JR西日本では、毎年度の利用者や収益状況等のデータをまとめた「データで見るJR西日本」というデータ集を同社のWebサイトに掲載されています。
今回、その最新版である「データで見るJR西日本2021」が公表されました。
データで見るJR西日本:JR西日本
このコロナ禍で、JR西日本に限った話ではありませんが、外出制限等により利用者が大幅に減少し、収益も大幅な悪化となりました。
その様子を、JR西日本の企業データとして見るだけでも、もはや酷い有様であることが分かります。
今回取り上げたのは、「主要線区の特急・急行乗車人員の推移(下り片道1日平均)」というデータです。
このデータでは、主な線区の特急列車等の利用者の推移を、同社発足時の1987年度から直近に渡って掲載しているもので、都市間輸送や観光輸送等の在来線特急の利用者の推移が一目で分かる、貴重なデータであります。
今回、2020年度の乗車人員データが追加されたわけですが、予想通りであったとはいえ、大幅な減少となりました。
あまりにも減少してしまい、2020年度の数値が重なり合って見えにくくなるくらい、低いレベルの数値が並ぶ結果となりましたが、前年度(2019年度)との減少率をみると、以下のとおりとなります。

最も利用者が減少したのは、関西空港線「はるか」で、前年度比96.4%減となりました。

▲コロナ禍により需要が「蒸発」した特急「はるか」。
前年度比3.5%の利用者数という惨憺たる結果となりました。
インバウンド増加に備えて増備した271系(画像)も、2020年度は殆ど運用されることはありませんでした。
コロナ禍による国内から海外へ、または海外から国内への利用者がいずれも「蒸発」した結果、考え得る最低のレベルにまで落ち込んでしまっている、といえるでしょう。
もはやこの限られた利用者は、通勤・通学での利用者が殆どであると考えられますが、それもテレワーク等による出勤抑制もありこれまた大幅に減少しており、「日本人の海外利用」「インバウンド」「有料着席通勤利用」のいずれもが減少するというトリプルパンチに見舞われた結果、これほどの「惨状」となってしまいました。
ちなみにこの一日下り平均132人というのは、山陽線寝台特急の最終年度であった2008年度の175人よりも更に低い数値となっています。
当時は1日1本(「富士」「はやぶさ」)のみで、定員も1両40人に満たない末期の寝台特急よりも更に少ない乗車人員であるところからしても、限りなく低い乗車率であることがわかります。
(ちなみに「はるか」は2020年度、最低22本の運行でしたが、2021年度は更に少ない12本での運行となっています。)
また、落ち込みの幅でいえば、「はるか」に続いて大きかったのは「サンダーバード」の87.0%減で、こちらも新型コロナウイルス感染症の影響による移動の制限が故に利用者が大幅に減少したことが分かります。
なお、阪和線関連でいえば、特急「くろしお」の利用者数も、前年度比▲58.5%、即ち4割程度の利用者となっており、上述の「はるか」「サンダーバード」ほどにないにしても、相当の利用者減であることが、データによって示されました。

▲特急「くろしお」287系「パンダくろしお」編成。
「くろしお」に関しては、白浜方面への観光利用の他、和歌山県内及び和歌山県北部〜大阪方面への利用者もあったことから、「はるか」ほどの利用者減ではありませんでしたが、それでも前年度の4割程度の利用者しかありませんでした。
以上のように、コロナ禍による非常に厳しい状況がデータにより改めて顕わとなった、「データで見るJR西日本2021」。
ここでただ利用者が大幅に落ち込んだことが注目されるのは致し方がない面はありますが、個人的にはむしろ、今後この利用者がどこまで回復するのか、という点に注目していきたいと思っています。
ワクチンの接種進捗等により、国内旅行は少しずつ回復していくものと考えられます。
一方で、テレワークが一気に普及したことから、「出張」という利用がコロナ禍前の水準に戻るのは、これまた厳しいと感じたりします。
とはいえ、テレワークにも限界があるように、今後テレワークから対面への揺り戻しも考えられなくもありません。
また、海外からの観光利用は引き続きコロナ禍前とは比べものにならないくらい低い水準がしばらく続くものと考えられます。
一方で、世界的なワクチン接種の進捗が高まれば、2025年の大阪万博の頃にはある程度の海外からの利用も戻ってくることも、期待できなくもありません。
このような、今後も引き続き動向が読めない状況ではありますが、この「どん底」の状況から、いつ、どこの水準まで回復していくか。
鉄道をはじめとした公共交通機関を取り巻く環境を踏まえて引き続き、このブログでご紹介していきたいと思います。
【関連ブログ】
JR西日本、特急がナイアガラ状態で目も当てられないと話題に - 鉄道プレス
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今回、その最新版である「データで見るJR西日本2021」が公表されました。
データで見るJR西日本:JR西日本
このコロナ禍で、JR西日本に限った話ではありませんが、外出制限等により利用者が大幅に減少し、収益も大幅な悪化となりました。
その様子を、JR西日本の企業データとして見るだけでも、もはや酷い有様であることが分かります。
今回取り上げたのは、「主要線区の特急・急行乗車人員の推移(下り片道1日平均)」というデータです。
このデータでは、主な線区の特急列車等の利用者の推移を、同社発足時の1987年度から直近に渡って掲載しているもので、都市間輸送や観光輸送等の在来線特急の利用者の推移が一目で分かる、貴重なデータであります。
今回、2020年度の乗車人員データが追加されたわけですが、予想通りであったとはいえ、大幅な減少となりました。
「データで見るJR西日本」(https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2021_10.pdf)より引用
あまりにも減少してしまい、2020年度の数値が重なり合って見えにくくなるくらい、低いレベルの数値が並ぶ結果となりましたが、前年度(2019年度)との減少率をみると、以下のとおりとなります。

最も利用者が減少したのは、関西空港線「はるか」で、前年度比96.4%減となりました。

▲コロナ禍により需要が「蒸発」した特急「はるか」。
前年度比3.5%の利用者数という惨憺たる結果となりました。
インバウンド増加に備えて増備した271系(画像)も、2020年度は殆ど運用されることはありませんでした。
コロナ禍による国内から海外へ、または海外から国内への利用者がいずれも「蒸発」した結果、考え得る最低のレベルにまで落ち込んでしまっている、といえるでしょう。
もはやこの限られた利用者は、通勤・通学での利用者が殆どであると考えられますが、それもテレワーク等による出勤抑制もありこれまた大幅に減少しており、「日本人の海外利用」「インバウンド」「有料着席通勤利用」のいずれもが減少するというトリプルパンチに見舞われた結果、これほどの「惨状」となってしまいました。
ちなみにこの一日下り平均132人というのは、山陽線寝台特急の最終年度であった2008年度の175人よりも更に低い数値となっています。
当時は1日1本(「富士」「はやぶさ」)のみで、定員も1両40人に満たない末期の寝台特急よりも更に少ない乗車人員であるところからしても、限りなく低い乗車率であることがわかります。
(ちなみに「はるか」は2020年度、最低22本の運行でしたが、2021年度は更に少ない12本での運行となっています。)
また、落ち込みの幅でいえば、「はるか」に続いて大きかったのは「サンダーバード」の87.0%減で、こちらも新型コロナウイルス感染症の影響による移動の制限が故に利用者が大幅に減少したことが分かります。
なお、阪和線関連でいえば、特急「くろしお」の利用者数も、前年度比▲58.5%、即ち4割程度の利用者となっており、上述の「はるか」「サンダーバード」ほどにないにしても、相当の利用者減であることが、データによって示されました。

▲特急「くろしお」287系「パンダくろしお」編成。
「くろしお」に関しては、白浜方面への観光利用の他、和歌山県内及び和歌山県北部〜大阪方面への利用者もあったことから、「はるか」ほどの利用者減ではありませんでしたが、それでも前年度の4割程度の利用者しかありませんでした。
以上のように、コロナ禍による非常に厳しい状況がデータにより改めて顕わとなった、「データで見るJR西日本2021」。
ここでただ利用者が大幅に落ち込んだことが注目されるのは致し方がない面はありますが、個人的にはむしろ、今後この利用者がどこまで回復するのか、という点に注目していきたいと思っています。
ワクチンの接種進捗等により、国内旅行は少しずつ回復していくものと考えられます。
一方で、テレワークが一気に普及したことから、「出張」という利用がコロナ禍前の水準に戻るのは、これまた厳しいと感じたりします。
とはいえ、テレワークにも限界があるように、今後テレワークから対面への揺り戻しも考えられなくもありません。
また、海外からの観光利用は引き続きコロナ禍前とは比べものにならないくらい低い水準がしばらく続くものと考えられます。
一方で、世界的なワクチン接種の進捗が高まれば、2025年の大阪万博の頃にはある程度の海外からの利用も戻ってくることも、期待できなくもありません。
このような、今後も引き続き動向が読めない状況ではありますが、この「どん底」の状況から、いつ、どこの水準まで回復していくか。
鉄道をはじめとした公共交通機関を取り巻く環境を踏まえて引き続き、このブログでご紹介していきたいと思います。
【関連ブログ】
JR西日本、特急がナイアガラ状態で目も当てられないと話題に - 鉄道プレス
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