JR西日本では、現在ICOCAでの鉄道利用の回数に応じて付与している「ICOCAポイント(利用回数ポイント)」について、還元率を現在の10%から15%に拡大するとともに、ICOCAエリア内の普通回数券の発売を終了する子を発表しました。

ICOCAポイントサービスの拡充及び ICOCAエリア内の「普通回数乗車券」の発売終了について :JR西日本

概要は以下の通りです。

【ICOCAポイント拡充】
・利用回数ポイントの還元率を現在の10%から15%に拡大。
(※)利用回数ポイントは、ICOCAエリア内で1ヶ月間(1日〜月末)に同一運賃区間の利用が11回以上あった場合、11回以降の利用1回毎にICOCAポイントが貯まるサービス。

【PiTaPa割引サービス(利用回数割引)】
・現在の運賃の10%から、15%に割引率を拡大

【サービス変更日】
2021年10月1日(金)

【ICOCAエリア内の普通回数券発売終了】
・発売エリア:
JR西日本のICOCAポイントサービス対象エリア駅相互間
(身体障害者用、知的障害者用及び通学用の割引回数券は継続して発売)
新幹線経由やJR他社とまたがる区間の普通回数券は発売継続

・発売終了日:
2021年9月30日(木)



詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



jrw_icocapoint
▲「ICOCAポイント」マーク。
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/2021/03/page_17640.html)より引用)
10月以降は、回数利用割引を適用するためには、ICOCAポイントへの登録が必要です。

新しい生活様式の観点から、なるべく対面や現金の取扱いから、非接触・ICカード決済といった方法へのシフトが進んでいるところですが、今回のJR西日本の発表は、これまた早いペースでの展開に感じた方も多かったかも知れません。


既に「ICOCAポイント」という仕組みがあるため、いずれ回数券の代替サービスが展開されるのも予想されていた方も多かったのではと思われますが、まさかこれだけ早くに実施されるとは、私自身も驚いた次第です。


今回発表された内容では、同じ月に同一運賃区間の利用が11回以上あった場合に付与される「ICOCAポイント」について、付与率を拡大する一方、ICOCAポイントサービス対象エリアの普通回数券の発売を終了するというものです。

普通回数券発売は、購入日から3ヶ月有効で、10枚分の運賃で11回利用可能、1枚単位でバラして使えるということもあって、使い勝手のよい割引商品であったかと思います。

ただそれが故に、月に4回(2往復)程度の利用が少ないユーザーであってもその割引の恩恵を受けることができてしまうことに加え、バラして使えることから、複数人での利用や、それを更に応用した金券ショップでの発売等、もはや回数券の当初の目的とは違う使われ方もされている現状があります。


一方で交通系ICカードの普及により、ICカードとポイント機能を紐付けることで、回数券の代替機能を、個人単位で適用させることが可能となったことから、他社でも回数券からICカードのポイントサービスへの転換が行われています。

今回、JR西日本が大々的に回数券を大幅見直ししたことにより、上記のようなおトクな普通回数券が終了となることから、便乗値上げの声も聞こえてきます。
確かに、下記比較から分かるように、現在の回数券の1枚単位に比べると、1月あたりの回数が10回未満の場合ですと、10%程度の値上げにもなることが分かります。
jrw_icoca_pointservice
一方で、月20回程度(10往復)の利用だと、実質値上げは数%程度となっており、ある程度の利用回数が継続する場合は、そこまで大きな実質値上げ幅、ということでもなさそうです。

言ってみれば、月10回(5往復)も利用しないライトユーザーは、そもそも回数割引サービスの対象外という考え方が今回示された、といえるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり収入が激減しているなか、「回数割引」と銘打ちながら、実態は週1回程度の利用でも回数割引の対象になるのは、趣旨にもとる、という判断といえるでしょう。

このご時世ですから、実質的な値上げというのには敏感になるのも分かるといえば分かるのですが、一方でJR西日本とて厳しい経営状態であるうえに、これまで本来の趣旨から逸脱している利用方法も見られる回数券にメスが入れられるのは、仕方がない、とも感じたりしていますが、どんなものでしょうか。


きっぷ的観点からみれば、今後JR西日本管内で「普通回数券」が見納めとなるわけですから、発売終了までに記録として購入しておく必要もあるのかな、とも感じます。
もっとも、現在定期券を利用していることもあるので、回数券を利用する機会もなく、果たしてどうすべきか、迷っている次第であります。


ともあれ、現在の回数券制度に大ナタを振るった今回のJR西日本の発表。
特に関西地区の鉄道事業者が今後、このような見直しに追随するのか、あるいは従来通り回数券の設定を続けていくのか、他社の動きにも注目していきたいところであります。




●関連ニュースサイト:
JR西、ICOCAエリアでの回数券発売を9月で終了 - 鉄道コム
ICOCAエリアで「普通回数券」10月に発売終了 ポイント還元に完全移行 JR西日本 | 乗りものニュース




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【悲報】JR西日本、回数券の発売終了…大幅な値上げ・改悪に | 鉄道プレス
JR西日本、「ICOCA」エリアでの回数券廃止: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



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