JR北海道では、本日(6月28日)、国土交通大臣に同社旅客運賃の上限変更認可申請を行ったことを発表しました。
運賃改定の申請について|JR北海道
運賃改定のお知らせ|お知らせ|JR北海道- Hokkaido Railway Company

概要は以下のとおりです。
【改定申請の理由】
・同社では今年3月15日に「事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令」を国土交通大臣より受領し、経営改善に向けた取組をより一層深度化及び加速化氏、地域と一体となった利用促進施策に取り組む所存。
・一方で、同社を取り巻く厳しい環境を踏まえると、現在の運賃・料金水準で輸送サービスを維持し、改善させることは難しい状況。
・よって、徹底した経費の削減などの最大限の経営努力を前提にし、物価高騰への対応、人材の確保、輸送サービスの維持・競争力の確保のため、関係者からの支援とともに、利用者からも費用の一部の負担をお願いするもの。

【申請内容】
・普通旅客運賃
平均6.6%の改定
・定期運賃
普通旅客運賃の改定相当分を反映させたうえで、割引率を見直し、平均18.9%の改定
・加算運賃(南千歳〜新千歳空港間)
変更なし
・料金
変更無し
ただし、グランクラス(A)料金は本改定と同時期に届出により料金引き上げを実施
(参考)


【実施予定日】
2025年4月1日

【主な区間の運賃改定額】
●札幌〜新千歳空港
普通運賃・・・1,150円⇒1,230円(+80円)

●札幌〜小樽
普通運賃・・・750円⇒800円(+50円)
通勤定期・・・24,170円⇒28,660円(+4,490円)
通学定期(大学)・・・11,790円⇒13,060円(+1,270円)
通学定期(高校)・・・10,710円⇒11,900円(+1,190円)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR北海道では、消費税率の引き上げを除くと、1996年1月に値上げをして以降、20年以上に渡り運賃の改定を行っていませんでしたが、2010年代に相次いだ輸送トラブルが発端となり、必要となる安全投資を行う原資を確保する必要があることから、2019年10月1日に全体で11.1%(消費税抜きで9.1%)の運賃改定を行いました。
(参考)


その値上げから間もなく5年になろうとしていますが、値上げ後に発生した新型コロナウイルス感染症とその後の輸送動向の変化や、物価高騰による設備投資・修繕費用の増加、そして少子高齢化や賃金上昇に伴う若年退職者の増加や人材確保競争の激化等、これまで以上に収益の悪化を招く要因が重なってきています。

今回、これらの状況から輸送サービスの維持確保の観点から、改めての値上げを実施することが発表されました。
消費税率引き上げ以外の改定は、JR北海道にとっては三度目となり、JRグループでは最多、ということになりますが、それだけ同社の厳しい、厳しすぎる状況が垣間見えるのではないかと思われます。


申請(値上げ)内容をみますと、今回は運賃(普通・定期)のみで、特急料金等は基本的に値上げしない方針とのことです(グランクラス(A)除く)。
ただ、その運賃を更にみますと、普通運賃の改定幅に加え、定期運賃の改定幅が大きくなっていることが分かります。
今回の値上げで、同時に定期券の割引率を引き下げ(値上げ)することで、定期券の値上げ率は更に高くなっています。
とはいえ、通勤定期の値上げ率に比べて、通学定期の値上げ率は抑制されたものとなっており、子育て世代への家計負担を一定程度考慮したものとなっている、とも評価できるでしょう。


5年というこれまでに比べると比較的短いスパンでの再度の値上げは、道内の家計にも勿論影響を与えない訳ではないのでしょうが、それ以上に物価高・利用者減で同社を取り巻く環境が他社以上に厳しくなっていることは、理解しておく必要はあるのではないか、とも思えます。



今回の改定では、特急料金は一部を除き改定しないこととなっています。
一方で、下記記事でご紹介したように、来年(2025年)3月には、石北線の特急「大雪」(旭川〜網走)の快速列車化が一部マスコミで報じられています。
(参考)


その後の報道では、「大雪」に加え「すずらん」(札幌〜室蘭)の快速化も報じられています。
これらを併せて、料金不要となる一方で運賃の値上げによって増収が見込まれ、そして特急用車両を使用しないことでコスト削減という、一連の収益向上が見えてくるのかも知れません。

もっとも、「快速化」は一部の列車に限られること、そして同社の輸送の大宗を占めるのが札幌都市圏であることから、上記の考えはミクロな視点に過ぎない、ともいえるでしょう。

ただ、運賃値上げのみならず、それ以外の手段も講じて収益性の抜本的な改善を図ろうとしていることは、併せて理解してきたいところかも知れません。

今後パブリックコメントが実施される流れと考えられますが、その意見も踏まえて、この運賃改定が申請どおり実施されるのかどうか、という点も改めて分析できれば、と感じたニュースでありました。

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▲手稲駅に到着する快速「エアポート」。
同社の設け頭の列車でありますが、札幌〜新千歳空港間では、普通運賃は1,150円から1,230円と80円(約7.0%)の値上げとなります。