小田急電鉄(小田急)では、同社沿線における子育て応援ポリシー「こどもの笑顔は未来を変える。Odakyu パートナー宣言」を策定し、このメッセージの具現化に向けて、「小児IC運賃の低廉化」などの子育て世代応援施策に取り組むことを発表しました。

子育て応援ポリシーを定め、「こどもの笑顔をつくる子育てパートナー」であることを宣言|小田急

概要は以下のとおりです。

【小児IC運賃低廉化概要】
・実施時期:
2022年春から

・低廉化概要:
IC利用時の小児運賃を、小田急線内一律50円とする。

・参考:
小児運賃(IC利用)を持続的に大人運賃を半額以下に一律低廉化するのは、全国初の取り組み


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



DSC_0927
▲ロマンスカー「EXEα」(本厚木駅)
小児IC運賃の低廉化で、子育て世代のロマンスカー乗車もハードルが下がる可能性もあります。
将来的な利用者を増やしていく意味では、非常に興味深い割引施策といえます。



以前から言われているように、また将来の人口推計が示すように、日本国内では今後子供の数が減少する「少子化」がより一層進むことが確実となっています。

少子化に進む理由というのは様々なものがあり、結婚しない人がかつてに比べて増えてきたことや、そもそも世代間の人口の差が大きい(団塊、団塊ジュニア世代とその他世代)といったこともありますが、子育てに対する負担が大きい、ということも理由の一つとしては考えられるかも知れません。


子育ての負担を軽減するために、国や自治体などでも様々な支援策を実施していますが、今回小田急電鉄では、子育てしやすい地域の実現に貢献し、小田急線沿線を「子育てしやすい沿線」するために、子育て世代の支援施策を実施することになりました。


その特徴的なものであり、また今回の発表の目玉であるのが、「ICカード小児運賃の50円均一化」といえるでしょう。
これだけ聞くと、かなり無茶なことを行っている、とも考えられそうですが、

・元々小児運賃は大人運賃の半額で割引額が大きい
・小児用ICカードの購入には本人確認が必要なため、不正利用のリスクが低い
・同行の大人運賃は従前どおりのため、家族での外出機会を増やすことで減収の抑制や増収の機会も得られる


といったことを考えると、インパクトを与え、またイメージアップに寄与する施策である一方で、値下げによる財務への影響はあまり大きいとも考えられず、むしろ中長期的には沿線住民増加にも寄与することから、メリットの大きい施策であるといえるでしょう。


これまで、鉄道において特定世代に適用されるといえば、定年退職後のシニアを対象にした割引が多いように感じられましたが、一方で子育て世代に対する割引施策、というのはあまり多くなかったのではないか、とも思われます。

それも当然で、現在のシニア世代は、いわゆる「団塊の世代」も含まれた世代であり、総人口に占める比率も大きく、それが故に各事業者は手っ取り早く収益が見込めるものとして、多種の割引商品を提供してきました。

しかし、将来的な鉄道利用者を長期に渡り獲得するためには、やはり子供が増えてこないといけないわけで、そういった子供を育てる世代をターゲットにした割引は、そこまで多くなかったような気もしますので、今回の小田急の「小児IC運賃50円均一」が一つの転換点となればいいな、とも思います。

今後、他事業者でも追随するところが出てくるのか、注目していきたいと思ったニュースでありました。




【関連ブログ】
【小田急】2022年春から小児IC運賃を一律50円へ - kqtrain.net(京浜急行)



【関連ニュースサイト】
小田急、子どもIC運賃を全線均一50円に - 鉄道コム
小田急線の子ども運賃「1乗車50円」に! 子育てしやすい沿線目指し2022年春から | 乗りものニュース
小田急、小児IC運賃を一律50円へ。2022年春から。子育て世代応援施策を推進 - トラベル Watch
小田急「子ども50円」に効果はあるか。子育て応援で利用促進へ | タビリス



↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム