大阪梅田から神戸三宮を結ぶ阪急神戸線。
途中、武庫之荘(むこのそう)から西宮北口の間で武庫川を渡りますが、この武庫川に新駅を設置することが検討されており、今般その新駅設置に関する検討報告書が、西宮市・尼崎市の両市から公表されました。

(仮)武庫川周辺阪急新駅に関する取組状況について|西宮市ホームページ
(仮称)武庫川周辺阪急新駅|尼崎市公式ホームページ

この新駅に関しては、平成25年度(2013年度)から兵庫県、尼崎市、西宮市、阪急電鉄の四者で構成する検討会で、新駅設置による人口変動や税収効果、整備の方向性や概算事業費などの検討を行ってきたとのことで、今回それらの検討内容を報告書としてまとめたものとなっています。

【検討結果】
・周辺地域における将来人口の差
西宮市・・・増加傾向が顕著(915人増)
尼崎市・・・減少に抑制効果(871人増)

・税収見込みの差
西宮市・・・約2億円/年の増収
尼崎市・・・約1億2千万円/年の増収

・新駅への転換利用者人数(乗降ベース)
西宮市・・・10,367人
尼崎市・・・12,256人

【事業費概要】
・概算事業費
鉄道施設(駅舎等)・・・約50億円
自転車駐車場・・・約5億円
周辺道路等整備・・・約5億円
合計・・・約60億円

・費用負担割合想定
国・・・約21.2億円
自治体・・・約21.2億円
阪急電鉄・・・約18.7億円

【鉄道施設整備概要】
・位置:
武庫之荘駅から約1.6km、西宮北口駅から約1.7km

・ホーム:
2面ホーム

・改札口:
2箇所(両岸)に設置

・イメージ
hankyu_mukogawa_newstation
(上記発表資料(https://www.nishi.or.jp/kotsu/kotsu/kotsukeikaku/kentohokokusho.html)内報告書より引用)

【今後の活動方針】
社会情勢の変化や各事業主体の財政状況等も一層勘案しながら調査研究を継続するとともに、本事業の具体化に向け、相互に連携しながら、周辺地域住民や関係機関等と協議調整に取り組むものとする。


詳細は、上記西宮市・尼崎市のWebサイトを参照ください。



阪急神戸線は、もとより駅間が比較的長い路線でありますが、その中で今回新駅の検討が行われている武庫之荘〜西宮北口間の駅間は約3.3kmと、同路線の中では一番長い距離となっています。

それだけに、この間に新駅を設けることは、何と昭和初期から議論されていたようですが、それが具体的に動き始めたのが、上述の「検討会」による検討が開始された2013年からといえるでしょう。

今回足かけ8年、合計27回に渡り実施されてきた検討会での議論を踏まえて公表された報告書の内容は、上述のとおりであります。

なお、「今後の活動方針」にも記されていますが、今後は住民や関係機関等と協議調整に取り組むものの、具体的なスケジュールは未定となっています。



このように、いわゆる「青写真」が示された阪急神戸線の武庫川新駅ですが、趣味的な注目は、やはり駅施設の方向性でありましょうか。
新駅のイメージは、上記によりますと、武庫川の河川上に、上下線それぞれにのホームを、互いのホームが背になるように配置する構造となっています。

この区間では、平成16年度(2004年度)に橋梁の架け替え工事が完了し、その際上下線が若干離れた構造となっています。
これが新駅設置を見越して設計されたのかどうかは分かりませんが、その構造を活かして、空いているスペースにホームを構築することで、西宮、尼崎の両市側からアクセスできる駅構造となっています。


ちなみにこの「武庫川」ですが、阪急神戸線から少し下流側の阪神本線には、既に「武庫川」駅という駅が設置されています。
この阪神武庫川駅も、川の両岸に改札を有する駅となっており、今回の阪急武庫川新駅の計画が実現すれば、この武庫川には、「川をまたいだ駅が複数設置される」という、ある意味珍しい後継が実現するものと考えられます。

加えて、この武庫川の更に上流では、JR西日本・福知山線の武田尾駅のホームの一部が川の上に設置されており、同じ河川にJR・阪急・阪神の三者のホームがかかるという、これまた珍しいケースとなりそうです。


ともあれ、今後西宮・尼崎の両市ではこの計画の実現に向けた活動を進めていくものと思われますが、地元にとってもメリットの大きい新駅と思われますので、是非実現して欲しいな、と思った次第です。



【関連ブログ】
Msykの業務(鉄道)日誌:実現するか?〜阪急・武庫川駅



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