JR東日本では、吾妻線の長野原草津口〜大前間について、沿線地域の総合的な交通体系に関する議論を行いたい旨を、沿線自治体(群馬県、長野原町、嬬恋村)に申し入れたことを発表しました。
JR吾妻線(長野原草津口・大前間)沿線地域の総合的な交通体系に関する議論の申入れについて|JR東日本

概要は以下のとおりです。

【背景等】
・吾妻線については、公共交通から自家用自動車への移動手段の転換や人口減少の影響等により、利用者数の減少が続き、2022年度の長野原草津口・大前間は、1日当たりの平均通過人員が263人と、会社発足当時(1987年)から約7割減少しており、鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていない状況。

・人口減少が進む中、「地域の交通体系のあり方」の議論を行い、本当に地域住民にとって役立つ交通モードが現在の鉄道なのか、存続や廃止という前提を置かない議論が必要と認識している。

・従って、同社としていは、当該沿線地域の公共交通を持続可能なものとし、吾妻線長野原草津口・大前間の沿線地域の発展に貢献していくために、利用者にとって利便性が向上する交通体系のあり方を総合的な観点から検討する必要があると考えている。

・このような状況を踏まえ、同社としては沿線自治体等とともに、吾妻線長野原草津口・大前間について、沿線地域の総合的な交通体系に関する議論を行いたく、協議への参加について検討をお願いいするもの。


詳細は、上記発表資料をご覧ください。




JR東日本では、既に久留里線の久留里〜上総亀山(千葉県)についても、同様の申し入れを行っており、今回の申し入れは、この久留里線に続くものとなります。
【参考】




吾妻線は、長野原草津口までは特急「草津・四万」が運行されており、観光利用もある路線であります。
一方で、長野原草津口〜大前間は、かつては特急「白根」や「草津」が万座・鹿沢口まで運行されていたものの、現在の特急列車は上述のとおり長野原草津口までの運行に短縮され、現在は普通列車のみの運行となっています。

特に末端区間となる万座・鹿沢口〜大前間に至っては、一日5往復と、かつてから少ない本数のまま現在に至っています。

利用実績をみましても、平均通過人員でみても、会社発足時(1987年度)は791人、民営化後ピーク時の1992年度で865人であったのに対し、2022年度は263人、コロナ禍前の2019年度でさえも320人と、大幅に落ち込んでいる上に、2023年10月に改正された「地域公共交通活性化再生法」で国が再構築協議会を組織する水準の輸送密度1,000人さえも大きく割り込んでいます。

以上のことから、今回JR東日本では、沿線自治体に対して利便性の向上する交通体系のあり方を検討する協議への参加を申し入れたのが、今回の発表であります。


輸送密度としては上述のとおりですが、同区間では長野原草津口〜万座・鹿沢口間は10.5往復に対し、万座・鹿沢口〜大前間が上述のとおり4.5往復と、万座・鹿沢口を境に本数の差も大きいものがありますので、交通体系のあり方を考える際には、万座・鹿沢口を境にして別々に検討していく、というのも大いに考えられそうです。


ともあれ、かつてはスキー客や温泉客で賑わった区間が、いまこのように鉄道としての特性が発揮できない線区として、そのあり方が協議されるというのも、やはり時代の流れを感じざるを得ないですし、今後も更にこういったケースは出てくるかと思いますので、引き続き注目しておきたいと思います。




鉄道コム関連記事】
吾妻線一部区間の今後に関する議論を申し入れ、JR東 - 鉄道コム



【関連ニュースサイト】
JR東日本、吾妻線の「あり方協議」要請。長野原草津口〜大前、廃止議論も | タビリス
JR東日本,吾妻線 長野原草津口—大前間の総合的な交通体系に関する協議を沿線自治体へ申入れ|鉄道ニュース|2024年3月25日掲載|鉄道ファン・railf.jp
吾妻線にフラグか JR東日本が「地域の交通体系のあり方」議論に向け自治体へ申し入れ | 乗りものニュース



【関連ブログ】
JR東日本、吾妻線の一部区間について協議を申し入れ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム