南海電鉄では、大阪府及び高石市とともに、1997年7月から南海本線・高師浜線の連続立体交差に取り組んでおり、去る2016年5月には、南海本線下り線の高架化が完成しました。

この度、2021年5月に上り線(難波方面行き)の高架化が完成するとともに、高師浜線の高架化工事に伴い、高師浜線の列車を運休し、バスによる代行輸送を実施することを発表しました。

南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業 南海本線上り線の高架化に向け、工事が進捗しています|南海電鉄

概要は以下の通りです。

【高師浜線高架化工事に伴うバス代行輸送について】
●バス代行輸送期間:
2021年5月(本線高架完成後)〜2024年春(予定)

●バス代行輸送区間:
羽衣駅〜高師浜駅(高師浜線)
※高師浜駅の代行バス乗降場は大阪府立臨海スポーツセンター敷地内に設置。

●詳細:
運行ルートや運行本数などバス代行輸送の詳細については、2021年4月ごろに改めて発表。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



南海本線では現在、堺市内及び高石市内で連続立体交差事業が実施されていますが、このうち高石市内においては、既に下り線(和歌山市方面)の高架化が完了しています。
【参考】
南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業/高石市ホームページ

今回、上り線の高架化が完了するとともに、残る高師浜線の高架化を実施するに当たり、工事期間短縮の観点から、高師浜線の列車を休止し、バスによる代行輸送を実施することが発表されました。

代行輸送の期間は、2021年4月から2024年春と、およそ3年に渡るものとなっていますが、運休期間を設ける理由としては、仮線を設けての工事よりも、工事期間が短縮できるメリットがあるため、と考えられます。

高架化工事の際、通常は列車を運行しながら高架工事を実施するため、現在の線路の横に「仮線」を設置し、仮線を使用している間に、使用していない旧線部分を高架化していく、という手順が一般的です。

この場合、鉄道路線を運休させずに工事を進めることができるのですが、一方、仮線を建設するための用地確保や線路建設等に時間がかかる、というデメリットがあります。

通常は、鉄道路線を運休することで多大な影響が生じるため、仮線を設置することが多いわけですが、こと高師浜線に関しては、事業を早期に完成できるメリットに対し、行き止まりの路線であることからバス代行としても影響が大きくない等の理由から判断して、運休期間を設けて早く高架化を完成させる、ということになっています。


連続立体交差事業は元来、都市部を中心とした事業であることから、必然的に鉄道路線の利用者も多く、それが故に運休期間を設けて事業を実施する、ということはあまり現実味が無いものと考えられます。

しかし今回の高師浜線では、およそ2km弱の行き止まり路線であり、運休したとしても多大な影響が生じるわけではないことから、このような手法が取られる、とう珍しいケースに該当するかと思われます。


趣味的な観点から言うと、来年5月から3年間運休期間が続くわけですから、特に乗りつぶしを目的とされる方は、間違って運休期間に高師浜線を訪れたとしても、代行バスにしか乗車できず目的が達成できないわけでもありますので、訪問時期には注意しておきたいところです。
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▲羽衣駅に到着する高師浜線の列車(2016年10月)
(※)この車両に施された「工場夜景」ラッピングは、既に終了しています。


今後、バス代行のルート・本数について発表があるとのことですので、当ブログでもご紹介したいと思います。



●関連ニュースサイト:
〜南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業〜 南海本線上り線高架化工事の進ちょく状況を発表|鉄道ニュース|2020年12月18日掲載|鉄道ファン・railf.jp



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