
▲宇都宮駅東口停留所に入線してくる宇都宮ライトレール・HU-300形車両。
この8月26日(土)に、既存路線の新設などではなく、全くの新設としては実に75年ぶりの路面電車として開業した「宇都宮ライトレール」。
(参考)
●75年ぶりの路面電車「芳賀・宇都宮LRT」 では前回の開業路線とは? 路面電車の時代は再び来るのか | 乗りものニュース
●【祝】75年ぶりの宇都宮ライトレール開業!…じゃあ75年前の路面電車はどこ? - 鉄道プレス
マイカーの利用が多い北関東エリアである上に、多額の建設費がかかることもあってか、構想は以前からあれど、本当に実現するのか、私自身も不安に感じていたのですが、様々な問題を乗り越えて、この夏、ついに開業に至りました。
今回、2泊3日での旅行の際、この宇都宮ライトレールに寄れるように予定を調整して、このできたてホヤホヤのLRTに乗車してみることにしました。
東北新幹線「やまびこ136号」を宇都宮駅で降りると、そこでは既に、警報級の豪雨となっていました。
こんな豪雨だと運休になっているのではないか、と思い宇都宮駅東口に向かってみると、意外や意外、運行を継続していました。
今後雨も収まることが予想されましたので、運行しているうちにこのまま乗車してみることにしました。
JR宇都宮駅から、宇都宮ライトレールの宇都宮駅東口停留所に向かいます。


▲連絡通路は、LRT開業一色に染まっていました。



▲案内に従い、階段を降りて乗り場に向かいます。


▲停車中のHU300形
開業から2週間が経過しましたが、すっかり宇都宮市民や芳賀町民の足として定着しており、この日も多数の乗客で賑わっていました。
私もその中に混じり乗車し、12時22分、定刻通りの発車となりました。

▲芳賀・高根沢工業団地行きの車内。
平日昼間の時間帯ですが、立席が出るほどの利用状況でした。
宇都宮ライトレールの乗車には、現金以外にも、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードが利用可能です。
交通系ICカード利用の場合は、どの扉からも乗降可能となっており、スムーズな乗降が可能となっています。
一方、現金の場合は先頭まで出向いて運賃箱に現金を投入する必要があります。
特に土休日には現金の利用者が多く、その精算に時間がかかっているという話も聞こえてきますが、こと平日に関しては、ほとんどすべての利用者が交通系ICカードを使っているようで、スムーズに乗降できていました。

▲乗降扉に設置された、ICカードリーダー。
下側が「乗車」、上側が「降車」の際にタッチしますが、ICカードで利用する場合は、どの扉でも乗降可能となっています。
ただ、上述のとおり警報級の大雨で、かつ、強風も吹いてきたことから、鬼怒川を渡る平石小学校前〜飛山城跡間で最高時速25kmの規制が行われていました。
また、これら悪天候の影響か、先行列車との間隔を確保するための抑止もあったため、結局ダイヤは15分ほど遅れることとなりました。
利用者の動きとしては、宇都宮駅東口から乗車して、「宇都宮大学陽東キャンパス」(ショッピングセンター「ベルモール」最寄り駅)、グリーンスタジアム前などで、ある程度まとまった乗降がありました。
また、これらの停留所以外でも、降車を中心に利用者の動きがみられました。

▲まとまった利用のあった「宇都宮大学陽東キャンパス」最寄りの商業施設「ベルモール」。

▲ベルモールに右折で入る自動車を横目に、LRTはスイスイ進んでいきました。
豪雨の中ではありますが、上述の鬼怒川橋梁での速度制限を除けば、普通に運行を続け、終点の「芳賀・高根沢工業団地」には、約15分程度の遅れで到着しました。

▲芳賀・高根沢工業団地に到着したHU300形。

▲停留所前の様子。
(豪雨のため、停留所内からの撮影でした。)

▲芳賀・高根沢工業団地の駅名標
ここだけでなく、沿線の工業団地にこれから出勤する利用者も少なからずあり、通勤の足として定着していることが見て取れました。

▲芳賀・高根沢工業団地に停車中の車内から見る本田技研の工場。
停留所すぐ近くに停留所が設置され、通勤利用者も多いことと思われます。
帰りは、所定ダイヤ13時16分発の宇都宮駅東口行きに乗車します。
相変わらずの豪雨ですが、少しは雨が収まってきたので、可能な限り車内から沿線の様子を撮影しながら、宇都宮駅東口に戻りました。
遅れもそのまま引きずり、20分程度の遅れとなりましたが、雨風は収まってきており、復路の頃には鬼怒川橋梁の速度制限も解除されていました。


芳賀・高根沢工業団地〜かしの森公園前間に存在する急勾配。
約60パーミルの急勾配は、普通鉄道でいえばかつての「碓氷峠」クラスの勾配となっています。
とはいえ、この豪雨の中でも、列車は当たり前のように勾配を上り下りしていました。
(参考)
●クルマは楽々通る坂道、でも路面電車は? 宇都宮には「碓氷峠」並みの坂も登場 - 鉄道コム
●ホンダ手前の「碓氷峠」? 芳賀・宇都宮LRT最終区間の急坂 その姿が見えてきた | 乗りものニュース


グリーンスタジアム前〜ゆいの杜西間の「野高谷町(のごやまち)交差点」をオーバークロスする橋梁。
この野高谷町交差点ですが、交通量の多い交差点であり、宇都宮ライトレールの建設の際に交通渋滞を極力避けるため、交通規制の範囲を当初計画より縮小したことから、工期が約5ヶ月延びることとなりました。
●阪和線の沿線から : 【芳賀・宇都宮LRT】建設工事遅延を発表。2023年3月の開業予定時期は遅れる見込みか。
この日は大雨であったこと、そして交差点そのものをオーバークロスすることから、交通量の多さは実感できませんでしたが、開業に向けての苦労という意味では、エピソードとして取り上げたい場所でありました。


この宇都宮ライトレール、他の軌道と全く異なるのは、「既存の都市郊外に新たに設けられた軌道」ということです。
既存のショッピングモールや郊外型店舗が立地し、成熟したロードサイドの風景に走り出したLRT。
今後、この沿線がどのように変化していくのか、今後のまちづくり、という点からも変化が楽しみであります。


▲鬼怒川を渡る宇都宮ライトレール。
専用軌道で幅の広い河川を渡るのは、迫力がありました。
(参考)
●宇都宮ライトレールは高速鉄道か? はたまた急勾配・S字カーブの登山電車か?…鬼怒川橋りょう付近[フォトレポート] | レスポンス(Response.jp)


ターミナルとなる宇都宮駅東口の様子。
ひっきりなしに人が行き交っており、「にぎわい」を実感しました。
運航開始直後ということもあり、写真撮影に勤しむファンも何人かいましたが、ほとんどは通勤・通学・用務の一般利用者でした。


発車標。
「各停」と敢えて記されているのは、今後快速運転が予定されているため、とのことです。
(参考)
●宇都宮のLRT「最終形」はどうなる? ダイヤも路線も開業時は「仮の姿」 | 乗りものニュース

駅東側には、「ライトキューブ宇都宮」という会議場や商業施設、ホテルなどのビルが建っていました。
以前宇都宮駅を訪問した際、東口ではライトレールの駅や軌道などを含めて、これらの施設はまだ建設中でした。
その頃に比べると、明らかに東口を行き交う人の数は増えていました。

▲乗ってきた車両は折り返し、芳賀・高根沢工業団地行きとして出発していきました。

▲宇都宮駅構内の駅ビル「PASEO」の装飾も、LRT開業一色でした。

▲その「PASEO」の「とちぎグランマルシェ」内の「宇都宮餃子館」で、遅い昼食の餃子をいただきました。
「宇都宮ライトレールを体験して餃子を食べる」という、模範的?な行動を取ることで、開業による経済効果にも少しばかり寄与できたのではないか、と思いました。
以上が、「宇都宮ライトレール」の乗車記でした。
豪雨の中の訪問でしたので、停留場内と車内の撮影ばかりとなり、またピントもろくに合っていない写真もありましたが、この新設LRTの雰囲気を、少しでも感じ取っていただければ幸いに存じます。
宇都宮ライトレールの沿線には、大学や工業団地、ショッピングセンターやスタジアムなど、曜日や時間帯を問わず、利用者が開拓できる施設が多く存在しています。
これら集客力のある施設が沿線に多いことも、この新設LRT路線が完成をみることができた、一つの理由なのかな、とも感じました。
一方、この宇都宮ライトレールの今後をみますと、現在の「宇都宮駅東口」から、JR東北本線をオーバークロスして同駅西口へ、そして更に東武宇都宮駅などを経て宝木町1丁目・駒生(こまにゅう)1丁目付近(教育会館付近)までを、2030年代前半に開業する目標が示されています。
この計画が、目標どおり進むかどうかは、様々な関係者の理解があってこそだと思うのですが、その理解を得るためにも、今回開業した東側区間での利用定着は非常に大事なのかな、と思います。
開業後、早速地域の足として定着している宇都宮ライトレール。
その将来も楽しみにしながら、今後も同線のニュースを楽しみにしていきたいと思います。
【関連ニュースサイト】
●ついに「宇都宮ライトレール」開業! JR西の「有料座席」新サービスはどうなる? 今週1週間の鉄道コム注目ニュース - 鉄道コム
●開業秒読み「芳賀・宇都宮LRT」どんな路線なのか 「全国初」の新路面電車は「エモ風景」もたくさん | 乗りものニュース
↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
