後継続して投入し、2030年までに合計300編成とする計画も記されています。

ICEについては、初期に投入されたICE1、ICE2は編成の前後配置した機関車が牽引するプッシュプル方式に対し、ICE3、そして現在増備が進むICE4では客室内に動力車を配置する動力分散方式を採用しています。
今後、ICE4の増備が更に続けば、ドイツの高速鉄道網の様子もかなり変わってくるのかな、とも感じ、いわゆる「コロナ後」に展開されるであろう、その様子を現地で見ることができればいいな、と思ったりさえしました。



以上、今月発売された鉄道雑誌の中でも、読みごたえのあった「鉄道ジャーナル」についてご紹介しましたが、来月の特集記事は「当節気がかりのニュース」と、これまた気がかりな特集が予定されています。
予告によると、「空港アクセス鉄道の体制と現状」をッまとめるほか、「相鉄・JR直通運転の近況」「北陸新幹線の開業延期」も取り上げるとのことで、今年後半に色々と気がかりとなったニュースについて、まとめられるものと考えられるだけに、次号も購入必須かな、と感じた次第でありました。




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