JR東日本などでは、現在JR津軽線・蟹田駅周辺から龍飛崎周辺を対象エリアとして実証実験を行っているデマンド型乗合タクシー「わんタク」について、2023年4月からサービス内容を拡大した上で継続実施することを発表しました。

今別町・外ヶ浜町の一部エリアで実施しているデマンド型乗合タクシーの実証実験継続およびサービス内容の拡大について|JR東日本

概要は以下のとおりです。

【イメージ】
jreast_demandtaxi
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2022/morioka/20230302_mr13.pdf)より引用)

【2023年4月以降の実証実験】
・4月以降も、1年間実証実験を実施

・「わんタク」の営業時間拡大
前後1時間拡大
9:00〜17:00(2023年3月31日までは10:00〜16:00)

・定時路線タイプ「わんタク定時便」の設定
奥津軽いまべつ駅(北海道新幹線)、蟹田駅(津軽線)から乗り換えしやすい時間帯に、観光名所「龍飛埼灯台」「大平山元遺跡」に停車するルートで、時刻に沿って運行する「わんタク定時便」を1日3往復設定。
2023030401
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2022/morioka/20230302_mr13.pdf)より引用)

【振替乗車について】
JR津軽線・蟹田〜三厩(みんまや)間が運休になっている期間は、同区間の各駅間で「わんタク」「わんタク定時便」による振替乗車が可能。

また、朝夕時間帯の代行バスについても、4月以降継続して運転。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR東日本・津軽線の蟹田〜三厩間は、津軽半島の先端、龍飛崎方面へのアクセスとして、また終点の三厩駅自体が北の果ての終着駅、ということもあり、観光客にとっては訪問してみたいの路線の一つ、であるかも知れません。

その一方で、沿線人口は希薄で、同区間の輸送密度は、2021年度で98人/日。コロナ前の2019年度であっても107人/日(※)と、鉄道として維持することが果たして妥当なのか、というのを真剣に議論しなければならないレベルの利用状況であります。
(※出典:JR東日本Webサイト「路線別ご利用状況」https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/2017-2021.pdf

その津軽線・蟹田〜三厩間では、昨年8月の豪雨により甚大な被害が生じ、それ以降運休が続いており、元来からの利用者の少なさもあいまって、今後の同線区を含めた当エリアの公共交通のあり方が議論されている状況となっています。


今回ご紹介している「わんタク」は、その豪雨災害とは無関係に昨年7月1日から9月30日まで実証実験を行おうとしていたものでした。
(参考)
今別町・外ヶ浜町の一部エリアでデマンド型乗合タクシーの実証実験を行います!|JR東日本

それが、8月上旬に発生した豪雨の被害により、「わんタク」への振替輸送が2023年3月31日まで延長される、という経緯をたどりました。
(参考)
大雨に伴うJR津軽線蟹田駅〜三厩駅間の被害状況と今後の見通しについて|JR東日本

そして今回、豪雨災害で運休中のJR津軽線・蟹田〜三厩間の振替輸送として「わんタク」を継続するとともに、定時・定路線タイプの「わんタク定時便」を新設することとしています。


「わんタク」は、10時から16時までの間で30分間隔で予約が可能ですし、「わんタク定時便」ともに運賃は1乗車500円となっています。
なお、小学生以下などに加え、有効期間内の「大人の休日倶楽部パス」「青春18きっぷ」の所有者は、300円の割引運賃で利用できます。
(参考)
わんタクWebサイト|JR東日本スタートアップ

もとより利用者が僅少なこの線区で、かつこういった実証実験の結果が良好であり、また沿線住民の利便性が確保あるいは向上するのであれば、何も鉄道の復旧に固執する必要も無くなってくるのではなかろうか、という気が個人的にはしています。



この津軽線・蟹田〜三厩間は、私自身は2015年6月に訪問しました。

DSC09965_R
▲三厩駅に停車中のキハ40型。

DSC09962_R
▲三厩駅の駅舎

DSC09961_R
▲三厩駅の駅舎を正面から撮影


訪問した時には、1両のキハ40人のボックスが2〜3名程度埋まるような乗車率だったと記憶しています。
ただ、多くの方がそのまま引き換えしていったこともあり、地元の利用者はこの頃から多くなかったのではないか、とも感じました。


今回、デマンド型乗合タクシーの拡充が図られるわけですが、それも含めて、JR東日本と地元とで、今後の津軽線・蟹田〜三厩間の方針をどうしていくのか。
今後の同社の閑散路線のあり方にも影響してくるのかな、とも思いますので、引き続き注目していきたいと思います。



【関連ニュースサイト】
JR津軽線 廃止も視野か 赤字66線区の「交通再編」先陣に? “縦割り”で分断されるバス&鉄道 | 乗りものニュース
さらに運行拡大 龍飛崎へ直行「わんタク」増便&期間延長 JR津軽線の代替強化すすむ | 乗りものニュース



↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム