JR九州が、鉄道運賃の値上げに向けて検討していることが、本日各マスメディアから報じられていました。
各マスメディアの報道をまとめますと、現在報じられている内容としては、以下のとおりです。
JRグループでは、既にJR北海道が2019年10月の消費税率改定に併せた値上げを実施しており、同社では2025年度の運賃改定実施を検討しています。
(参考)
阪和線の沿線から : 【JR北海道】運賃・料金改定の申請を発表。全体で11.1%(消費税抜き9.1%)の改定(2019.10.1実施予定)
JR北海道グループ中期経営計画2026|JR北海道
(P28に「2025(R7)年度運賃改定の実施を検討」とあります。)
JR九州でも、人口減少や少子化、相次ぐ自然災害などの対応、そして人材確保の観点からの賃上げの実施など、安定的な鉄道事業運営のための原資確保の目的として、運賃の値上げを実施する方針です。
上記報道記事によれば、年内にも値上げ申請を行いたいとのことですので、その時期に改めて当ブログでもご紹介できればと思っています。
ところでJR九州では、最低区間のきっぷを使って、より遠い駅で下車して差額の運賃を浮かす「不正乗車」のニュースが報じられています。
“不正乗車やめて”JR九州が訴え 無人駅で下車…「170円切符」券売機での販売を一時中止に 福岡(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース
「300枚売れるのに30枚しか回収されない」170円の乗車券 JR九州が券売機での販売を中止 | TBS NEWS DIG (1ページ)
「小倉駅から170円区間」不正問題、実態と対策は - JR九州に聞いた | マイナビニュース
この手のニュースは、他のJRグループではあまり報じられず、JR九州だけ突出して多い、という印象を持っています。
どうやら、運賃の収受について、他のJRグループよりも緩い姿勢とみられていることが、その背景にあるのではないか、という意見も多数見られます。
勿論、不正乗車は犯罪ですし、運賃収受のチェックが甘いからといって、不正乗車をして良いという理由にはなりません。
ただ、正しく運賃を払っている利用者からすれば、「正直者が馬鹿を見ない」よう、不正乗車を削減する仕組みを構築して欲しい、という意見も、これもまた正論です。
方や事業者からすれば、運賃収受を確実に行うための設備投資は、コストを伴うものであり、そのための投資をどれだけのレベルで行うのかは、究極のところ「経営判断」に委ねられている、というのが実際のところでしょうか。
さすれば今回、運賃値上げを実施するとなれば、同時にこの「不正乗車対策」についても十分な対応が必要を講じなければ、利用者からの理解も得られないのではないか、とも思われます。
でないと、値上げ後は不正乗車が更に増え、正直に運賃を払っている利用者が、それこそ馬鹿を見るようで、更に不正乗車を誘発する…という状況に陥るかも知れません。
そうなれば、それこそ「持続的な鉄道事業運営」が成り立たなくなりますが、そのあたりをJR九州がどのように考えて運賃値上げを実施するのか、というのも気になるところです。
また、運賃値上げ(上限認可運賃の変更認可申請)については、国土交通省の「パブリックコメント」が実施されることとなりますので、ここで意見を提出する機会が設けられています。
(参考)
近畿日本鉄道株式会社の鉄軌道事業の旅客運賃の上限認可申請に関する意見募集について|e-Govパブリック・コメント
こういった場面で、利用者側から、値上げに際して不正乗車対策を充実することを求める意見が多数出てくれば、JR九州としても無視できないものと思われます。
実際パブコメが実施されるとなれば、その情報も併せてご紹介できればと思っています。
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JR九州 運賃値上げ年内にも申請へ 災害や人手不足など背景|NHK 福岡のニュース
相次ぐ自然災害や人手不足など、鉄道事業を取り巻く環境が厳しくなっているとして、JR九州が運賃の値上げに向けた検討を進めていることが分かりました。
JR九州によりますと、会社は運賃の値上げに向けて実施時期や改定の幅などの検討を進めています。
早ければ年内にも詳細を決め、国土交通省に申請する見通しだということです。
JR九州、鉄道運賃の値上げ検討 年内にも国交省に申請へ - 日本経済新聞
JR九州が鉄道運賃の引き上げを検討していることが13日、分かった。2024年内にも国土交通省に申請する方針。現在値上げ幅や時期を議論しており、同社幹部は「可能な限り早く」申請したい意向を明らかにした。利用客の減少や鉄道施設の老朽化が進むなか、設備投資や人件費、災害復旧費などの原資を確保する。
JR九州の値上げは消費税増税時を除くと1996年以来となる。
運賃値上げ JR九州検討 時期「すみやかに」|KBCニュース
JR九州が、鉄道運賃の値上げを検討していることが分かりました。
時期は「すみやかに」として、国への申請を進めるということです。
JR九州は、KBCの取材に対して値上げ率などは検討を進めている段階で、値上げの時期については「すみやかに」として「年内や年度内」といった明言は避けました。
JR九州の古宮洋二社長は、昨年度の決算発表会見で
「乗客数はコロナ禍前の2019年3月期の94%程度にしか戻っていない。この人数でいかに鉄道を運営していくか、中長期的に考えないといけない」と、述べていました。
運賃値上げは、鉄道の維持に向けた人件費や設備投資、災害復旧への原資を確保するのが狙いとみられます。
国土交通省に認められれば、JR九州の運賃値上げは消費税増税に伴うものを除くと、1996年1月以来になります。
各マスメディアの報道をまとめますと、現在報じられている内容としては、以下のとおりです。
・2024年内にも詳細を決定し、申請を行いたい。
・利用客の減少や鉄道施設の老朽化が進む状況を踏まえて、設備投資や人件費、災害復旧費などに充当したい考え。
・改定額等は検討を進めているところ。
JRグループでは、既にJR北海道が2019年10月の消費税率改定に併せた値上げを実施しており、同社では2025年度の運賃改定実施を検討しています。
(参考)
阪和線の沿線から : 【JR北海道】運賃・料金改定の申請を発表。全体で11.1%(消費税抜き9.1%)の改定(2019.10.1実施予定)
JR北海道グループ中期経営計画2026|JR北海道
(P28に「2025(R7)年度運賃改定の実施を検討」とあります。)
JR九州でも、人口減少や少子化、相次ぐ自然災害などの対応、そして人材確保の観点からの賃上げの実施など、安定的な鉄道事業運営のための原資確保の目的として、運賃の値上げを実施する方針です。
上記報道記事によれば、年内にも値上げ申請を行いたいとのことですので、その時期に改めて当ブログでもご紹介できればと思っています。
ところでJR九州では、最低区間のきっぷを使って、より遠い駅で下車して差額の運賃を浮かす「不正乗車」のニュースが報じられています。
“不正乗車やめて”JR九州が訴え 無人駅で下車…「170円切符」券売機での販売を一時中止に 福岡(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース
「300枚売れるのに30枚しか回収されない」170円の乗車券 JR九州が券売機での販売を中止 | TBS NEWS DIG (1ページ)
「小倉駅から170円区間」不正問題、実態と対策は - JR九州に聞いた | マイナビニュース
この手のニュースは、他のJRグループではあまり報じられず、JR九州だけ突出して多い、という印象を持っています。
どうやら、運賃の収受について、他のJRグループよりも緩い姿勢とみられていることが、その背景にあるのではないか、という意見も多数見られます。
勿論、不正乗車は犯罪ですし、運賃収受のチェックが甘いからといって、不正乗車をして良いという理由にはなりません。
ただ、正しく運賃を払っている利用者からすれば、「正直者が馬鹿を見ない」よう、不正乗車を削減する仕組みを構築して欲しい、という意見も、これもまた正論です。
方や事業者からすれば、運賃収受を確実に行うための設備投資は、コストを伴うものであり、そのための投資をどれだけのレベルで行うのかは、究極のところ「経営判断」に委ねられている、というのが実際のところでしょうか。
さすれば今回、運賃値上げを実施するとなれば、同時にこの「不正乗車対策」についても十分な対応が必要を講じなければ、利用者からの理解も得られないのではないか、とも思われます。
でないと、値上げ後は不正乗車が更に増え、正直に運賃を払っている利用者が、それこそ馬鹿を見るようで、更に不正乗車を誘発する…という状況に陥るかも知れません。
そうなれば、それこそ「持続的な鉄道事業運営」が成り立たなくなりますが、そのあたりをJR九州がどのように考えて運賃値上げを実施するのか、というのも気になるところです。
また、運賃値上げ(上限認可運賃の変更認可申請)については、国土交通省の「パブリックコメント」が実施されることとなりますので、ここで意見を提出する機会が設けられています。
(参考)
近畿日本鉄道株式会社の鉄軌道事業の旅客運賃の上限認可申請に関する意見募集について|e-Govパブリック・コメント
こういった場面で、利用者側から、値上げに際して不正乗車対策を充実することを求める意見が多数出てくれば、JR九州としても無視できないものと思われます。
実際パブコメが実施されるとなれば、その情報も併せてご紹介できればと思っています。
▲佐賀駅に入線する817系電車(2013年10月撮影)
県庁所在地であっても、2両編成の電車が行き交うJR九州の経営環境は苦しいものがありますので、運賃の値上げはやむを得ない点はあるでしょう。
一方で、運賃確保の観点からは、不正乗車を防止すること抜きには、利用者の理解も得られそうにありません。不正乗車に関するニュースが多く見られる同社が、どのように対応するのか気になるところです。
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