今年の大河ドラマ「青天を衝け」は、渋沢栄一を主人公とするドラマで、既に第2話までが放送されています。

その渋沢栄一、2024年には新しい1万円札の肖像画になることも決定しているわけですが、その業績としては生涯で多数の企業の設立に関わったことからも、「資本主義の父」と称されることで有名であります。
その一方で、教育や医療、福祉といった、資本主義を成り立たせるために必要な社会資本の整備にも尽力したこともあり、明治初期に我が国の経済システムを構築したという意味では、無二の人物であったかも知れません。

その渋沢栄一は、日本の鉄道事業にも勿論関わっており、有名なところでは日本鉄道(現在のJR東日本東北本線等)、京阪電気鉄道、目黒蒲田電鉄(現在の東急)などが挙げられますが、それ以外にも様々な鉄道事業者の設立・運営に関わっています。

そういった、渋沢栄一と鉄道事業との関連を、本人のエピソードは勿論、関連する歴史も綴った一冊が、今回ご紹介する「渋沢栄一と鉄道」であります。

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渋沢栄一と鉄道
渋沢栄一と鉄道

本書によりますと、渋沢栄一が関わった鉄道事業者は45社あり、その中には上述のように現存しているものもあれば、設立に失敗したもの、廃止されたものもありますが、それでも明治時代という鉄道における黎明期に、これだけの鉄道事業者の設立に関わっているところに、改めて驚きを感じることだと思われます。

加えて渋沢栄一は、鉄道事業を成り立たせるために必要なレンガ(構築物の建設資材として必要)や、ガラス(視界を確保しながら、客車を高速で走らすために必要)といった製造業の振興にも力を注いでいますが、そういった他産業とのつながりも、本書で取り上げられており、「渋沢栄一」という人物を、「鉄道」をキーに理解するのに最適な一冊といえます。

また本書は、徹頭徹尾、渋沢栄一のみに触れている訳ではなく、渋沢が関係する政治・経済の人物とその史実についても多くのページを割いており、上述の表現を用いるならば、「渋沢栄一」をキーに、「鉄道」を介して、「明治時代を中心とした経済動向」を理解するのに適した一冊といえるでしょう。


冒頭に記したように、渋沢栄一は、多数の企業の設立に関わっており、その数は500社、600団体(本書による)ともされています。
流石にこれだけ広く経済活動に関わっている人物であれば、その全容を理解するのには相当難しいと言わざるを得ません。
一方で、大河ドラマの主人公や紙幣の肖像としても選ばれている人物なだけに、この機会に興味を持つ方も多いのではないのでしょうか。

そのための理解を助ける一冊として、鉄道の歴史にある程度の知識のある方にとっては、渋沢栄一という人物を理解する上で、もってこいの本ではないのでしょうか。


本書で渋沢栄一という人物に興味が湧けば、彼が他の分野で成し遂げた功績なども気になるわけですが、それは他の書籍も読むことで、より広く・深く理解することができるのではないかと思います。

丁度、当ブログからもリンクを貼らせていただいている「社畜ゲートウェイ」さんが、下記のように「渋沢栄一」に関する本をまとめられていますので、是非参考にしていただければと思います。
【参考】



ともあれ、決して短いわけではない自分の人生で、初めて「大河ドラマ」を通して見ようと思い立ったこの「渋沢栄一」。
鉄道のみならず、医療や福祉といった社会保障分野での功績も大きいとのことですので、上述の参考書籍も手にしながら、新たに一万円札の肖像画となる人物のことを、少しでも知識として得ることができればいいな、と思った次第です。




●関連ブログ:
【書評】近代鉄道史の勃興を学べる『渋沢栄一と鉄道』(一部ネタバレあり) - 社畜ゲートウェイ



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