南海電鉄では、和歌山港線における自動運転に関する実証実験を2023年度から実施することとし、これに向けて2022年7月より順次準備を進めることを発表しました。

和歌山港線における『自動運転実証試験』に向けて事前準備を2022年7月から順次進めてまいります|南海電鉄

概要は以下のとおりです。

【実証試験開始に向けた準備の内容】
・車上設備、地上設備の整備
車上設備として自動運転を行うための自動列車運転装置と、自動運転を行う車両の乗務員のための操作表示部を新設。
地上設備として、これまで運転士が確認・判断していた情報(信号機の現示や走行経路情報など)を、車両の自動列車運転装置に伝達するための設備を一部新設。
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(上記発表資料(http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/220616.pdf)より引用)

・自動運転システムに係わる検討・評価の実施
自動運転を行うための各装置の機能や精度の確認のほか、安全性や安定性、異常時の取扱いなどに
ついて、関係省庁や有識者で構成する第三者委員会による検討・評価を実施

【準備の開始時期】
2022年7月から

【実証試験の予定場所】
和歌山港線(和歌山市〜和歌山港、営業キロ程2.8km)

【実証試験の実施予定時期(想定)】
2023年度予定

【実証試験の運営(想定)】
昼夜の試運転車両において、運転士が乗務した状態で実施。
(営業運転している列車では実証試験は実施しない。)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。




少子化が進む中、将来に向けて労働力人口の減少が続くことが予想されていることから、いまある仕事をより少ない人員・労働力で行えるような仕組みの構築が、いま様々な場面で求められています。

既にJR西日本では、夜間の保守点検やみどりの窓口について、将来的により少ない人員でも持続可能な仕組みを構築するべく、最終列車の繰り上げや「みどりの窓口」縮小・「みどりの券売機」拡充等の施策を実施しています。

阪和線の沿線から : 【JR西日本】環境変化を踏まえた今後の駅体制を発表。「みどりの窓口」を縮小し「みどりの券売機」を拡充へ
阪和線の沿線から : 【JR西日本】深夜帯ダイヤ見直し実施を発表(2021年春実施予定)近畿エリアで10分〜30分の終電繰り上げを実施


加えて、運行に係わる人員の確保に向けて、自動運転の更なる拡充が考えられますが、新交通システム等、自動運転が前提の鉄軌道はともかく、既存の普通鉄道や軌道において、自動運転を実施するためには、様々な実証実験が必要となっています。

一部の鉄道事業者では、こういった将来を見据えて、既に自動運転実現への取り組みを実施していますが、今回南海電鉄では、和歌山港線において自動運転の実証実験を実施するための事前準備を開始することを発表しました。


自動運転の実証試験を実施する場所は、和歌山港線とのことです。
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▲和歌山港線を走る「めでたいでんしゃ さち」7100系。

和歌山港線は、上述のとおり3km弱の支線的な路線で、特急「サザン」は急行の一部が乗り入れるとはいえ、和歌山港駅で接続する南海フェリーに合わせた時刻の列車が中心となっていることから、昼間時間帯には2時間程度列車の運行がない時間帯も存在しています。

南海電鉄で、他にこのような間合いが確保できる路線は実は存在していないことも、この和歌山港線が自動運転の実証実験に選ばれた理由なのかな、とも感じました。

実証試験は、2023年度からを予定しているとのことですが、ファン的に気になるのは車上設備を搭載する車両についてでしょうか。

現在、和歌山港線では上述の「サザン」及び急行を除くと、基本的に7100系または2200系・2230系の2両編成が充当されています。

車上設備を搭載するのはこれら既存の和歌山港線で運用されている車両か、それとも他の車両か、気になるところではありますが、地元・和歌山での自動運転実証実験ですので、より具体的な内容がでてくれば、逐次ご紹介していきたいと思います。




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南海、和歌山港線で2023年度に自動運転の実証実験を開始へ - 鉄道コム

南海、和歌山港線で「自動運転」へ 7月から実証実験への事前準備 | 乗りものニュース

南海和歌山港線で自動運転---最前部には係員 2023年度から実証実験 | レスポンス(Response.jp)

南海電鉄、和歌山港線で自動運転実証試験を予定 - 7月から準備開始 | マイナビニュース

南海電鉄、和歌山港線で自動運転の実証試験 - Impress Watch

南海和歌山港線で「自動運転実証試験」を2023年から実施へ 〜実証実験に向けた各種設備を南海・京三製作所で開発〜|鉄道ニュース|2022年6月25日掲載|鉄道ファン・railf.jp



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