JR西日本の特急「くろしお」で運行されている283系電車。
「オーシャンアロー」という愛称で親しまれているこの車両、「海と太陽が大好きな列車」をキャッチフレーズとして、1996年7月31日にデビューしましたので、本日で丁度27周年を迎えることとなりました。
その特徴の最たるものは、前面展望可能な「グリーン車」でありましょう。
イルカをイメージしたデザインの先頭車両からは、海沿いを走る風光明媚なきのくに線の車窓が楽しめることから、今でも人気の座席となっています。
加えて、3号車（一部除く）にはフリースペースの展望ラウンジが設けられており、海沿いに設置されたベンチに座り、雄大な太平洋を眺めることができるようになっています。
外装のカラーリングも、過去の381系「くろしお」「スーパーくろしお」や、現行の287系、289系とは異なり、海の色をイメージしたグリーンと白のツートンカラーとなっており、形状や色調から、他の系式にないその存在感は、運行開始27年を経た現在であっても、今なお色あせることなく、ファンや旅行者の人気の車両となっています。
一方、この「オーシャンアロー」、1996年の運行開始から、丁度27年を迎えることから、経年も進んでおり、今後の動向も気になるところでありますので、この機会に「オーシャンアロー」283系のこれまで、そしてこれからについて私の思うところを書いていきたいと思います。
【「オーシャンアロー」の編成】
京都・新大阪から南紀方面の特急列車として運用開始した「オーシャンアロー」。
その編成は以下のとおりとなっています。
通常期は6両編成の基本編成2本で運用し、多客期には付属編成を増結し9両編成で運行します。
また、基本編成が検査等の場合は、付属編成の2編成を連結した6両編成で運用します。
（この場合、グリーン車が京都・新大阪方にのみ連結されます。）
【「オーシャンアロー」運行列車】
既に運行開始から27年となる「オーシャンアロー」ですが、充当される列車は運行開始から20年ほどは、殆ど変わりませんでした。
1996年7月から2018年3月までは、
2018年3月のダイヤ改正で見直しが実施され、以下のとおりとなりました。
更に、2021年3月には、以下のとおり、新宮へは一日1往復の乗り入れとなり、現在に至っています。
となっています。
2018年3月以降は白浜〜新宮間が、それまでの3往復から段階的に1往復に減便されましたが、常時2編成を運用するというスタイルは、1996年7月の運行開始から踏襲されてきました。
【2024年3月以降の動向を考察してみる】
以上、「オーシャンアロー」運行の経緯をざっと眺めたところで、来年（2024年）以降の動向について述べていきたいと思います。
まず、なぜ「2024年3月以降」と具体的な時期を挙げているのか。
それは、北陸新幹線の敦賀〜金沢間開業にともない、現在運行されている「サンダーバード」（大阪〜金沢・和倉温泉）、「しらさぎ」（名古屋・米原〜金沢）、「ダイナスター」（福井〜金沢）の各列車が見直されることに起因しています。
上述のとおり、敦賀〜金沢間で新幹線が開業することから、「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀までの運転、「ダイナスター」は新幹線に置き換えとなります。
運行区間が短縮、あるいは廃止されることから、現在これらの列車で運用されている681系・683系に余剰が生じることが予想されます。
いま「オーシャンアロー」が2024年で運行終了という噂は、こういった諸条件から出てきているものといえるでしょうが、果たしてそんなにすんなり置き換えることができるのか、ちょっと考えてみたいと思います。
現在、JR西日本の681系・683系がどれくらいの車両数となっているのか。
JR西日本が発表している「JR西日本の保有車両一覧」によりますと、製造年度別に以下のとおりとなっています。
一方、「サンダーバード」「しらさぎ」は、北陸新幹線敦賀開業以降は、現在の半分程度の距離（※）を運行することになるため、「能登かがり火」で必要な車両数も踏まえて6割程度の車両数なら170両程度、余裕をみて7割程度であっても200両程度あれば十分であろうと、非常に雑駁でありますが、ここでは考えてみます。
仮に6割の170両が必要とすると、経年が進んでいる681系を廃車し、683系だけで「サンダーバード」「しらさぎ」に加え「能登かがり火」（金沢〜和倉温泉）を賄って、更に余りがあることになります。
では、この余った車両で283系18両を置き換えることができるか、というと、雑駁な計算上では不可能では無さそうですが、これとて、現有の6割程度の車両数が必要だった場合の仮の計算でしかなく、これで「2024年に283系を683系で置き換える」ことが可能だとは、単純に断言できる状況では無いような気もします。
681系と283系「オーシャンアロー」は、いずれも平成初期に投入された車両ですが、片や南紀地方の温暖な気候を走り、かつ最高速度も抑えられた区間も比較的多い運用に就いている283系と、片や北陸地方の過酷（特に冬）な気候の中、最高速度130km/hで走る区間も多く、いきおい一日の走行距離も伸びてくる681系とで、どちらがより置き換えが急務かと言われると、間違いなく681系の方でありましょう。
一方で、確かに走行距離などは681系よりも短い283系「オーシャンアロー」であっても、既に30年近く運用を続けていることから、相応の老朽化は否定できないことから、仮に北陸新幹線敦賀開業後、683系に余裕が生じれば、置き換えを実施する、ということも十分考えられそうです。
加えて681系の中には一部、683系「サンダーバード」に施工されたリニューアル工事が行われている車両も存在するので、北陸新幹線敦賀開業後も引き続き使うことも想定され、その場合683系に余裕が生じることとなり、その余剰分を活かして283系「オーシャンアロー」の置き換えを行うことも可能でしょう。
以上をまとめると、老朽化した681系を全て廃車した上で、北陸新幹線敦賀開業後も683系で「サンダーバード」等を賄い、なお余りある車両で283系「オーシャンアロー」置き換えができるかどうかは、我々ファンにとっては「蓋を開けてみないと分からない」状況であるかと思われます。
勿論、JR西日本社内では、様々なシミュレーションを元に今後の車両需給を計画していることは当然で、その結果が現在明らかになっていないだけのことでありましょう。
ただ一つだけ言えることは、2024年春以降の北陸新幹線敦賀開業が、283系「オーシャンアロー」にとっても一つのターニングポイントとなり得ることで、そのことを念頭に置いて、今後の趣味活動に活かしていくことではないか、と思うのです。
【283系「オーシャンアロー」の更なる活用法…「WEST EXPRESS 銀河」の後継は？】
ここからは更に、私の希望的願望が多く入った内容になりますが、お付き合いの程を。
上述のとおり、2024年時点で283系を置き換えられるかどうかは微妙、な段階ですが、仮に683系（→289系）で置き換えられた、といって、では即座に「オーシャンアロー」283系が廃車されるのでありましょうか。
上述のとおり、近年は新大阪〜白浜間がメインとなり、走行距離もあまり伸びておらず、余裕のある運用が続いています。
一方で、「パノラマグリーン車」が全編成合わせて3両も有する283系を、このまま廃車・解体するというのも何だか勿体ない気もする方もいらっしゃるかも知れません。
「定期運用終了」だけれども「余裕を持たせればまだ使えそう」な「レアな車両」があったとして、それを何らかの方法で活用する方法、とすればやはり「観光列車」でありましょう。
そもそも「オーシャンアロー」283系、「パノラマグリーン車」があり、かつ「ラウンジ」があることから考えて、そのままでも観光列車として転用できる設備を有しています。
正直「このまま白浜〜新宮間に観光列車として走らせてみれば？」とも思うくらいの既存設備ですが、更に手を加えて、現行117系で運行されている「WEST EXPRESS 銀河」の後継車両として投入するというのもアリなのではないのでしょうか。
ただ、117系「WEST EXPRESS 銀河」は2021年に運行開始したばかりで、国鉄型117系とはいえ、流石に改造後数年しか経っていない現状で、これとてすぐに置き換えられるわけにもいきません。
一方で、地方鉄道線区の存廃が課題となっているなか、観光列車を走らせることで、観光客に鉄道の存在をアピールし、活用していくことが、沿線地域からも提案されています。
そういった観光路線としての活用方法の一つとして、283系「オーシャンアロー」により、スポット的に観光列車を各地で走らせていく、というのは、JR西日本と地域が線区のあり方を探っていく際に、十分考えられる方法といえるでしょう。
そういった実績を積み重ねていって、117系「WEST EXPRESS 銀河」が経年してきた際の後継として283系の観光列車（「WEST EXPRESS 銀河�供廚澆燭い蔑鷦屐砲鯏蠧�する、というのも考えられるかも知れません。
ともあれ、他のJR西日本保有車両には無い「パノラマグリーン車」を廃車してしまうのも、何だか勿体ないですし、いくら30年近く運行してきたとしても、先述のとおり近年はかつてに比べて運用にも余裕が出てきていることを考えると、「観光列車としての再登用」というのは、あり得なくも無いストーリーとも、個人的には考えています。
【長々と述べましたが、要は「まだ何も分からない」】
以上、私の願望も含めて色々述べてきましたが、現時点で言えることは、2024年以降の283系「オーシャンアロー」の動向は「まだ何もわからない」ということです。
縷々述べてきたように、北陸新幹線敦賀開業後に余剰となる683系（→289系）で置き換えることが可能かどうかは、微妙な状況でありますので、2024年以降も引き続き283系「オーシャンアロー」が走り続けても、何らおかしくないといえます。
勿論、北陸新幹線敦賀開業後の2024年に、683系（289系）により、283系「オーシャンアロー」を置き換える、という可能性も十分あり得ます。
要は、「現段階で283系「オーシャンアロー」引退」を断言できるほどの状況ではないので、不確定な情報に一喜一憂することなく、今後の展開を見越して、改めての乗車や撮影などの趣味活動を楽しむのが一番ではないのでしょうか。
本日（7月31日）で運行開始27年となる「オーシャンアロー」283系。
来年のこの記念日を迎える頃には、283系「オーシャンアロー」の将来的な動向がもう少しはっきりしてくるかと思いますので、そういった情報を引き続き当ブログではご紹介していきたいと思います。
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「オーシャンアロー」という愛称で親しまれているこの車両、「海と太陽が大好きな列車」をキャッチフレーズとして、1996年7月31日にデビューしましたので、本日で丁度27周年を迎えることとなりました。
その特徴の最たるものは、前面展望可能な「グリーン車」でありましょう。
イルカをイメージしたデザインの先頭車両からは、海沿いを走る風光明媚なきのくに線の車窓が楽しめることから、今でも人気の座席となっています。
▲283系「オーシャンアロー」のパノラマグリーン車からの展望。
先頭の1D席からは、このように迫力ある前面展望が楽しめます。
▲パノラマグリーン車の座席。
後方の座席からも前方が見えるように、座席の頭部には切り欠けが設けられています。
加えて、3号車（一部除く）にはフリースペースの展望ラウンジが設けられており、海沿いに設置されたベンチに座り、雄大な太平洋を眺めることができるようになっています。
▲283系「オーシャンアロー」の3号車（一部）に設けられた展望ラウンジ。
座席は全て海側を向いており、流れゆく大海原を列車に揺られながら眺めることができます
外装のカラーリングも、過去の381系「くろしお」「スーパーくろしお」や、現行の287系、289系とは異なり、海の色をイメージしたグリーンと白のツートンカラーとなっており、形状や色調から、他の系式にないその存在感は、運行開始27年を経た現在であっても、今なお色あせることなく、ファンや旅行者の人気の車両となっています。
一方、この「オーシャンアロー」、1996年の運行開始から、丁度27年を迎えることから、経年も進んでおり、今後の動向も気になるところでありますので、この機会に「オーシャンアロー」283系のこれまで、そしてこれからについて私の思うところを書いていきたいと思います。
（※）
本記事では、JR西日本283系電車を、「オーシャンアロー」、または「283系「オーシャンアロー」」と称すこととします。
また、本記事の内容は、個人的な見解に基づくものであり、特に今後の動向は個人的な予想の範疇でありますので、十分ご留意ください。
【「オーシャンアロー」の編成】
京都・新大阪から南紀方面の特急列車として運用開始した「オーシャンアロー」。
その編成は以下のとおりとなっています。
＜基本編成＞
6両編成2本の計12両
新宮方にパノラマグリーン車連結
＜付属編成（HB631編成）＞
3両編成1本
京都・新大阪方にパノラマグリーン車連結
＜付属編成（HB632編成）＞
3両編成1本
パノラマグリーン車無し
合計：18両
通常期は6両編成の基本編成2本で運用し、多客期には付属編成を増結し9両編成で運行します。
また、基本編成が検査等の場合は、付属編成の2編成を連結した6両編成で運用します。
（この場合、グリーン車が京都・新大阪方にのみ連結されます。）
▲古座川橋梁を渡る283系「オーシャンアロー」。
通常はこのような6両編成（京都方は貫通路つき普通車）で運行されます。
▲紀伊中ノ島駅を通過する283系「オーシャンアロー」。
繁忙期はこのように、6両編成の京都方に3両を増結し、9両編成で運行します。
▲同じく、9両編成の283系「オーシャンアロー」。
増結用の3両編成には、パノラマグリーン車が有る編成、無い編成の各1編成が存在しています。
この編成は、パノラマグリーン車の無い編成です。
▲日置川橋梁を通過する283系「オーシャンアロー」。
6両編成ですが、京都方にグリーン車が連結されています。
6両編成の基本編成が検査等の場合、付属編成2編成をこのように連結した6両編成として運行されます。
【「オーシャンアロー」運行列車】
既に運行開始から27年となる「オーシャンアロー」ですが、充当される列車は運行開始から20年ほどは、殆ど変わりませんでした。
1996年7月から2018年3月までは、
朝・昼・夜の京都・新大阪→新宮車両運用でみれば、
朝・昼・夜の新宮→京都・新大阪
（その他、新大阪〜和歌山等の短距離列車）
「京都・新大阪→新宮→京都・新大阪→新宮（泊）」の運用を繰り返すパターンで、これを上述の18両4編成でやりくりする、というものでした。
「新宮→京都・新大阪→新宮→京都・新大阪→和歌山（日根野泊）」
2018年3月のダイヤ改正で見直しが実施され、以下のとおりとなりました。
（新宮・白浜方面）車両運用でみれば、
朝の新大阪→新宮
昼の新大阪→白浜
夜の新大阪→新宮
深夜の新大阪→和歌山
（新大阪方面）
早朝の和歌山→新大阪、
朝の新宮→新大阪
昼の新宮→新大阪
夕の白浜→新大阪
「和歌山→新大阪→新宮→新大阪→新宮」の運用となりました。
「新宮→新大阪→白浜→新大阪→和歌山」
更に、2021年3月には、以下のとおり、新宮へは一日1往復の乗り入れとなり、現在に至っています。
（新宮・白浜方面）車両運用でみると
朝の新大阪→白浜
昼の新大阪→白浜
夕方の新大阪→新宮
深夜の新大阪→和歌山
（新大阪方面）
早朝の海南→新大阪
朝の新宮→新大阪
昼の白浜→新大阪
夕方の白浜→新大阪
海南→新大阪→白浜→新大阪→新宮（泊）
新宮→新大阪→白浜→新大阪→和歌山（日根野泊）
となっています。
2018年3月以降は白浜〜新宮間が、それまでの3往復から段階的に1往復に減便されましたが、常時2編成を運用するというスタイルは、1996年7月の運行開始から踏襲されてきました。
▲著名な撮影地として多くのファンが集まった「山崎カーブ」を通過する283系「オーシャンアロー」。
かつては京都発着の列車にも充当されていたことから、このように山��駅を通過するシーンも見られました。
▲白浜駅の0番のりばに停車中の283系「オーシャンアロー」。
運行開始から長らく、京都・新大阪〜新宮間の通しの列車を中心に運用されていた283系「オーシャンアロー」ですが、2018年3月より、白浜発着の列車にも充当されるようになりました。
この0番のりばは、行き止まり構造となっており、同駅折り返しの列車が発着しています。
【2024年3月以降の動向を考察してみる】
以上、「オーシャンアロー」運行の経緯をざっと眺めたところで、来年（2024年）以降の動向について述べていきたいと思います。
まず、なぜ「2024年3月以降」と具体的な時期を挙げているのか。
それは、北陸新幹線の敦賀〜金沢間開業にともない、現在運行されている「サンダーバード」（大阪〜金沢・和倉温泉）、「しらさぎ」（名古屋・米原〜金沢）、「ダイナスター」（福井〜金沢）の各列車が見直されることに起因しています。
上述のとおり、敦賀〜金沢間で新幹線が開業することから、「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀までの運転、「ダイナスター」は新幹線に置き換えとなります。
運行区間が短縮、あるいは廃止されることから、現在これらの列車で運用されている681系・683系に余剰が生じることが予想されます。
▲金沢駅で発車を待つ683系「サンダーバード」。
2024年3月の北陸新幹線・金沢〜敦賀間開業にともない、「サンダーバード」も敦賀発着に変更となりますので、681系・683系の各系式に余剰車両が発生することが見込まれます。
･･･余剰となった683系を改造（既に前例のある「289系」）して、「くろしお」に投入して283系置き換えることができるのではないか･･･
いま「オーシャンアロー」が2024年で運行終了という噂は、こういった諸条件から出てきているものといえるでしょうが、果たしてそんなにすんなり置き換えることができるのか、ちょっと考えてみたいと思います。
現在、JR西日本の681系・683系がどれくらいの車両数となっているのか。
JR西日本が発表している「JR西日本の保有車両一覧」によりますと、製造年度別に以下のとおりとなっています。
＜681系＞
1994年製造：51両
1995年製造：6両
1996年製造：36両
計：93両
＜683系＞
2000年製造：36両
2001年製造：18両
2002年製造：6両
2004年製造：21両
2008年製造：9両
2009年製造：54両
2010年製造：36両
2011年製造：9両
計：189両
＜681系・683系＞
計：282両
引用：
JR西日本の保有車両一覧（2023年4月1日現在）｜JR西日本Webサイト
一方、「サンダーバード」「しらさぎ」は、北陸新幹線敦賀開業以降は、現在の半分程度の距離（※）を運行することになるため、「能登かがり火」で必要な車両数も踏まえて6割程度の車両数なら170両程度、余裕をみて7割程度であっても200両程度あれば十分であろうと、非常に雑駁でありますが、ここでは考えてみます。
（※）
営業キロ：
大阪〜金沢間･･･267.7km、大阪〜敦賀間･･･136.9km（金沢までの51.1％）
名古屋〜金沢間･･･256.5km、名古屋〜敦賀間･･･125.8km（金沢までの49.0％）
仮に6割の170両が必要とすると、経年が進んでいる681系を廃車し、683系だけで「サンダーバード」「しらさぎ」に加え「能登かがり火」（金沢〜和倉温泉）を賄って、更に余りがあることになります。
では、この余った車両で283系18両を置き換えることができるか、というと、雑駁な計算上では不可能では無さそうですが、これとて、現有の6割程度の車両数が必要だった場合の仮の計算でしかなく、これで「2024年に283系を683系で置き換える」ことが可能だとは、単純に断言できる状況では無いような気もします。
681系と283系「オーシャンアロー」は、いずれも平成初期に投入された車両ですが、片や南紀地方の温暖な気候を走り、かつ最高速度も抑えられた区間も比較的多い運用に就いている283系と、片や北陸地方の過酷（特に冬）な気候の中、最高速度130km/hで走る区間も多く、いきおい一日の走行距離も伸びてくる681系とで、どちらがより置き換えが急務かと言われると、間違いなく681系の方でありましょう。
一方で、確かに走行距離などは681系よりも短い283系「オーシャンアロー」であっても、既に30年近く運用を続けていることから、相応の老朽化は否定できないことから、仮に北陸新幹線敦賀開業後、683系に余裕が生じれば、置き換えを実施する、ということも十分考えられそうです。
加えて681系の中には一部、683系「サンダーバード」に施工されたリニューアル工事が行われている車両も存在するので、北陸新幹線敦賀開業後も引き続き使うことも想定され、その場合683系に余裕が生じることとなり、その余剰分を活かして283系「オーシャンアロー」の置き換えを行うことも可能でしょう。
以上をまとめると、老朽化した681系を全て廃車した上で、北陸新幹線敦賀開業後も683系で「サンダーバード」等を賄い、なお余りある車両で283系「オーシャンアロー」置き換えができるかどうかは、我々ファンにとっては「蓋を開けてみないと分からない」状況であるかと思われます。
勿論、JR西日本社内では、様々なシミュレーションを元に今後の車両需給を計画していることは当然で、その結果が現在明らかになっていないだけのことでありましょう。
ただ一つだけ言えることは、2024年春以降の北陸新幹線敦賀開業が、283系「オーシャンアロー」にとっても一つのターニングポイントとなり得ることで、そのことを念頭に置いて、今後の趣味活動に活かしていくことではないか、と思うのです。
【283系「オーシャンアロー」の更なる活用法…「WEST EXPRESS 銀河」の後継は？】
ここからは更に、私の希望的願望が多く入った内容になりますが、お付き合いの程を。
上述のとおり、2024年時点で283系を置き換えられるかどうかは微妙、な段階ですが、仮に683系（→289系）で置き換えられた、といって、では即座に「オーシャンアロー」283系が廃車されるのでありましょうか。
上述のとおり、近年は新大阪〜白浜間がメインとなり、走行距離もあまり伸びておらず、余裕のある運用が続いています。
一方で、「パノラマグリーン車」が全編成合わせて3両も有する283系を、このまま廃車・解体するというのも何だか勿体ない気もする方もいらっしゃるかも知れません。
「定期運用終了」だけれども「余裕を持たせればまだ使えそう」な「レアな車両」があったとして、それを何らかの方法で活用する方法、とすればやはり「観光列車」でありましょう。
そもそも「オーシャンアロー」283系、「パノラマグリーン車」があり、かつ「ラウンジ」があることから考えて、そのままでも観光列車として転用できる設備を有しています。
正直「このまま白浜〜新宮間に観光列車として走らせてみれば？」とも思うくらいの既存設備ですが、更に手を加えて、現行117系で運行されている「WEST EXPRESS 銀河」の後継車両として投入するというのもアリなのではないのでしょうか。
ただ、117系「WEST EXPRESS 銀河」は2021年に運行開始したばかりで、国鉄型117系とはいえ、流石に改造後数年しか経っていない現状で、これとてすぐに置き換えられるわけにもいきません。
▲117系7000番台「WEST EXPRESS 銀河」。
2021年に運行開始したばかりで、今後の活躍をまだまだ期待したい列車ですが、一方で種車の117系は昭和50年代中盤の製造で、既に40年以上経過していることから、将来を見据えた後継車両の選定も必要かも知れません。
一方で、地方鉄道線区の存廃が課題となっているなか、観光列車を走らせることで、観光客に鉄道の存在をアピールし、活用していくことが、沿線地域からも提案されています。
そういった観光路線としての活用方法の一つとして、283系「オーシャンアロー」により、スポット的に観光列車を各地で走らせていく、というのは、JR西日本と地域が線区のあり方を探っていく際に、十分考えられる方法といえるでしょう。
そういった実績を積み重ねていって、117系「WEST EXPRESS 銀河」が経年してきた際の後継として283系の観光列車（「WEST EXPRESS 銀河�供廚澆燭い蔑鷦屐砲鯏蠧�する、というのも考えられるかも知れません。
ともあれ、他のJR西日本保有車両には無い「パノラマグリーン車」を廃車してしまうのも、何だか勿体ないですし、いくら30年近く運行してきたとしても、先述のとおり近年はかつてに比べて運用にも余裕が出てきていることを考えると、「観光列車としての再登用」というのは、あり得なくも無いストーリーとも、個人的には考えています。
【長々と述べましたが、要は「まだ何も分からない」】
以上、私の願望も含めて色々述べてきましたが、現時点で言えることは、2024年以降の283系「オーシャンアロー」の動向は「まだ何もわからない」ということです。
縷々述べてきたように、北陸新幹線敦賀開業後に余剰となる683系（→289系）で置き換えることが可能かどうかは、微妙な状況でありますので、2024年以降も引き続き283系「オーシャンアロー」が走り続けても、何らおかしくないといえます。
勿論、北陸新幹線敦賀開業後の2024年に、683系（289系）により、283系「オーシャンアロー」を置き換える、という可能性も十分あり得ます。
要は、「現段階で283系「オーシャンアロー」引退」を断言できるほどの状況ではないので、不確定な情報に一喜一憂することなく、今後の展開を見越して、改めての乗車や撮影などの趣味活動を楽しむのが一番ではないのでしょうか。
本日（7月31日）で運行開始27年となる「オーシャンアロー」283系。
来年のこの記念日を迎える頃には、283系「オーシャンアロー」の将来的な動向がもう少しはっきりしてくるかと思いますので、そういった情報を引き続き当ブログではご紹介していきたいと思います。
▲山中渓の桜並木を通過する283系「オーシャンアロー」。
毎年桜の時期には多くのファンが集まるここ山中渓。
「海」のイメージが強い283系ですが、このように桜との取り合わせも、多くのファンが撮影を楽しんできました。
来年以降もこの風景が見られるかどうかは分かりませんが、283系「オーシャンアロー」の動向は、今後の公式発表をおとなしく待ち続けたいところであります。
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