「JTB時刻表」といえば、JRや民鉄だけでなく、バスや航空、船舶までもを網羅した、国内の公共交通機関を利用して旅行する上では欠かせない情報源の一つであります。

その「JTB時刻表」を発行する「JTBパブリッシング」では、この度関西・東海エリアの民鉄を網羅する「JTB私鉄時刻表 関西 東海2024」(以下、「JTB私鉄時刻表」といいます。)を発売しました。

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上述のX投稿のとおり、「JTB時刻表」のフォーマットで、東海3県(三重・愛知・岐阜)と関西2府4県の大手・中小各私鉄(民鉄)の時刻が、「JTB時刻表」と同じフォーマットで見られる時刻表となっています。

これだけでも、十分網羅性のある時刻表で、活用価値が高いものと感じますが、ページを開くと更に、その掲載情報の深さを感じることができましたので、注目点をご紹介したいと思います。



【大阪メトロ御堂筋線も「全列車掲載」】
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(JTB私鉄時刻表P458より引用)

上記引用画像は、Osaka Metro御堂筋線及び北大阪急行のページですが、ご覧のとおり「全列車掲載」となっています。

このJTB私鉄時刻表のスゴいところは、基本的に「全列車掲載」である点です。
大手民鉄は勿論、地下鉄(名古屋、京都、大阪、神戸)も全列車掲載です。
ですので、上記引用画像のとおり、ラッシュ時には2分間隔で運転している御堂筋線でも、当たり前のように全列車掲載となっています。
逆に全列車掲載ではない(日中は運転間隔のみ掲載)のは、豊橋鉄道東田本線と、阪堺電気鉄道上町線・阪堺線の、いずれも路面電車のみとなっています。

即ち、これら3線区以外は、全駅・全列車掲載となるわけですから、これだけでも、このJTB私鉄時刻表の情報量の多さを感じ取ることができるのではないのでしょうか。



【「ラピート」に「グリーン車」マーク?】
やはり地元が気になる、ということで、南海本線のページを開けてみます。
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(JTB私鉄時刻表P510より引用、赤枠は管理人による。)

上述のとおり全駅・全列車掲載であるのに加え、「列車番号」も掲載されているのは、ファンにとっても心強い情報です。
(列車番号については、上記Osaka Metro・北大阪急行のように、掲載の都合で省略されている場合もあります。)

そして気になるのが、上記引用画像中に赤枠で記した「グリーン車」のマーク。
勿論、「ラピート」にグリーン車が連結されているわけではありません。
JTB私鉄時刻表では、このグリーン車マークは、「特急料金などのほかに特別料金の必要な車両」と説明されています。
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(JTB私鉄時刻表巻頭P8より引用、赤枠は管理人による。)

なるほど、ラピートの「スーパーシート」には、特急料金の他に「特別車両料金」が必要なため、それを示す「グリーン車」マークが付けられている、というわけです。



【「ひのとり」「しまかぜ」にはグリーン車マークなし、「しまかぜ」には「ビュッフェ」マークが】
それならば、同様に「デラックスカー」「プレミアム車両」と、上級サービスも提供している近鉄特急でも、同様に「グリーン車」マークが見られるのではないか、と思いページをめくってみました。
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(JTB私鉄時刻表P248より引用)

こちらは逆に、「グリーン車」マークは無く、「全席指定」マークに「プレミアム車両・レギュラー車両連結」(ひのとり)、「展望車両・グループ席車両連結」(しまかぜ)と注釈が入っています。

この違いは果たして何なのか?気になるところですが、私自身の推測では、以下の経緯でこのような掲載方法になったのでは、と考えます。
・「ひのとり」の場合は「プレミアム車両」「レギュラー車両」ともに特別車両料金が必要。
・上記「特別料金の必要な車両」の定義からすれば、「ひのとり」充当列車は全席「グリーン車」マークが付くことになる。
・しかしそれだと、「ひのとり」と他の特急とで、座席設備に大幅な差が付くように見えてしまい、読者に誤解を生じさせる恐れがある。
・よって、近鉄のページでは、別途特別車両券が必要な列車であっても「グリーン車」マークは使わず、注釈等で、別途料金が必要な旨説明。
・その考え方を踏襲するため、「しまかぜ」も「グリーン車」マークではなく「全席指定」マークとなる。

南海・近鉄の両社の料金体系を考えるに、上述のような推理が成り立ちそうに感じましたが、どんなものでしょうか。


一方、「しまかぜ」には、コーヒーカップのマーク、即ち「ビュッフェ」のマークが付けられています。
これは、「しまかぜ」に連結されている「カフェ車両」のことを指しています。
車内で軽食を提供する車両として連結されている「カフェ車両」に、この「ビュッフェ」マークが付けられるのは、至極納得のいくところです。
一方で、同じく観光特急の「あをによし」「青の交響曲(シンフォニー)」にもカウンターでスイーツなどを提供していますが、ビュッフェマークは付いていません。
恐らく、これら2列車と「しまかぜ」とでは、提供される食事の違い(スイーツは軽食に入らない)で区分けされているのかな、とも感じました。



ともあれ、入手して一通りしか眺めていませんが、情報量の多さと表示のユニークさに、価値の高さと面白さを感じましたので、早速記事にしたためた次第です。

乗りつぶしや撮影、運用調査などなど、ファンにとって活用価値の高いこのJTB私鉄時刻表。
お値段は2,200円(税込)とやや張りますが、手元に置いておきたい一冊であると感じました。

JTB私鉄時刻表 関西 東海2024 (JTBのMOOK)
JTBパブリッシング
2024-03-18


JTB私鉄時刻表 関西 東海2024 (JTBのMOOK) [ JTB時刻表 編集部 ]
JTB私鉄時刻表 関西 東海2024 (JTBのMOOK) [ JTB時刻表 編集部 ]



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