下記記事でご紹介したように、奈良県では新たに就任した山下新知事が、荒井前知事のもと予算化された大規模事業について、予算を執行するか否かを決定するための査定を行うこととしていました。
阪和線の沿線から : 【奈良県】近鉄奈良線踏切道改良工事の予算執行停止を山下新知事が指示。駅高架化は実施するものの平城宮跡を走る区間の移設を見直す方針か

本日(6月12日)、その査定結果が発表されましたので、ご紹介します。

2023年6月12日 知事定例記者会見/奈良県公式ホームページ

概要は以下のとおりです。

(46)大和西大寺駅の高架化・近鉄奈良線の移設
大和西大寺駅の高架化事業については、駅周辺のいわゆる「開かずの踏切」解消のため、引き続き事業を進める必要があるが、平城宮跡内を通る近鉄線の移設については見直す必要があると考える。
このため、大和西大寺駅の高架化のみを行い平城宮跡内の近鉄線は存置する事業案を新たに検討し、現行案と費用対効果の比較等を行い、関係者とも協議の上、整備方針を決定する。R5年度は、そのための検討経費等のみを執行し、その他の経費は執行を中止する。

(上記Webサイトより引用、下線太字赤字は管理人による。)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



冒頭でご紹介したように、去る4月の奈良県知事選挙で当選した山下氏は、就任直後に前知事が進めていた大型プロジェクトについて、査定の上今年度の予算執行を行うかどうか判断することとしていました。

本日その結果が発表となりましたが、このブログで取り上げてきた「大和西大寺駅の高架化・近鉄奈良線の移設」については、大和西大寺駅を高架化する事業案を新たに検討して、現行案(近鉄奈良線の移設も含む)と比較した上で決定することとしました。


先の記事でも書いていたように、大和西大寺駅周辺の踏切が「開かずの踏切」として国土交通省から指定されている以上、この事業自体を実施しない、という選択肢は無いものと考えられます。

そのため焦点は近鉄奈良線の移設(地下化)を行うか否かとなりますが、結論として地下化を行わない案を検討し、関係者と協議して整備方針を決定することになりました。

ただ、近鉄奈良線の地下化について、多額の費用を投じる効果がどの程度生み出せるか、という点から考えると、恐らく「地下化しない案」で事業を実施していくものと考えられます。


知事の交代により、事業の見直しが行われたこの事業。
前知事時代に決定されたプロジェクトを見直す、というのは無駄な事業を見直す、という意味では一定の評価はできますが、一方で「開かずの踏切」の対応は待ったなしといえます。

特に大和西大寺駅近辺は列車密度が高い上に隣接する車庫への列車の出入りもあることから、一刻も早く事業の完成が求められるエリアであります。
新知事就任による査定の間、事業は実際に中断されていました。そのため、今後は新知事のもと、この失われた時間を少しでも取り戻すという意味でも、新たな事業案を早急に策定し、関係者の合意を得て、迅速に事業を進めて欲しいと思った次第です。

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▲近鉄奈良駅で発車を待つ列車。
ここ近鉄奈良駅は地下駅ですが、前知事の案では大和西大寺駅の手前まで地下化するものでした。
新知事の事業査定により、大和西大寺駅のみを高架化する案と比較することとなりました。
もっとも、「開かずの踏切」解消は一刻を争う問題ですので、今後の見直し作業を迅速に進めて欲しいと思う次第です。




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