南海電鉄では、和歌山市が誘致しているIR(統合型リゾート)が実現した際の交通輸送等の課題について、BRTの導入が有効である提案を同市に行うと共に、同市と連携して実現性について検討を進める共同研究をスタートすることを発表しました。

新たな公共交通 BRTの共同研究スタート|南海電鉄

概要は以下の通りです。

【連節バスの試走】
●目的:
交差点等の道路改良の必要性や、既存交通への影響等の検討

●試走時期:
令和2年度(2020年度)中

●試走ルート:
JR和歌山駅、南海和歌山市駅、マリーナシティを結ぶルートを検討中

●試走車:
南海バスが関西空港内で運行している連節バスを使用

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(上記発表資料(http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/201130.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



現在、和歌山市及び和歌山県では、IRの誘致を進めており、候補地を「和歌山マリーナシティ」とし、現在事業者を公募しているところであります。
【参考】
IR推進室 | 和歌山県

和歌山県のIR基本構想では、候補地をマリーナシティとしている一方、今後の取組として、「ストレスフリーで移動できる交通アクセス構築」を掲げています。
wakayama_ir
(和歌山県IR基本構想(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020100/ir/kousou_d/fil/kaitei-j.pdf)より引用)

交通結節点となるJR和歌山駅、南海和歌山市駅から「ストレスフリーで移動」できるのは勿論ですが、IR観光客による利用者の増加に伴い、通勤、通学等の利用者が影響を受けない公共交通機関の整備が必要ともいえます。

今回の共同研究は、マリーナシティへの大量・高速輸送を実現する手段としてBRTを導入することとして、それに伴う課題を、実際にBRTで使用するであろう連節バスを用いて検証するのが目的、といえます。

ルートは、JR和歌山駅、南海和歌山駅、マリーナシティを結ぶルートが検討されていますが、このルートは現在、和歌山バスが同様のルートで運行しています。
BRTとして運行するのであれば、連節バス導入による輸送力増強に加え、途中停留所の間引きによる高速化なども考えられますが、そのようなニーズも是非試走の段階で取り入れて、本運行に反映していただけると嬉しい限りです。



ところで、和歌山市内のBRTというのは、何やら唐突に出てきた感を受ける方も多いかと思われますが、実は遡ること5年ほど前、和歌山市では「夢のある政策研究」プロジェクトとして、次世代交通の導入がテーマとして掲げられ、その具体例としてLRTやBRTが示されていました。
【和歌山市役所】「夢のある政策研究」プロジェクトで、「まちのシンボル」次世代交通の導入を検討 : 阪和線の沿線から

それから5年ほどして、いまこうして連節バスによるBRTが具体的な共同研究として発表されたところをみると、当初の「夢のある政策研究」から「IRへの輸送」と若干目的は違うとはいえ、本当に連節バスが和歌山でも走りそうになることに、感慨深い思いを抱く限りです。


今回試走に使用される連節バスは、上記発表の通り、関西空港で運行されている車両を使用することとなっています。
【南海バス】関西国際空港第2ターミナル線に連接バス導入(H29.4.28〜) : 阪和線の沿線から
南海バス・関西国際空港第2ターミナル線の連節バスに乗車する : 阪和線の沿線から

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▲関西空港で運行されている連節バス
上記車両には田尻町のラッピングが施されていることから、実際の試走では、もう1台の南海バスオリジナル塗装の車両が使用されるものと考えられます。

上記記事で実際に乗車した際の様子をご紹介していますが、輸送力もさることながら、スムーズな乗降も実現している印象を強く感じました。
実際に和歌山市内で試走するのであれば、運賃収受の方法や、歩道・交差点の支障の状況、また専用レーン・優先レーンの整備の必要性等、様々な課題が浮き彫りになってくると思われますが、それらを解決し、和歌山市内を連節バスが走り抜ける姿を、是非とも目にすることができればと思っています。


試走は今年度(2020年度中)に実施の予定となっています。
割と近いうちの試走が実施されるとのことですので、その様子を目にすることができれば、また実際に乗降するモニター等の協力があれば是非とも体験して、協力することができればいいな、と感じたニュースでありました。



●関連ニュースサイト:
和歌山市内で連節バス試走へ 「IR誘致に有効」南海と市がBRT共同研究開始 | 乗りものニュース



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