東京都にある「上野動物園」には、2019年10月までモノレールが運行されていました。

しかし、同モノレールを運行する車両が老朽化してきたことに加え、設備の大規模更新が必要となったことから、2019年11月から運行を休止し、今後の車両更新またはそれに代わる方策について、検討を行うこととしていました。



本日(2022年11月7日)、東京都建設局では、このモノレールの代替となる新たな乗り物を整備するに際しての、基本的な考え方である「恩賜上野動物園新たな乗り物の整備に関する基本方針」を発表しました。

恩賜上野動物園新たな乗り物の整備 基本方針|東京都

概要は以下のとおりです。

【新たな乗り物の考え方】
新たな乗り物は、コンパクトな乗り物(小型モノレール等)とすることを想定し、整備にあたっては、以下の観点に十分配慮する。
・東園と西園を結ぶ移動手段として、バリアフリーに配慮し、ベビーカーや車椅子の利用者等、誰もが安全・快適に利用できる乗り物とする。
現存の上野動物園モノレールと同等以上の輸送量を確保できる施設とする。
・乗り物としての楽しさを備えるなど、動物園の魅力を高め、広く来園者に親しまれる乗り物とする。
・省エネ性能の確保等、環境負荷の低減に優れた乗り物とする。
・メンテナンス性に優れた機器を導入するなど、施設の維持管理や将来コストの負担に配慮した乗り物とする。

【新たな乗り物のルート等】
新たな乗り物のルート等は、現存の上野動物園モノレールのルート等を最大限活用することを基本とし、飼育動物への影響等に十分配慮した上で、以下の考え方に基づき整備する。
また、乗り場の位置については以下のとおりとする。
・新たな東園の乗り場は、概ね現存の上野動物園モノレールの東園駅舎の位置に設置する。
・新たな西園の乗り場は、現存の上野動物園モノレールの西園駅舎よりも不忍池(しのばずのいけ)側に移動した位置に設置する。

なお、原則として現存の上野動物園モノレール施設は都が撤去する。

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▲現存の上野動物園モノレールのルート図
(上記発表資料(https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000060355.pdf)より引用)

【今後のスケジュール】
・2023年度:
乗り物整備事業者に関する公募要項の公表 提案書受付、提案審査、乗り物整備事業者の決定
・2024年度〜2026年度:
設計・工事
2026年度中:
新たな乗り物の供用開始


その他詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



冒頭に記したように、上野動物園モノレールは、去る2019年10月末をもって現在の車両(40形)での運行を終了し、現在は休止となっています。
その間、このモノレールの後継となる新しい乗り物について検討が行われることとされていましたが、本日その「新しい乗り物」の基本的な考え方が発表されました。

まず、「新しい乗り物」として想定されるのは、「コンパクトな乗り物(小型モノレール等)」が挙げられています。
「小型」と称されることからみると、通常のモノレールよりもより小ぶりな車体になることが想定されますが、一方で「現存の上野動物園モノレールと同等以上の輸送力を確保」することも方針として掲げています。
少なくともバス等ではなく、モノレールの一種であることは確かなようですが、それでは果たしてどのような「乗り物」となるのか、これまた全く予想がつかないだけに、今後の検討結果が気になるところです。


また整備スケジュールについても今回発表があり、「新しい乗り物」による運行は、これから4年後の2026年度に供用開始となることが予定されています。
現在休止中の上野動物園モノレール、4年後には形を変えて再開することが確実なので、乗りつぶしを計画されている方は、今後の目途が立った、という意味では嬉しい話だと思われます。

…というのは、あくまで現在の鉄道事業法に基づいたモノレールとして再開した場合です。
この上野動物園モノレール、延長は300メートルほどで、下記「タビリス」記事によると、「1時間あたり平均乗車人数は500人程度」と記されています。
(参考)
上野動物園が「小型モノレール」導入検討。有力候補はあの会社? | タビリス

この程度の設備で、果たして引き続き鉄道事業法に基づく交通機関として運営し続けるのかどうか、気になるところですが、一方で下記「マイナビニュース」記事によりますと、この路線は動物園内だけでなく一旦園外に出る(東園と西園の間の都道をまたぐ)ために鉄道事業となっている、とも記されています。
(参考)
鉄道トリビア(89) モノレールにも踏切がある……? | マイナビニュース


果たして4年後の2026年度、上野動物園モノレールはどのような形で生まれ変わり、それはまたどのような法的位置づけにより運行されるのか。
動物園ファンだけでなく鉄道ファン、特に乗りつぶしを目指すファンにとっては、引き続き注目しておきたいニュースであります。


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▲上野動物園モノレール40形車両。
既に引退した車両でありますが、この懸垂式モノレールがどのような形に生まれ変わるのか、楽しみですね。




【関連ニュースサイト】
上野モノレール後継は「コンパクトな乗り物」に 都が基本方針 2026年度開業へ | 乗りものニュース
上野動物園モノレール設備撤去「コンパクトな乗り物」新たに整備へ | マイナビニュース
上野動物園の新たな乗り物、2026年度に供用を開始…モノレール代替 | レスポンス(Response.jp)



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