千葉県の第三セクター鉄道「いすみ鉄道」では、キハ52型・キハ28型をJR西日本より譲受し、観光急行列車を主体に運行してきました。

このうち、キハ28型「キハ28-2346号車」について、今年11月での定期運行終了、そして来年2月初旬までの不定期運行をもって引退することが発表されました。

キハ28-2346号車 定期運行終了予定のお知らせ | いすみ鉄道公式ウェブサイト

概要は以下のとおりです。

【引退車両】
キハ28−2346号車
(2013年3月9日よりいすみ鉄道で運行)

【引退理由】
・検査切れにより、全般検査の施工が必要であること。
・走行エンジンの老朽化、交換部品の生産中止による今後の保守体制が不安定なこと。
・冷房エンジンの老朽化、交換部品が枯渇していること。

また、全般検査を取得し、今後も営業車両として運行するためには、走行エンジンおよび冷房エンジン、付帯艤装の交換や新設工事が必要。
これらすべてを施工するには現在のいすみ鉄道運賃収入の年間売上を超える金額が必要。

【引退日】
・2022年11月27日(日)にて定期運行終了。
・2023年2月初旬まで貸切車両等の不定期運行を計画


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



上述のとおり、いすみ鉄道では懐かしいローカル線を再現して、観光客を呼び寄せる戦略として、引退したい国鉄型気動車を導入して運行しています。

今回引退するキハ28についても、既に導入されたキハ52形に続き、2012年に導入発表、そして2013年3月から運行を開始しました。



その後、9年以上に渡りいすみ鉄道で観光急行列車として活躍してきましたが、元より老朽化が故にJRで引退した車両を譲り受けたこと、そして何より現存する現役車両がここ、いすみ鉄道の1両を残すのみとなったことから、部品の調達が困難となったことから、今回運行終了が発表されました。


上記発表の引退理由では、全般検査を取得するためには、いすみ鉄道の運賃収入の年間売上を超える金額が必要であることも記されています。
勿論、こういった費用について、今や普及している「クラウドファンディング」で集めてはどうか、という意見もあるかも知れません。

しかし、営業車両として運行するためには、費用もさることながら、そもそも交換部品が枯渇していることは、やはり大きな壁になろうかと思います。
考えてみれば、今から約10年前に絶滅するはずだった、当時の姿を色濃く残す国鉄型気動車のキハ58系(※)について、その後10年に渡り延命できたことは、当時の社長のアイデアもさることながら、その後の運用を支えていた現場、そしてこれらの車両を乗りたい・見たいが為に訪問した多くの乗客・ファンの成果、といえるでしょう。

(※)JRグループのキハ58系については、2018年に運用終了、2020年に廃車されたJR東日本のジョイフルトレイン「Kenji」が最後となります。
しかし「Kenji」については、オリジナルのキハ58系から大幅に改造されていたことから、「デビュー当時の姿を残す」車両としては、いすみ鉄道のキハ28が最後といえます。




鉄道ファン、特に懐かしい国鉄型車両を追いかけているファンにとっては衝撃のニュースであったかも知れません。
一方で、いすみ鉄道の自社発注車両「いすみ350型」では、このようにキハ52系のイメージを取り入れてた、少し懐かしいデザインとなっています。

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▲いすみ鉄道 キハ350型

同時期に導入された「いすみ300型」と比べると、その差はよりはっきりするかと思われます。
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▲(左)いすみ350型
(右)いすみ300型

また同様のコンセプトというのでしょうか、キハ52系のイメージを現在の車両で再現するとともに、塗装も国鉄一般色として再現した「キハ20 1303」という車両も、いすみ鉄道に在籍しています。


残るキハ52系についても、今後このような形での引退も考えられますが、引き続き懐かしいディーゼルカーの雰囲気を味わえる車両も走っていることから、引き続きの集客を期待したいところです。




【関連ニュースサイト】
現役最後のキハ58系列、いすみ鉄道のキハ28形が引退へ - 鉄道コム

いすみ鉄道,キハ28 2346の定期運行を終了へ|鉄道ニュース|2022年5月21日掲載|鉄道ファン・railf.jp

いすみ鉄道キハ28形、定期運行終了へ - 車両維持・部品確保困難に | マイナビニュース

いすみ鉄道の「国鉄キハ28形」引退へ 運行維持に多額 | 乗りものニュース



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