JRグループでは、国鉄時代からこれまで、「フルムーン夫婦グリーンパス」という商品を毎年発売してきました。
商品の概要としては、二人の年齢が合計88歳の夫婦を対象に、同一行程で特急列車(新幹線も含む、「のぞみ」等一部列車は除く)のグリーン車指定席等に乗り放題という、非常にお得なきっぷとなっていました。
昨年も、2021年9月1日から発売、同年10月1日〜2022年6月30日まえの連続した5・7・12日間有効な商品として発売されてきました。
「フルムーン夫婦グリーンパス」の発売について|JR西日本
しかし今年度は、毎年のような発売開始の発表がJRグループから特に発表がなかったこともあり、この「フルムーン夫婦グリーンパス」について、「旅行総合研究所「タビリス」」が取材したところ、今後の発売が予定されていない旨の回答を得たとのことでした。
「フルムーン夫婦グリーンパス」が販売終了。40年の歴史に幕 | タビリス
上述のとおり、国鉄時代から継続して、かつJRグループ旅客6社の共通商品としてこれまでラインナップされてきたこの「フルムーン夫婦グリーンパス」。
民営化当初は同様に、国鉄から引き継いだ企画きっぷは多くありましたが、徐々にその数を減らし、今回の販売終了により、「青春18きっぷ」を残すのみとなってしまいました。
この「フルムーン夫婦グリーンパス」ですが、昨年度の発売で、5日間84,330円(2名分・一般用)なので、1名当たり約4万3千円、1名あたり1日9千円弱でJRグループ各社のグリーン車が乗り放題となる、「破格」ともいうべききっぷだったといえます。
上記「タビリス」の記事によりますと、国鉄時代は7日間7万円だったそうで、昨年度の104,650円に比べると値上げはされてきた模様です。
しかし、それを上回る勢いで新幹線の延伸・スピードアップが行われ、結果として簡単に元が取れてしまう商品になってしまったことが想定されます。
勿論、コロナ禍前までは、そういった商品であっても少なくない利用者があったことから、存在理由もあったことでしょうが、このコロナにより厳しい経営状況のJR各社にとって、ここまで「破格」のきっぷを最早販売し続ける余裕が無くなった、とも考えられます。
また、「夫婦セットで発売」というきっぷの形態についても、発売当初には想定できない程に夫婦や結婚に対する考え方が複雑化・変化してしまった、という背景事情もあるかも知れません。
「フルムーン夫婦グリーンパス」発売当初に比べると現在では、生涯未婚率は大きく上昇していますし、また、性別に関しても、単に男女で区切るという考え方では済まなくなった、ということも無視できないでしょう。
加えて、こういった社会環境の変化を見据えて、JR東日本「大人の休日倶楽部」、JR西日本「おとなび」のように、「フルムーン夫婦グリーンパス」よりもう少し上の年齢層からを対象にした、そして夫婦に限定されない会員向けのフリーパスを用意してきたことも考えられるでしょうか。
ともあれ、国鉄時代から引き継がれてきた商品が、また一つ消えることに、一抹の寂しさを感じざるを得ません。
国鉄〜JRに引き継がれた企画きっぷのうち、「周遊券」「青春18きっぷ」は、年齢・性別に関係なく使えましたが、この「フルムーン夫婦グリーンパス」は、夫婦でかつ合計88歳以上という、年齢に加え、誰か「相手」を見つけないといけない商品でありましたから、おいそれと簡単に購入できるものではありませんでした。
それがために、将来いつか利用してみたいな、と思いながら年月は経ち、今や「フルムーン夫婦グリーンパス」の利用条件を満たすことができましたが、そんな折にこの販売終了のニュースに、流石に落胆していないわけではありませんが、上述の状況を考えると、致し方ないのかな、とも感じたニュースでありました。
「フルムーン夫婦グリーンパス」では、「グリーン車乗り放題」が大きな目玉でありました。
▲JR西日本283系「オーシャンアロー」。
先頭車「パノラマグリーン車」も「フルムーン夫婦グリーンパス」で利用できました。
▲東海道新幹線「ひかり」グリーン車。
東海道・山陽新幹線では「のぞみ」「みずほ」はグリーン車だけでなく、指定席、自由席も利用はできませんでした。
そのため、特に東海道新幹線では1時間に2本の「ひかり」「こだま」だけが利用できました。
▲北海道新幹線「はやて」グリーン車。
「はやぶさ」「はやて」については、「フルムーン夫婦グリーンパス」で利用可能でした。
今回の「フルムーン夫婦グリーンパス」発売終了により、国鉄時代から継続して発売されている企画きっぷは「青春18きっぷ」だけになりました。
「フルムーン夫婦グリーンパス」よりも更に多くの枚数を発売しているもようのこの「青春18きっぷ」、性別や年齢は不問のきっぷなだけに、それが理由で発売終了というのは考えにくいいっぽう、整備新幹線の延伸に伴う並行在来線も増えてきたことから、そのルールも年々複雑化してきています。
今後のシーズンも発売され続ける保証はないだけに、「使えるうちに使っておく」というのも大事な考え方なのかな、とも感じた次第であります。
【関連ニュースサイト】
「フルムーン夫婦グリーンパス」が販売終了。40年の歴史に幕 | タビリス
(2022年9月1日追記:)
他の報道機関も、「フルムーン夫婦グリーンパス」の廃止について報じていますので、併せてご紹介します。
フルムーン夫婦グリーンパス、事実上の廃止 2022年9月の発売なし - TRAICY(トライシー)
JRフルムーン切符、40年で幕 夫婦でグリーン車乗り放題 | 共同通信
【関連ブログ】
「フルムーン夫婦グリーンパス」廃止へ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」
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商品の概要としては、二人の年齢が合計88歳の夫婦を対象に、同一行程で特急列車(新幹線も含む、「のぞみ」等一部列車は除く)のグリーン車指定席等に乗り放題という、非常にお得なきっぷとなっていました。
昨年も、2021年9月1日から発売、同年10月1日〜2022年6月30日まえの連続した5・7・12日間有効な商品として発売されてきました。
「フルムーン夫婦グリーンパス」の発売について|JR西日本
しかし今年度は、毎年のような発売開始の発表がJRグループから特に発表がなかったこともあり、この「フルムーン夫婦グリーンパス」について、「旅行総合研究所「タビリス」」が取材したところ、今後の発売が予定されていない旨の回答を得たとのことでした。
「フルムーン夫婦グリーンパス」が販売終了。40年の歴史に幕 | タビリス
フルムーン夫婦グリーンパスは、2人の年齢の合計が88歳以上の夫婦が、同一行程で旅行する場合に利用できるJRの特別企画乗車券です。JR全線のグリーン車が5日間・7日間・12日間にわたり乗り放題で、2人で82,800円〜127,950円という破格値が売り物です。
国鉄時代の1981年に発売が開始されたロングセラー商品で、2021年に40周年を迎えたところです。「青春18きっぷ」とともに、JR全線が乗り放題となる貴重なきっぷとして存続してきました。
例年、10月1日〜6月30日が利用期間で、8月下旬に詳細が発表されてきました。しかし、2022年は公式発表がなく、筆者が問い合わせたところ、今後の発売が予定されていない旨が伝えられました。
JR各社のウェブサイトでも、フルムーン夫婦グリーンパスの情報は表示されなくなっていて、販売終了により、40年の歴史に幕を閉じたことが明らかになりました。
上記「タビリス」記事(https://tabiris.com/archives/fullmoon2022/)より引用、太字・下線は管理人による。
上述のとおり、国鉄時代から継続して、かつJRグループ旅客6社の共通商品としてこれまでラインナップされてきたこの「フルムーン夫婦グリーンパス」。
民営化当初は同様に、国鉄から引き継いだ企画きっぷは多くありましたが、徐々にその数を減らし、今回の販売終了により、「青春18きっぷ」を残すのみとなってしまいました。
この「フルムーン夫婦グリーンパス」ですが、昨年度の発売で、5日間84,330円(2名分・一般用)なので、1名当たり約4万3千円、1名あたり1日9千円弱でJRグループ各社のグリーン車が乗り放題となる、「破格」ともいうべききっぷだったといえます。
上記「タビリス」の記事によりますと、国鉄時代は7日間7万円だったそうで、昨年度の104,650円に比べると値上げはされてきた模様です。
しかし、それを上回る勢いで新幹線の延伸・スピードアップが行われ、結果として簡単に元が取れてしまう商品になってしまったことが想定されます。
勿論、コロナ禍前までは、そういった商品であっても少なくない利用者があったことから、存在理由もあったことでしょうが、このコロナにより厳しい経営状況のJR各社にとって、ここまで「破格」のきっぷを最早販売し続ける余裕が無くなった、とも考えられます。
また、「夫婦セットで発売」というきっぷの形態についても、発売当初には想定できない程に夫婦や結婚に対する考え方が複雑化・変化してしまった、という背景事情もあるかも知れません。
「フルムーン夫婦グリーンパス」発売当初に比べると現在では、生涯未婚率は大きく上昇していますし、また、性別に関しても、単に男女で区切るという考え方では済まなくなった、ということも無視できないでしょう。
加えて、こういった社会環境の変化を見据えて、JR東日本「大人の休日倶楽部」、JR西日本「おとなび」のように、「フルムーン夫婦グリーンパス」よりもう少し上の年齢層からを対象にした、そして夫婦に限定されない会員向けのフリーパスを用意してきたことも考えられるでしょうか。
ともあれ、国鉄時代から引き継がれてきた商品が、また一つ消えることに、一抹の寂しさを感じざるを得ません。
国鉄〜JRに引き継がれた企画きっぷのうち、「周遊券」「青春18きっぷ」は、年齢・性別に関係なく使えましたが、この「フルムーン夫婦グリーンパス」は、夫婦でかつ合計88歳以上という、年齢に加え、誰か「相手」を見つけないといけない商品でありましたから、おいそれと簡単に購入できるものではありませんでした。
それがために、将来いつか利用してみたいな、と思いながら年月は経ち、今や「フルムーン夫婦グリーンパス」の利用条件を満たすことができましたが、そんな折にこの販売終了のニュースに、流石に落胆していないわけではありませんが、上述の状況を考えると、致し方ないのかな、とも感じたニュースでありました。
「フルムーン夫婦グリーンパス」では、「グリーン車乗り放題」が大きな目玉でありました。
▲JR西日本283系「オーシャンアロー」。
先頭車「パノラマグリーン車」も「フルムーン夫婦グリーンパス」で利用できました。
▲東海道新幹線「ひかり」グリーン車。
東海道・山陽新幹線では「のぞみ」「みずほ」はグリーン車だけでなく、指定席、自由席も利用はできませんでした。
そのため、特に東海道新幹線では1時間に2本の「ひかり」「こだま」だけが利用できました。
▲北海道新幹線「はやて」グリーン車。
「はやぶさ」「はやて」については、「フルムーン夫婦グリーンパス」で利用可能でした。
今回の「フルムーン夫婦グリーンパス」発売終了により、国鉄時代から継続して発売されている企画きっぷは「青春18きっぷ」だけになりました。
「フルムーン夫婦グリーンパス」よりも更に多くの枚数を発売しているもようのこの「青春18きっぷ」、性別や年齢は不問のきっぷなだけに、それが理由で発売終了というのは考えにくいいっぽう、整備新幹線の延伸に伴う並行在来線も増えてきたことから、そのルールも年々複雑化してきています。
今後のシーズンも発売され続ける保証はないだけに、「使えるうちに使っておく」というのも大事な考え方なのかな、とも感じた次第であります。
【関連ニュースサイト】
「フルムーン夫婦グリーンパス」が販売終了。40年の歴史に幕 | タビリス
(2022年9月1日追記:)
他の報道機関も、「フルムーン夫婦グリーンパス」の廃止について報じていますので、併せてご紹介します。
フルムーン夫婦グリーンパス、事実上の廃止 2022年9月の発売なし - TRAICY(トライシー)
JRフルムーン切符、40年で幕 夫婦でグリーン車乗り放題 | 共同通信
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