千葉県銚子市を走る銚子電気鉄道(銚子電鉄)では、安定輸送の実現及び新たな観光資源の発出を期待し、南海電鉄が所有する「2200系」車両を8月15日に譲受したことを発表しました。

“なんかいい”ちょうしに!新車両として、南海電気鉄道の2200系車両を譲受しました。 銚子電気鉄道株式会社
“なんかいい"ちょうしに! 銚子電気鉄道は、南海電気鉄道の2200系車両を譲受しました | 南海電鉄

概要は以下のとおりです。

【譲渡・譲受日】
2023年8月15日

【譲渡車両】
2200系車両
モハ2202-モハ2252の2両編成

【経緯】
・銚子電鉄では安定した輸送を提供すべく、3000形導入以降、銚子電鉄を走行できるスペックの車両を探していたが、合致する車両は数少なく、車両導入の検討については困難を極めていた。
・そんな中、銚子電鉄と南海電鉄で、銚子電鉄を運行できる可能性がある車両を検討した結果、「南海電鉄2200系車両であれば、改造することによ り運行可能である」という結論に達し、今回の車両譲受が実現したもの。
・銚子電鉄にとっては、約8年ぶりの新車両(中古車)の導入。また、中古車の導入(中古の中古でない車両)は、約30年ぶり。

【今後】
走行に必要な改造工事を施工した後に運用開始するが、開始時期については未定
両社では、2200系車両を新たな銚子電鉄のフラッグシップトレインとして愛される車両とするべく、今後さらなる連携を深めることとしている。



詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



現在、南海電鉄の支線(汐見橋線、高師浜線、多奈川線、和歌山港線)でワンマン列車として運行している2200系。
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▲汐見橋線で運行する南海2200系。

元は「22000系」という系式名で、高野線の山線区間(橋本〜極楽橋)に乗り入れることができ、かつ両開き扉を採用して通勤・通学ラッシュ需要に対応した車両として導入されました。

その後、後継の2000系の増備や高野線の運行体系の変更にともない、これら支線へ移籍し、老朽化した車両を置き換えました。

その際、2200系・2230系・2270系という3タイプの系式に改造されましたが、このうち2270系は貴志川線線用として投入され、その後の和歌山電鐵への経営分離に伴い、全編成が同社へ譲渡されています。

残る2200系と2230系は、当初から支線運用を前提としていた改造か否かで区分けされ、2200系は改造後もしばらくは高野線で使用され続けていたようです。
一方2230系は当初から支線への投入前提で改造されており、外観上からもその違いが判別できるようです。
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▲高師浜線・伽羅橋駅に停車中の2230系。
2200系との相違点は、貫通扉まわりの幌を受ける枠の有無がなどです。


その2200系ですが、そのうち1編成は現在、高野線の橋本〜極楽橋間の観光列車「天空」として再改造されています。
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▲高野線の観光列車「天空」として改造された2200系。


「天空」以外の編成は引き続き支線運用に就いていたのですが、今回その2200系のうち1編成(2202編成)が、千葉県の銚子電鉄へ譲渡されたことが、今回発表されました。


銚子電鉄では、現在伊予鉄道からの譲渡車両のみで営業していますが、それら車両も元々は京王電鉄から伊予鉄道に譲渡された車両ということで、老朽化も相当進んでいた模様です。
一方で、経営的に新製投入は無理な中、中古車を探していた銚子電鉄では、同社のスペックに合致する車両がなかなか見つからなかった模様ですが、検討の結果、南海2200系で運行可能という結論に達し、今回の譲渡が実現したものです。

折しも、今年10月の運賃値上げに伴う今後の設備投資計画の中で、現在高野線や南海線で運行している「2000系」をワンマン改造することが発表されています。


2000系のワンマン改造により、余剰となる2200系・2230系の動向が気になるところですが、経年から考えて廃車となるものとばかり思っていましたが、まさかの譲渡が実現したということで、高野線や「天空」、そして各支線で乗ったりしてきた私にとっても、とても嬉しく思います。


余談となりますが、銚子市には、古来より地理的に黒潮の流れに乗って移動しやすかったこともあってか、和歌山県からの移住者が多く住み着いていたとのことです。
下記Webサイトにもあるように、銚子市を拠点とする「ヤマサ醤油」の創業者も、現在の和歌山県広川町の出身であったとのことであります。
紀州から銚子へ 【ヤマサ醤油株式会社】

かように、銚子と和歌山の結びつきは、元より強いものがありましたが、そんな結びつきが、今回の2200系譲渡で更に強まったのかな、と考えると面白いものもありそうですね。


ともあれ、新天地・銚子電鉄へ譲渡されることとなった2200系。
今後改造を行った上で、営業運転に充当されるとのことですが、その際には是非とも銚子電鉄に足を運んで、実際に乗車してみたいな、と思います。

銚子電鉄では、どのような装いとなるのかも楽しみであります。
現在の南海カラーを踏襲するのか、または全くのオリジナルカラーになるのか。
はたまた、登場時の濃淡グリーンの懐かしい塗装が実現するのか…

「フラッグシップトレイン」として銚子電鉄に迎え入れられた2200系が、どのように活躍するのか、今後を予想する楽しみは尽きませんが、これからの続報も楽しみにしておきたいニュースに感じました。




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銚子電鉄,南海2200系を譲受|鉄道ニュース|2023年8月18日掲載|鉄道ファン・railf.jp




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