南海電鉄では、2023年10月の実施予定に向けて、国土交通大臣宛に鉄道線旅客運賃の変更認可申請を行ったことを発表しました。

鉄道線旅客運賃の変更認可申請を行いました|南海電鉄

概要は以下のとおりです。

【初乗り運賃、改定率等】
・初乗り運賃:
現行160円→申請180円

・改定率
普通運賃:9.0%
通勤定期:12.3%
通学定期:4.5%
合計:10.0%

【普通旅客運賃】
・改定額
初乗り運賃(1km〜3km):20円
4km〜15km:30円
16km以上:40円

・特定運賃
難波駅〜中百舌鳥駅間特定運賃を設定。
現行:340円
(改定運賃:370円
特定運賃:350円

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▲申請概要及び普通旅客運賃の改定内容
(上記発表資料(https://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/221028.pdf)より引用)

【定期旅客運賃】
・通勤定期:
長距離帯の負担軽減を図るとともに、通勤定期の利用の回復が限定的であることを踏まえて割引率見直し。
割引率を1.8%引き下げ

・通学定期:
長距離帯の負担軽減を図るとともに、家計への負担に配慮し、現行割引率による値上げ額の半額程度に値上げ額を養成。
割引率は1.1%引き上げ。

【その他】
以下の運賃・料金は変更しない。
・空港線加算運賃
・りんくうタウン〜関西空港間の特定運賃
・鋼索線運賃
・特別急行料金、座席指定料金、特別車両料金
・定期特別急行料金、定期座席指定料金



詳細は、上記発表資料をご覧ください。



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▲南海本線を走る9000系

コロナ禍による利用者の行動変容にともない、今後利用者の回復が大きく見込めない中、鉄道事業者では既に値上げを発表している事業者も見受けられます。

ここ関西地区でも、既に近畿日本鉄道(近鉄)が2023年4月からの普通運賃の値上げを発表しています。



その他の事業者でも、割引運賃の見直しや回数券の廃止等、収益確保の見直しが行われることとなっていますが、そんな中、大阪府南部・和歌山県北部を路線エリアとする南海電鉄でも、運賃値上げの申請を行いました。

同社では28年ぶり(消費税率変更によるものを除く)の運賃値上げとなりますが、その内容をみますと、上記内容のとおり、20円〜40円の値上げ、同社全体で10.0%の値上げとなります。

一方で、注目の内容は「特定運賃の設定」でありましょう。
「特定運賃」自体は、同社では既にりんくうタウン〜関西空港間で設定されていますが、今回設定されるのは、「難波〜中百舌鳥」間であります。

この区間では、大阪メトロ御堂筋線が同区間を結んでおり、その運賃が330円となっています。
一方、現行の南海電鉄の運賃は340円に対し、今回の値上げでは370円となり、このままですと大阪メトロとの運賃差が40円と大きく広がることから、利用者の逸走を防ぐ目的もあり、この区間に特化した特定運賃を設定したものと思われます。

一方で、定期運賃(通勤・通学)については、この特定運賃に基づく設定は行われていないことから、運賃値上げ後の定期券利用者の動向も気になるところであります。

確かに値上げは家計に対して苦しいものでありますが、鉄道事業者とて、安全な輸送を提供するためには、必要な投資やコストは必要であり、それが十分に賄えない場合は、必要なレベルでの値上げはやむを得ないかと思われます。

しかもこの南海電鉄では、消費税率引き上げを除くと28年間もの間値上げを実施してこなかったわけで、その間に様々なコストが変化するのは当然といえます。
そのため、今回の値上げについてもその必要性は十分に理解しながら、今後の同社が提供するサービスが必要とされる価値を提供するものに値していくのか、利用者としても継続的に見ていきたいな、と感じたニュースでありました。




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