JR東日本の山田線(盛岡〜宮古)では、例年10月から11月にかけて落葉等を原因とする空転により、列車が大幅に遅延しています。
そのため、通勤・通学の利用が多い区間の安定輸送を目的として、上米内〜川内間の列車を運休するなどの運転計画を発表しました。
山田線の安定輸送確保に向けた秋期運転計画について|JR東日本
概要は以下のとおりです。
詳細は、上記発表資料をご覧下さい。
JR山田線は、かつては盛岡から山間部を経由して宮古まで至り、それから海沿いに南下して釜石に至る路線でしたが、東日本大震災で被災した沿岸区間を三陸鉄道が継承した結果、現在は盛岡〜宮古間で引き続き運行されています。
この山田線は、山間部を走ることから毎年秋の紅葉の時期になると落葉が線路に多く落ちることから、これが車輪の空転の原因となり、遅延が多発しているとのことです。
遅延のデータは、上記発表資料でも記されており、酷い時には全列車合計で300分(6時間)以上の遅延時間となっています。
1列車当たりでみると、それこそ1時間以上遅延した列車も発生しているとみられ、盛岡・宮古の都市圏で通勤・通学で利用しようとしていた乗客が、大幅な遅延の影響を受けているものとも考えられます。
こういった事象に対して、今回JR東日本が発表した対策としては、空転が特に発生する上米内(かみよない)〜川内間を、秋の期間完全に運休する、というかなり大胆なものであります。
確かにこの区間は、定期列車が下り(宮古方面)4本・上り(盛岡方面)5本と列車本数が少ない上に、並行してして岩手県北バス「106特急・急行」が運行されています。
加えて今年度は実証実験としてJR山田線の乗車券類(一部駅除く)で106特急・急行バスを利用することが可能となっていることから、今回この実証実験も活用して、利用者の影響を最小限に食い止めて、運行の安定化を図ろうとしています。
元より、尋常でない遅延が空転で発生することを考えると、影響を小さくする方策は歓迎されるものであり、今回の山田線の運休も、それ自体はよく考えられたものと評することもできるでしょう。
一方で、この山田線で今回の運休区間を含む上米内〜宮古間では、2023年度の平均通過人員(輸送密度)は71名(1km1日あたり)と、鉄道として維持することが果たして妥当なのか、地域の交通の再構築に向けた議論が必要と考えられる水準となっています。
(参考)
路線別ご利用状況(2019〜2023年度)|JR東日本
このように、利用が僅少な路線である上に、今回のような1ヶ月に渡る運休を実施するとなると、その結果によっては、本線区の存廃議論にも繋がりかねないのかな、とも感じていますので、今回の運休のみならず、今後の本線区の動向にも注目しておく必要があるのかな、と感じたニュースでありました。
【鉄道コム関連記事】
●JR東、「空転対策」で山田線を終日運休 上米内〜川内間で32日間実施 - 鉄道コム
そのため、通勤・通学の利用が多い区間の安定輸送を目的として、上米内〜川内間の列車を運休するなどの運転計画を発表しました。
山田線の安定輸送確保に向けた秋期運転計画について|JR東日本
概要は以下のとおりです。
【実施期間】
2024年10月15日(火)〜11月15日(金)の計32日間
【実施内容】
・盛岡〜上米内間:
終日折り返し運転を実施
・上米内〜川内間:
終日運転休止(一部回送列車を運転)
・川内〜宮古間:
一部列車を運休し、朝・夕の時間帯を中心に川内〜宮古間または茂市〜宮古間で折り返し運転を実施。
【代行輸送・振替輸送】
・代行輸送は実施せず。
・岩手県北バスの「106特急・急行バス」並行区間において振替輸送を利用可能。
(参考)
山田線における利便性向上を目的とした実証実験の実施について |JR東日本
(振替輸送は、今回の運休とは関係なく、2024年4月1日〜2025年3月31日の期間で実施中)
詳細は、上記発表資料をご覧下さい。
JR山田線は、かつては盛岡から山間部を経由して宮古まで至り、それから海沿いに南下して釜石に至る路線でしたが、東日本大震災で被災した沿岸区間を三陸鉄道が継承した結果、現在は盛岡〜宮古間で引き続き運行されています。
この山田線は、山間部を走ることから毎年秋の紅葉の時期になると落葉が線路に多く落ちることから、これが車輪の空転の原因となり、遅延が多発しているとのことです。
遅延のデータは、上記発表資料でも記されており、酷い時には全列車合計で300分(6時間)以上の遅延時間となっています。
1列車当たりでみると、それこそ1時間以上遅延した列車も発生しているとみられ、盛岡・宮古の都市圏で通勤・通学で利用しようとしていた乗客が、大幅な遅延の影響を受けているものとも考えられます。
こういった事象に対して、今回JR東日本が発表した対策としては、空転が特に発生する上米内(かみよない)〜川内間を、秋の期間完全に運休する、というかなり大胆なものであります。
確かにこの区間は、定期列車が下り(宮古方面)4本・上り(盛岡方面)5本と列車本数が少ない上に、並行してして岩手県北バス「106特急・急行」が運行されています。
加えて今年度は実証実験としてJR山田線の乗車券類(一部駅除く)で106特急・急行バスを利用することが可能となっていることから、今回この実証実験も活用して、利用者の影響を最小限に食い止めて、運行の安定化を図ろうとしています。
元より、尋常でない遅延が空転で発生することを考えると、影響を小さくする方策は歓迎されるものであり、今回の山田線の運休も、それ自体はよく考えられたものと評することもできるでしょう。
一方で、この山田線で今回の運休区間を含む上米内〜宮古間では、2023年度の平均通過人員(輸送密度)は71名(1km1日あたり)と、鉄道として維持することが果たして妥当なのか、地域の交通の再構築に向けた議論が必要と考えられる水準となっています。
(参考)
路線別ご利用状況(2019〜2023年度)|JR東日本
このように、利用が僅少な路線である上に、今回のような1ヶ月に渡る運休を実施するとなると、その結果によっては、本線区の存廃議論にも繋がりかねないのかな、とも感じていますので、今回の運休のみならず、今後の本線区の動向にも注目しておく必要があるのかな、と感じたニュースでありました。
▲宮古駅に到着した山田線快速「リアス」。
盛岡〜宮古間を約2時間半かけて結びますが、並行して走る「106特急・急行バス」は1時間40分〜2時間15分で同区間を結んでおり、また本数も12往復(平日)と、山田線の約3倍の本数で運行しています。
▲上記の快速「リアス」車内から前方を撮影してみました。
このように木々に囲まれた区間も数多くある山田線。
秋になればこれらが落葉として線路に積もり、空転の原因となります。
相当な遅延が発生することもあるので、今回「運休」という思い切った手段が取られることとなりました。
【鉄道コム関連記事】
●JR東、「空転対策」で山田線を終日運休 上米内〜川内間で32日間実施 - 鉄道コム