高速道路を使わず、また、予約等の必要が無い、いわゆる「生活路線」として機能している一般路線バスの中では、日本一の長さを誇るのが、奈良交通の「八木新宮線」です。
奈良県橿原市の近鉄大和八木駅を起点に、五條市、十津川村、和歌山県田辺市を経由し、新宮市の新宮駅までを結ぶ路線。
路線距離は約169km、所要時間は約6時間半。全区間乗り通した場合の運賃は6,150円と、いずれも日頃お馴染みの「一般路線バス」のスケールをはるかに越える、名実ともに「日本一」の一般路線バスであります。
奈良県と和歌山県を結ぶ路線であり、個人的にはそう遠い場所にあるわけでもない路線であることから、そのうちに乗りに行こう、とは思いながらも、なかなか実際に乗ることが無かった訳ですが、今回、ついにこの路線を全区間乗車する機会に恵まれましたので、ご紹介したいと思います。
この日乗車したのは、新宮駅5時53分発の大和八木駅行き始発に乗車してみました。
▲新宮駅で発車を待つ、奈良交通・八木新宮線のバス
▲見にくい画像ですが、新宮から八木まで、主要な停留所を記した行先表示です。
これから6時間半をかけた長旅が始まります。
私の他に3名乗車して、これから始まる6時間半のバス旅の始まりです
発車直後は新宮の市街地を走りますが、しばらくしてトンネルをくぐると、いきなり熊野川に沿って走ります。
途中の日足(ひたり)や、新宮駅から1時間走った湯の峰温泉で2名ほど乗車しました。
谷間に開けた湯の峰温泉郷の中でお客さんを乗せ、更に走ります。
▲巨大な鳥居が見えてくると、本宮大社前。
この日は新宮や田辺方面のバスに乗車する人がいましたが、八木駅行きに乗車する人はいませんでした。
しばらくすると、バスは和歌山県から奈良県に入ります。
奈良県内の国道168号は、付け替え工事が完了した場所もありますが、そうでないところも多数あります。
バスは旧国道に向かったりしつつ、一つ一つの集落を丁寧に結びながら走っていきます。
▲車窓から眺める二津野ダム。
これから更に車窓からダムを眺めることができます。
7時50分頃、最初の休憩地「十津川温泉」に到着します。
ここで10分間の休憩となりますが、同時に新宮方面から乗車してきた数名が下車します。
ここには足湯もあり、バス待ちの間に入るのも楽しそうですが、休憩時間は10分間ですので、今回はスルーであります。
8時1分、引き続き八木駅に向けて発車します。
続いて車窓から見えてくるのが、「風屋ダム」。
こちらは先程の二津野ダムよりも更に大きなダムで、バスは何分もかけてダム湖のほとりを走りつづけまうs。
十津川温泉から約1時間で上野地(うえのち)に到着しました。
ここは「谷瀬の吊り橋」の最寄り停留所で、20分休憩で停車しますので、その間に吊り橋を見てきます。
この吊り橋は、戦後の高度経済成長期が始まろうとしている1954年に、当時の住民がお金を出し合って敷設した吊り橋なのだそうです。
現在では日本一長い吊り橋のタイトルは他の吊り橋に譲っているそうですが、それでもこういった奥地に、まだ日本が今よりもずっと貧しい時代に住民たちが立ち上がって建設したというストーリーを有するこの吊り橋、やはり一度は訪問してみたいものであります。
休憩時間を使って、吊り橋の中央辺りまで渡ってみることにします。
上野地バス停に戻り、発車を待ちます。
バス側面のラッピングも記録しておきます。
9時24分、引き続き、八木駅に向けて発車します。
奈良県の1/5の面積を占める、日本一広い面積を有する十津川村に別れを告げ、五條市に入ります。
といっても五條市も、平成の大合併で「大塔村」「西吉野村」と合併したこともあり、こちらもまた相当な面積を有しています。
車窓からは、三つ目のダムとなる「猿谷ダム」が見えてきました。
猿谷ダムの車窓に別れを告げると、バスは「天辻峠」を登ります。
この峠は、バスの車内放送によりますと、「熊野川と吉野川の分水嶺で、長らく十津川村を隔てていた峠」とのことで、バスは急勾配を登っていきます。
峠の途中の「星のくに」停留所で時間調整のため停車します。
かつて十津川村を秘境たらしめていた「天辻峠」をトンネルで抜け、降りてくると谷間の集落の光景とは若干アンマッチさも感じる高架橋が見えてきます。
これが、かつて和歌山線の五条駅と、紀勢本線の新宮駅を結ぶ計画の「五新線」の未成線であります。
この五新線、五条から途中の城戸までは概ね建設されましたが、列車の代わりバスの専用道として国鉄バスが運行されることとなりました。
その後西日本JRバス、奈良交通と専用道の路線は引き継がれましたが、2014年9月末をもって専用道の系統は廃止となりました。
(参考)
一方、城戸より南の区間は、上記の写真のように一部工事は着手され、鉄橋やトンネルは一部完成したものの、残りの工事は中止となり、現在に至るまで放棄されたままとなっています。
そんな未成線の歴史を感じる車窓を見ていると、少しずつ風景も開けてきて、五條市の市街地に入っていきながら、少しずつ乗車の客も乗ってきて、11時過ぎに五條バスセンターに到着。
ここで10分程度の、最後の休憩となります。
五條バスセンターは、イオン五條店に併設されているので、イオン店内のトイレを使用します。
最後の休憩を終え、後1時間ほどかけて、終点の大和八木駅に向かいます。
ここまで来ると、五條市や御所市、高田市、橿原市という奈良県中部の都市圏であります。
これまでの秘境というイメージとは全く異なる一方、渋滞も増えてきました。
橿原市内に入り、「イオンモール橿原」が見えてくると、終点の八木駅も近づいてきました。
結局15分程度遅れて、12時40分頃に大和八木駅に到着しました。
八木駅到着時の運賃表を記念に撮影してみました。
●整理券番号1〜
●整理券番号31〜
●整理券番号61〜
●整理券番号91〜
整理券番号は110番まで、そして最も高い運賃は6,150円(新宮駅から)と、運賃表から見ても「日本一」のスケールを感じることができます。
また、この八木新宮線では、他の奈良交通の路線バスと同様に、ICOCA等の交通系ICカードでの支払いが可能となっています。
但し、システムの仕様もあってでしょうか、6,000円を越える金額を一度に差し引くことができず、これを越える新宮駅→八木駅の運賃は、下記画像のように、一旦「6,000円」を差し引き、続いて残額の「150円」を差し引くことになります。
そして、大和八木駅〜新宮駅間を、同一便で乗り通した乗客には、このような記念グッズがプレゼントされます。
「記念乗車証」は、吉野杉を使ったしおりタイプで、裏面に乗車した日付が押印されています。
また「路線図」は、縦長のオリジナルサイズで、八木新宮線の全ての停留所が記載されており、こちらも旅の思い出となるグッズであります。
乗車してきた車両は、およそ1時間後の13時38分発の新宮行きで折り返していきました。
ダイヤを見ますと、新宮駅5時53分発→大和八木駅13時38分発は当日折り返しが可能ですが、その他の便どうしの折り返しはできないようなので、1日5台体制で運行していることが分かります。
以上が、奈良交通「八木新宮線」の全線を通して乗車した記録でありました。
所要時間・距離ともにスケールの大きいもので、それだけ乗りごたえのある路線でした。
また、この日は土曜日でありましたので、通学や通院といった利用の実態はあまり見受けられませんでしたが、それでも買い物や通勤の利用でも乗り降りがありました。
加えて、湯の峰温泉や十津川温泉などでの観光の利用についても確認でき、地域の生活路線、そして観光路線としての機能を果たしている様子も実感できました。
ところでこの八木新宮線は、国、そして奈良県や和歌山県等の地方自治体が路線の運営に補助金を支
出する路線となっています。
国の地域間幹線系統補助制度によれば、1日3回、1回あたり5人以上の利用計画がないと補助対象とならないとのことで、最近になったこの補助制度の水準以下となり、路線の存続が厳しくなっているニュースも聞こえてきたりしています。
(参考)
根室―釧路の都市間バス存続困難 10月以降、国の補助外れる見通し:北海道新聞デジタル
特急ねむろ号 存続危機 利用減、国の補助対象外に【根室】 – 釧路新聞電子版
乗客減と補助打ち切りで廃止危機!くしろバス・特急ねむろ号に乗車(宙船) - エキスパート - Yahoo!ニュース
三重交通の「松阪熊野線」が廃止決定だと!? 補助金の対象にすらならないってマジ? - 自動車情報誌「ベストカー」
この八木新宮線に関しても、かつて路線の廃止が問題となったことがありましたが、その後新たな補助金制度の元で現在に至るまで運行が続けられています。
(参考)
また車両についても、2015年にノンステップバス車両に置き換えられました。
以前は観光バスタイプの座席が設置された車両で、長時間の乗車にゆとりのある座席となっていたのが特徴でした。
一方、ステップがあることで、特にお年寄りや障害者にとっては、乗降が厳しいという面もありました。
ノンステップバスに置き換えの際には、こういった路線の特殊性から、座席は背もたれの高いタイプを採用し、ドリンクホルダーを設けるなど、長時間の乗車が苦痛とならない仕様の車両が導入されました。
実際に乗車しても、ノンステップバスであることは、車両から乗り降りする時以外には感じることがなく、少なくとも車両面で苦痛、ということはありませんでした。
▲八木新宮線用の車両の座席。
このように背もたれが高いほか、ドリンクホルダーと座席網ポケットが付いているのが特徴です。
現在のところ、減便・廃止の報道が聞こえてこないことから、引き続き現在の1日3往復の運行が維持されることと考えられますが、一方で上述のとおり、地域の公共交通を支えるために、補助金制度に支えられて運行されている路線であることも、事実であります。
バスファンの方々には有名な路線であり、全国的な注目度も高いのでありますが、一方でこのように地域輸送を支えているという実態もこの機会にご理解いただき、多くの人々による積極的な利用につなげていただければな、と思っています。
最後は少し堅い話となりましたが、ともあれ「一般路線バス」のスケールを凌駕してあまりあるこの八木新宮線、是非皆さんも乗車してみてはいかがでしょうか。
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奈良県橿原市の近鉄大和八木駅を起点に、五條市、十津川村、和歌山県田辺市を経由し、新宮市の新宮駅までを結ぶ路線。
路線距離は約169km、所要時間は約6時間半。全区間乗り通した場合の運賃は6,150円と、いずれも日頃お馴染みの「一般路線バス」のスケールをはるかに越える、名実ともに「日本一」の一般路線バスであります。
奈良県と和歌山県を結ぶ路線であり、個人的にはそう遠い場所にあるわけでもない路線であることから、そのうちに乗りに行こう、とは思いながらも、なかなか実際に乗ることが無かった訳ですが、今回、ついにこの路線を全区間乗車する機会に恵まれましたので、ご紹介したいと思います。
この日乗車したのは、新宮駅5時53分発の大和八木駅行き始発に乗車してみました。
▲新宮駅で発車を待つ、奈良交通・八木新宮線のバス
▲見にくい画像ですが、新宮から八木まで、主要な停留所を記した行先表示です。
これから6時間半をかけた長旅が始まります。
私の他に3名乗車して、これから始まる6時間半のバス旅の始まりです
発車直後は新宮の市街地を走りますが、しばらくしてトンネルをくぐると、いきなり熊野川に沿って走ります。
途中の日足(ひたり)や、新宮駅から1時間走った湯の峰温泉で2名ほど乗車しました。
谷間に開けた湯の峰温泉郷の中でお客さんを乗せ、更に走ります。
▲巨大な鳥居が見えてくると、本宮大社前。
この日は新宮や田辺方面のバスに乗車する人がいましたが、八木駅行きに乗車する人はいませんでした。
しばらくすると、バスは和歌山県から奈良県に入ります。
奈良県内の国道168号は、付け替え工事が完了した場所もありますが、そうでないところも多数あります。
バスは旧国道に向かったりしつつ、一つ一つの集落を丁寧に結びながら走っていきます。
▲車窓から眺める二津野ダム。
これから更に車窓からダムを眺めることができます。
7時50分頃、最初の休憩地「十津川温泉」に到着します。
ここで10分間の休憩となりますが、同時に新宮方面から乗車してきた数名が下車します。
ここには足湯もあり、バス待ちの間に入るのも楽しそうですが、休憩時間は10分間ですので、今回はスルーであります。
8時1分、引き続き八木駅に向けて発車します。
続いて車窓から見えてくるのが、「風屋ダム」。
こちらは先程の二津野ダムよりも更に大きなダムで、バスは何分もかけてダム湖のほとりを走りつづけまうs。
十津川温泉から約1時間で上野地(うえのち)に到着しました。
ここは「谷瀬の吊り橋」の最寄り停留所で、20分休憩で停車しますので、その間に吊り橋を見てきます。
この吊り橋は、戦後の高度経済成長期が始まろうとしている1954年に、当時の住民がお金を出し合って敷設した吊り橋なのだそうです。
現在では日本一長い吊り橋のタイトルは他の吊り橋に譲っているそうですが、それでもこういった奥地に、まだ日本が今よりもずっと貧しい時代に住民たちが立ち上がって建設したというストーリーを有するこの吊り橋、やはり一度は訪問してみたいものであります。
休憩時間を使って、吊り橋の中央辺りまで渡ってみることにします。
上野地バス停に戻り、発車を待ちます。
バス側面のラッピングも記録しておきます。
9時24分、引き続き、八木駅に向けて発車します。
奈良県の1/5の面積を占める、日本一広い面積を有する十津川村に別れを告げ、五條市に入ります。
といっても五條市も、平成の大合併で「大塔村」「西吉野村」と合併したこともあり、こちらもまた相当な面積を有しています。
車窓からは、三つ目のダムとなる「猿谷ダム」が見えてきました。
猿谷ダムの車窓に別れを告げると、バスは「天辻峠」を登ります。
この峠は、バスの車内放送によりますと、「熊野川と吉野川の分水嶺で、長らく十津川村を隔てていた峠」とのことで、バスは急勾配を登っていきます。
峠の途中の「星のくに」停留所で時間調整のため停車します。
かつて十津川村を秘境たらしめていた「天辻峠」をトンネルで抜け、降りてくると谷間の集落の光景とは若干アンマッチさも感じる高架橋が見えてきます。
これが、かつて和歌山線の五条駅と、紀勢本線の新宮駅を結ぶ計画の「五新線」の未成線であります。
この五新線、五条から途中の城戸までは概ね建設されましたが、列車の代わりバスの専用道として国鉄バスが運行されることとなりました。
その後西日本JRバス、奈良交通と専用道の路線は引き継がれましたが、2014年9月末をもって専用道の系統は廃止となりました。
(参考)
一方、城戸より南の区間は、上記の写真のように一部工事は着手され、鉄橋やトンネルは一部完成したものの、残りの工事は中止となり、現在に至るまで放棄されたままとなっています。
そんな未成線の歴史を感じる車窓を見ていると、少しずつ風景も開けてきて、五條市の市街地に入っていきながら、少しずつ乗車の客も乗ってきて、11時過ぎに五條バスセンターに到着。
ここで10分程度の、最後の休憩となります。
五條バスセンターは、イオン五條店に併設されているので、イオン店内のトイレを使用します。
最後の休憩を終え、後1時間ほどかけて、終点の大和八木駅に向かいます。
ここまで来ると、五條市や御所市、高田市、橿原市という奈良県中部の都市圏であります。
これまでの秘境というイメージとは全く異なる一方、渋滞も増えてきました。
橿原市内に入り、「イオンモール橿原」が見えてくると、終点の八木駅も近づいてきました。
結局15分程度遅れて、12時40分頃に大和八木駅に到着しました。
八木駅到着時の運賃表を記念に撮影してみました。
●整理券番号1〜
●整理券番号31〜
●整理券番号61〜
●整理券番号91〜
整理券番号は110番まで、そして最も高い運賃は6,150円(新宮駅から)と、運賃表から見ても「日本一」のスケールを感じることができます。
また、この八木新宮線では、他の奈良交通の路線バスと同様に、ICOCA等の交通系ICカードでの支払いが可能となっています。
但し、システムの仕様もあってでしょうか、6,000円を越える金額を一度に差し引くことができず、これを越える新宮駅→八木駅の運賃は、下記画像のように、一旦「6,000円」を差し引き、続いて残額の「150円」を差し引くことになります。
そして、大和八木駅〜新宮駅間を、同一便で乗り通した乗客には、このような記念グッズがプレゼントされます。
「記念乗車証」は、吉野杉を使ったしおりタイプで、裏面に乗車した日付が押印されています。
また「路線図」は、縦長のオリジナルサイズで、八木新宮線の全ての停留所が記載されており、こちらも旅の思い出となるグッズであります。
乗車してきた車両は、およそ1時間後の13時38分発の新宮行きで折り返していきました。
ダイヤを見ますと、新宮駅5時53分発→大和八木駅13時38分発は当日折り返しが可能ですが、その他の便どうしの折り返しはできないようなので、1日5台体制で運行していることが分かります。
以上が、奈良交通「八木新宮線」の全線を通して乗車した記録でありました。
所要時間・距離ともにスケールの大きいもので、それだけ乗りごたえのある路線でした。
また、この日は土曜日でありましたので、通学や通院といった利用の実態はあまり見受けられませんでしたが、それでも買い物や通勤の利用でも乗り降りがありました。
加えて、湯の峰温泉や十津川温泉などでの観光の利用についても確認でき、地域の生活路線、そして観光路線としての機能を果たしている様子も実感できました。
ところでこの八木新宮線は、国、そして奈良県や和歌山県等の地方自治体が路線の運営に補助金を支
出する路線となっています。
【国土交通省】
▲地域公共交通確保維持事業 (陸上交通:地域間幹線系統補助)の概要
(国土交通省Webサイト(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001633926.pdf)より引用)
【奈良県・和歌山県】
公共交通に係る補助事業/奈良県公式ホームページ
バスの維持・確保 | 和歌山県
国の地域間幹線系統補助制度によれば、1日3回、1回あたり5人以上の利用計画がないと補助対象とならないとのことで、最近になったこの補助制度の水準以下となり、路線の存続が厳しくなっているニュースも聞こえてきたりしています。
(参考)
根室―釧路の都市間バス存続困難 10月以降、国の補助外れる見通し:北海道新聞デジタル
特急ねむろ号 存続危機 利用減、国の補助対象外に【根室】 – 釧路新聞電子版
乗客減と補助打ち切りで廃止危機!くしろバス・特急ねむろ号に乗車(宙船) - エキスパート - Yahoo!ニュース
三重交通の「松阪熊野線」が廃止決定だと!? 補助金の対象にすらならないってマジ? - 自動車情報誌「ベストカー」
この八木新宮線に関しても、かつて路線の廃止が問題となったことがありましたが、その後新たな補助金制度の元で現在に至るまで運行が続けられています。
(参考)
また車両についても、2015年にノンステップバス車両に置き換えられました。
以前は観光バスタイプの座席が設置された車両で、長時間の乗車にゆとりのある座席となっていたのが特徴でした。
一方、ステップがあることで、特にお年寄りや障害者にとっては、乗降が厳しいという面もありました。
ノンステップバスに置き換えの際には、こういった路線の特殊性から、座席は背もたれの高いタイプを採用し、ドリンクホルダーを設けるなど、長時間の乗車が苦痛とならない仕様の車両が導入されました。
実際に乗車しても、ノンステップバスであることは、車両から乗り降りする時以外には感じることがなく、少なくとも車両面で苦痛、ということはありませんでした。
▲八木新宮線用の車両の座席。
このように背もたれが高いほか、ドリンクホルダーと座席網ポケットが付いているのが特徴です。
現在のところ、減便・廃止の報道が聞こえてこないことから、引き続き現在の1日3往復の運行が維持されることと考えられますが、一方で上述のとおり、地域の公共交通を支えるために、補助金制度に支えられて運行されている路線であることも、事実であります。
バスファンの方々には有名な路線であり、全国的な注目度も高いのでありますが、一方でこのように地域輸送を支えているという実態もこの機会にご理解いただき、多くの人々による積極的な利用につなげていただければな、と思っています。
最後は少し堅い話となりましたが、ともあれ「一般路線バス」のスケールを凌駕してあまりあるこの八木新宮線、是非皆さんも乗車してみてはいかがでしょうか。
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