JR西日本と日本旅行では、「吹田総合車両所見学ツアー」と題し、通常は一般開放されない同車両所の見学・撮影が可能なツアーを、2022年5月から開催しています。
阪和線の沿線から : 【JR西日本】吹田総合車両所見学ツアー発売を発表(2022.5.22実施)クモヤ145系、廃車予定のクロ681-10001などの見学撮影を実施

これまで過去4回実施されたこのツアーですが、5回目となる本日(9月18日)、初めて参加することができましたので、その様子を紹介したいと思います。



このツアーでは、JR西日本社員による吹田総合車両所の各施設(建物)の案内と、工事中・検査中や、廃車予定の車両の撮影が主なコンテンツとなっています。

今回のツアーでは、参加者約50名が2つのグループに分かれ、見学を行いながら、撮影を楽しみました。



【屋外展示車両撮影】
このツアー一番の見もの、そして参加者の一番の目的でもある「屋外展示車両」の撮影。
車両工場で開催されるが故に、毎回ラインナップが変わるというのも、このツアーの隠れた魅力、といえるでしょう。
今回の展示車両は以下のとおりでした。

●103系と415系
今年3月のダイヤ改正で、奈良線の運用から引退したウグイス色の103系。


そして、同ダイヤ改正で七尾線の運用から引退した415系。
これら両系式2両ずつ、計4両の先頭車が展示されていました。
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また、103系のうち1両は、隣の車両から電源を取り入れ、幕を回したり警笛を鳴らしたりといったサービスを実施していただけました。
▲警笛の吹鳴時の動画です。

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【103系ヘッドマーク掲出】
今回、103系に3種類のヘッドマークの掲出が行われましたので、ご紹介します。

「ありがとう交通科学博物館」
2014年4月に閉館した「交通科学博物館」。
大阪環状線・弁天町駅の高架下に設けられていた博物館でしたが、52年間の歴史に幕を閉じ、多くの収蔵物は京都鉄道博物館等で再び展示されています。
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「関西空港開港・特急はるかデビュー」
1994年9月4日、関西空港が開港し、同日関空特急「はるか」の運行が開始されました。
これを記念して掲出されたヘッドマークでした。
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▲隣に停車していた281系(クロ280)との並びで撮影してみました。

「ICOCA10周年記念」
2003年にサービス開始したJR西日本の交通系ICカード「ICOCA」。
2013年には10周年を迎えたことから、このようなヘッドマークが掲出されたとのことです。
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そういえば来年はICOCA20周年。10周年の時に比べものにならないくらいの厳しい経営状況であろうことは容易に想像されますが、それでもやはり20周年の節目ですので、何か面白いイベントがあればいいな、とふと思いました。

・幕回し
可能な限り、103系の幕回しリクエストに応じていただけるとのことでした。
折角の機会なので、何かリクエストしてみよう、ということで、定期列車は勿論、臨時列車でもそうそう設定される機会の無い「三輪」をリクエストしてみました。
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「三輪」という駅は、桜井線の巻向(まきむく)〜桜井間にある駅で、大神(おおみわ)神社の最寄り駅として、正月三が日の初詣には大変賑わう駅であります。

正月三が日は、桜井線でも臨時列車を増発していますが、「三輪行き」という列車はその初詣臨時列車でも近年見かけたことはありませんが、色々調べてみると、過去には桜井〜三輪間の列車の設定もあったようです。


●クモヤ145
車両工場では自ら動くことができない車両を、入れ換えたりするのに使用する「牽引車」クモヤ145。
このクモヤ145は2両展示されていました。
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うち1両は、このように車両中央の扉からクレーンが伸びている状態で展示されていました。
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●クハ455-702
413系各編成の中でも異端を放ったのがこの「クハ455」でした。
型式名のとおり、本来は455系の制御車でありましたが、413系との編成に組み込まれた車両です。
外観、内装とも急行形の面影は残しつつ、通勤通学輸送に対応するべく扉付近をロングシート化するなどの改造が行われていました。
このクハ455も、他の413系と同様、今年3月のダイヤ改正まで運用に就いていましたので、実質的に「最後の急行形電車」ともいえる車両でありました。
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▲かつては青帯・白地の塗装でしたが、かつての塗装が下地となっていることが分かります。」

●クロ681-1001
続いて特急型車両ですが、その中でも注目は、こちらの「クロ681-1001」。
先頃、681系最初の廃車事例として話題となりましたが、今回のツアーでも展示されていました。
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●281系、289系
関空特急「はるか」のクハ281、「きのさき」「まいづる」等に使用される289系の展示です。
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▲281系「クハ281」

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▲289系「クハ288」

●221系
冷房用車両として用意されたのは221系でした。
何の変哲もない221系、と思いきや、種別と行先に注目です。
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「新快速|吹田」という、これまた通用ではあり得ない表示となっていました。

「冷房用車両」として車内も入ることができましたので、ここぞとばかり、車内案内のLEDも撮影してみました。
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【工事中の車両撮影】
上述の展示中の車両に加え、車両工場という特徴を活かした展示として、工事中の車両を撮影することができました。
今回撮影できたのは、以下の車両です。
●113系
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●125系
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●223系0番台
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阪和線や関西空港線を中心に運用される223系0番台では、順次リニューアル工事が進んでいます。
利用者の目につくリニューアル内容としては、「種別表示のLED化」「行先表示LEDの交換」「ヘッドランプのLED化」などで、このブログでもこの3月まで「リニューアル進捗状況」を見たままご紹介してきました。
阪和線の沿線から : 阪和線223系・225系Wi-Fi設置状況

今回、たまたまではありますが、この223系0番台リニューアル工事中の様子を見ることができました。



【ヘッドマーク展示】
工場内の見学・撮影が終わった後、食堂では懐かしのヘッドマーク展示がありました。
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この中で個人的に注目したのはこの2つのヘッドマークでした。

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一つは、1989年3月ダイヤ改正で廃止となった急行「みまさか」「みささ」のヘッドマークです。
急行「みまさか」「みささ」とは、大阪から姫新線経由で津山に向かい、その後「みまさか」は姫新線中国勝山方面へ(普通列車)、「みささ」は岡山からやってくる「砂丘」に併結し因美線を北上し、列車名の由来となる三朝(みささ)温泉の最寄り駅、倉吉へ向かう列車でありました。

このヘッドマークは列車の廃止時に掲出されたものと思われますが、廃止からおよそ30年以上を経た今も保管され、このように展示されているのに驚きました。

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もう一つは、急行「たかやま」のヘッドマークです。
この「たかやま」は、大阪から東海道本線・高山本線を経由し飛騨古川まで向かう急行列車でした。
このヘッドマークは、民営化後に使用されていた車両がリニューアルされた頃から掲出されてきたものと思われます。
その急行「たかやま」、1999年に特急「ひだ」に格上げとなり、現在は「大阪ひだ」とも称され、一日1往復が引き続き運行されています。
この「たかやま」ヘッドマーク、掲出されているのは知ってはいたのですが、こういう形で記録にとることができるとは、これまた思いもしませんでした。



【その他】
社員さんの説明の中などで、個人的に気になった点をメモしてみました。
(車両所の概要)
・吹田総合車両所内で働く社員数は約600名。
・年間500両の車両をメンテナンスしている。


(223系のリニューアルについて)
・経年の関係から、0番台から優先的にリニューアルしている。


(ツアーの申し込み状況)
・毎回、発売後即座(10分程度)で売り切れとなっている。今回も同様。
何度も参加する、いわゆる「リピーター」の方の参加も多い。


個人的には、「223系0番台リニューアル」について、貴重なお話が聞けたと思っています。
このブログでも223系0番台・2500番台のリニューアルの様子を記録してきましたが、これらの両番台のリニューアルの完工状況を見てますと、やはり0番台で組成されている編成から先に行っているような印象を受けていました。

223系0番台リニューアル工事中の車両が目の前にあったので、聞いてみたらやはり私の直感どおりでありました。
ということは、リニューアル前の223系0番台が見られるのも、そう長くはない、という訳ですから、それを見越して記録をしていきたいところです。


また、今回のツアーは、発売開始直後にWebサイトで申し込み、無事完了したのですが、当日夕方に再度Webサイトを見てみると、既に「満席」となっていました。
予想どおり人気のツアーなのだな、と思っていましたが、リピーターが多いのは意外でした。
ただこの吹田総合車両所ですが、車両工場という特性上、止まっている車両が時期によって当然異なります。
また、ツアー発表資料内では展示車両を明記していますが、これらも毎回異なっていることが、リピーターを呼び込む要素になっているのではないか、と推測しました。




以上、約2時間のツアーでしたが、参加代金9,500円(大人)の価値は十分に感じたツアーでした。
やはり、一般公開とは異なり、少ない人数でゆったり撮影できるのは、この手のツアーに参加して一番安心できる点ではないか、と感じました。

今後も様々なコンテンツを盛り込み、面白いツアーとなることを期待したいと思いますし、こういったツアーに多くの方が参加することで、JR西日本グループの収益に少しでも貢献できればいいな、とも感じています。


今回のツアーを企画・催行いただきました、日本旅行、そしてJR西日本吹田総合車両所の方々には厚く御礼申し上げます。
ツアー最初の説明で、SNS等の投稿内容にも注目されている旨の話がありましたので、このブログ記事が、関係者の皆さまの一層の励みになれば、管理人としても嬉しい限りであります。
本当にありがとうございました。



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