和歌山県和歌山市の紀三井寺は、西国三十三ヶ所巡りの第二番札所として、多くの人が参拝しています。
阪和線の沿線から : 【西国三十三ヵ所】紀三井寺(第二番札所)(2020.1.11)

この紀三井寺は、本殿に至るまで231段の急な石段を登る必要があります。
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この石段は「結縁厄除坂」としても知られており、この坂を登り切って振り返って眺める和歌山市内、そして和歌浦の風景は、それはそれは本当にすばらしいものがあります。

一方で、これだけ急な階段でありますので、歩行が難しい方は言うに及ばず、通常の歩行が可能な方でも体力的に厳しい場合も少なからずありました。

そんな紀三井寺をより気軽に参拝できる手段として、この4月から紀三井寺に「ケーブルカー」が設置され、運行を開始しました。
4月5日、ケーブル除幕式、いよいよケーブル始動 – 紀三井寺



このケーブルカーは、鉄道事業法に基づく「鉄道」ではないものの、システムとしては鉄道事業法に基づくそれと変わりないものでもあることから、開業前後にはファンや識者の注目を集めていました。

紀三井寺にケーブルカー新線3月末開通 バリアフリー化を目的に工事進む | 乗りものニュース
和歌山の紀三井寺「ケーブルカー」3月末に完成へ 鉄道事業法の適用は? | 鉄道ニュース【鉄道プレスネット】

そんな「紀三井寺ケーブルカー」、ここ和歌山でも注目の乗り物でもあることから、私自身も近いうちに乗ってみたいと思っていたところ、鉄道友の会阪神支部からこのケーブルカー見学会の案内がありましたので、喜んで参加させていただくことにしました。

以下、鉄道友の会の見学会の様子をご紹介していきたいと思います。



JR紀三井寺駅で集合の後、徒歩で紀三井寺のケーブルカー山麓駅まで向かいます。
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上記写真奥の、一般客は通常入れない通路で集合します。
鉄道友の会 須田会長も訪問されました。
須田会長の挨拶の様子です。
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続いて、紀三井寺の前田貫主より挨拶がありました。
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貫主さんのお話によりますと、ケーブルカーの建設が始めるにつれ、一般の参拝者以外の方が訪問するようになり、気になっていたところ、このケーブルカーも鉄道の一つとして愛好家からの注目を集めている、ということで、新たな訪問者の注目に驚いた、というくだりがありました。

確かにこのケーブルカーは、今年の建設時に「果たして鉄道事業法上の「鉄道」としての扱いになるのかどうか、開業前に一部で話題となっていましたので、そういった点からも、これまで紀三井寺を訪問することが無かったであろう参拝客が増えたのに驚いたのも、宜なるかな、といったところでしょうか。

貫主さんのお話のあと、撮影の時間となりますが、それに並行して、このケーブルカーを製作した日本ケーブル株式会社大阪支店の副支店長さんから、仕様等の詳細な解説がありました。

私が注目したのは、鉄道事業法上の鉄道として取り扱われなかった理由でした。
日本ケーブルさんによると、建設の際、近畿運輸局に確認したところ、今回の紀三井寺ケーブルについては全長、速度、輸送人員等から判断したところ、鉄道ではない旨確認が取れた、という話もいただきました。

個人的には、この紀三井寺ケーブルカーが鉄道事業法上の鉄道として取り扱われなくなった経緯が気になっていましたが、本日の貴重なお話はそういう点で参考になりました。


以下、ケーブルカー走行の様子を撮影してみます。
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▲仏殿をバックに走る紀三井寺ケーブルカー。

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▲ケーブルカーの線路を下から覗きます。


一通り撮影が終わった後、順番に山上駅までケーブルカーで上り、車内を撮影します。
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車内は9人が着席できます。
運行は乗客があり次第、随時となっています。


参加者が全員登りきったところで、ケーブルカーの巻き上げ室を見せていただくことができました。
これも鉄道友の会のという団体の行事が故にご厚意で見せていただくことができるので、本当にありがたいものです。
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アジサイ・和歌浦とケーブルカー。
勿論、アジサイとケーブルカーは、今シーズン初めての組み合わせです。
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途中の坂道からケーブルカーを撮影。
仏殿との組み合わせがより一層映える構図となりました。
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仏殿から和歌浦を眺めつつ、ケーブルカーを見下ろしてみます。
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以上が、本日参加した鉄道友の会阪神支部主催の紀三井寺ケーブルカー見学会の様子でした。

平日の午後ということもありましたが、参加者は約20名、そして須田会長も来られるという、有意義な見学会でした。

また本日の見学会に快くご対応いただきました紀三井寺の前田貫主様、そして日本ケーブル関西支店副支店長様に厚く御礼申し上げます。

貫主様の言葉にもありましたとおり、このケーブルカーの情報を積極的に発信することで、これまで紀三井寺、そして西国三十三ヵ所巡りに興味のなかった鉄道ファン等の方々が、少しでも興味を持って、そして実際に訪問していただければと思っていますし、当ブログが少しでもそのお役に立つことができれば嬉しく感じます。



【2023.9.11追記】
いつもお世話になっている「鉄道プレス」様が、この紀三井寺のケーブルカーを訪問された記事をアップされています。
当ブログにもリンクをいただいていますので、こちらからもご紹介いたします。
併せてご覧下さい。
【ホームドア付!】和歌山・紀三井寺に新設されたケーブルカーを見てきました - 鉄道プレス



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