熊本県の第三セクター鉄道「南阿蘇鉄道」では、全線運転再開後を見据えた外国人観光客の受け入れ環境整備を目的に、新型車両「MT-4000形」を導入したことを発表しました。

MT-4000形新型気動車を導入いたしました|南阿蘇鉄道

概要は以下のとおりです。

【MT-4000形について】
・全線開通後を見据えた外国人観光客の受入環境整備を目的に、多言語化に対応した新型一般形気動車。
・JR線直通乗り入れを考慮し、ATS-DK形運転保安装置を搭載。
・半自動ドアシステムや車椅子スペースの確保等、旅客利便性がより向上。

【デザインコンセプト】
前面から側面に流れる青ラインは南阿蘇鉄道沿線を流れる白川と、沿線に点在する清らかな水源を象徴し、緑ラインは車窓から望む雄大な阿蘇五岳をイメージ。

【ロゴデザイン】
車体前面と側面に描かれる「n」は、南阿蘇鉄道の愛称「南鉄(なんてつ)」の頭文字であり、同時に阿蘇五岳とそれを囲う外輪山を表現。
10個の小さな楕円形は数珠繋ぎにすることで、立野駅から高森駅までの10駅が、熊本地震から復興し繋がったことを想起させる。

【イメージ等】
minamiaso_mt4000-1
▲車両外観

minamiaso_mt4000-2
▲社内デザイン

いずれも上記発表資料(https://www.mt-torokko.com/2022/12/28/5895/)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



2016年4月に発生した熊本地震により、大きな被害を受けた南阿蘇鉄道。
その傷跡は大きく、発生から間もなく7年になろうとしている現在でも、全線の半分以上に渡る立野〜中松間が運休となっています。

この間、トロッコ列車「ゆうすげ号」を中心に、観光客をメインに運行してきましたが、この間新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大変厳しい経営を続けてきました。

しかし、来年夏を予定にようやく全線の復旧が予定されている中、今回新型車両「MT-4000形」の導入が発表されました。


南阿蘇鉄道の車両は、上述のトロッコ列車「ゆうすげ号」を除くと、開業当時に導入された「MT-2000形」(現在は更新により「MT-2000A形」)3両と、後に導入された「MT-3000形」2両が在籍しています。

今回のMT-4000形は、MT-3000形以来25年ぶりの新型車両となりますが、これまでの車両と大きく違う点は、JR線への乗り入れに対応した車両ということでしょうか。


南阿蘇鉄道は、かつて国鉄高森線であったものを、特定地方交通線として第三セクター鉄道に移管されたという経緯がありますが、移管の際、国鉄豊肥本線との乗り入れは廃止となりました。
しかし、熊本地震から復旧に合わせて、豊肥本線への乗り入れが復活する見込みであることが、昨年11月の段階で明らかになっていました。
南阿蘇鉄道、豊肥線乗り入れが実現へ。JR九州と設計に着手 | タビリス

それから更に約1年経ったいま、その「JR線直通」が可能な車両が導入されたことから、いよいよ37年ぶりの直通運転再開が実現することが濃厚となったといえるでしょう。


多くの地方鉄道が乗客減に苦しみ、その中には廃止となった線区もあるなか、決して利用者が多いとはいえない南阿蘇鉄道の全線復旧自体が喜ばしいことですが、それに加え、JR線への直通により、利便性の向上がより図られることは、とても前向きなニュースなのではないか、と思います。


一方、今回のMT-4000形導入により、既存車両の置き換えが行われるのか、というのも気になります。
上述のとおり、MT-2000A形は南阿蘇鉄道の開業当初から運用されている車両であり、既に30年以上運用されているため、老朽化とは無縁とは思えませんので、今後何らかの動きが出てくるかも知れないな、と感じました。

今後発表される「全線復旧」「JR線直通運転」の概要と合わせて、引き続き情報をご紹介していきたいな、と感じたニュースでありました。



【関連ニュースサイト】
南阿蘇鉄道が新型車両を導入、JR線直通運転にも対応 - 鉄道コム
南阿蘇鉄道の新型車両MT-4000形、JR線直通乗入れを考慮した装置も | マイナビニュース
南阿蘇鉄道,MT-4000形を導入|鉄道ニュース|2022年12月29日掲載|鉄道ファン・railf.jp
“JR乗り入れ”対応! 南阿蘇鉄道が24年ぶり新型気動車導入 大被災からついに復興へ | 乗りものニュース



【関連ブログ】
「南阿蘇鉄道が新型車両を導入、JR線直通運転にも対応」に関するブログ - 鉄道コム



↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム