JR北海道では、輸送密度200人以上2,000人未満の線区(以下「黄線区」といいます。)の事業の抜本的な改善方策を確実にとりまとめていくための実行計画を策定していますが、この度令和8年度(2024年度)末までの計画が発表されました。

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「黄線区」は釧網線(釧路・網走間)、石北線(旭川・網走間)など8線区が対象となっていますが、このうち気になる内容として今回取り上げたいのが「花咲線」(釧路・根室間)であります。

この花咲線では、先頃北海道新聞の報道で、日本最東端の駅である「東根室駅」を来春(2025年春)に廃止する方針で検討されていることが明らかになりました。
(参考)


この報道があってからの、今後の実行計画の発表でありますので、果たして東根室駅についてどのような記載がされているのか、確かめてみることにしました。

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上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/8senku/executionplan_02.pdf)より引用、赤枠は管理人による。

この計画の「第5章 具体的取組内容」中、「徹底したコスト削減」において、「ご利用の少ない駅見直し」とありますが、ここで「東根室駅など」と具体的な駅名として「東根室」が挙げられています。
「利用の少ない駅の見直し」そのものは、他の線区でも具体的な取組内容として記載されているものの、具体的な駅名が挙がっているのは、この東根室のみでした。

こういったことを考えると、この実行計画期間中の2026年度までの間の東根室駅廃止は現実性が高いものと考えられます。

この資料では、「花咲線アクションプラン実行委員会」による検証報告書も用意されていました。
この中で、調査・実証事業として、「落石駅〜根室駅バス実証運行」の結果もまとめられています。
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(上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/8senku/executionplan_02.pdf)より引用)

このバスの実証運行は、上記ブログ記事でもご紹介したように、落石、西和田の各駅近隣と、根室高校を経由して根室市立病院を結ぶ路線でありますが、特に朝の根室市内方面は、20名程度の利用があり、高校生はほぼ全てがバスに転移したとの結果であります。
一方で、帰りは部活等の関係があることもあってか、このバス以外にも他の交通手段にも分散しているとのことで、やはりこのバス実証運行の影響もあり、東根室駅の利用者数が減少した模様であります。

その結果もこの資料で明らかとなっており、東根室駅の乗車人員は、2019年〜2023年の5年平均で7.8人と、2018年〜2022年の5年平均10.8人から大きく減少しています。
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(上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/8senku/executionplan_02.pdf)より引用)

勿論、このデータからですと、東根室の他にも乗車人員の少ない駅は多いのですが、代替交通手段が確保できていることが、東根室駅が見直しとなる対象となった、といえそうです。


ともあれ、この実行計画に具体的に駅名が記載された以上、東根室駅の見直し方針は、JR北海道としても公式に明らかになった、といえるでしょう。
今後はその廃止時期が焦点となりそうですが、上述のとおり代替手段となるバス路線が既に機能していることから考えると、やはり来年春のダイヤ改正で廃止となる可能性が高そうな気もします。

例年12月に発表されているJRグループ春のダイヤ改正内容が徐々に明らかになるにつれ、この東根室駅の動向も明らかになるでしょうから、その際には改めてご紹介していきたいな、と思います。

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▲東根室駅の駅名標。
「日本最東端の駅」の標識もあり、旅行者にとっては感慨深いこの駅ですが、一方で利用は根室高校への高校生が主体となっています。
その高校生も新たに運行開始となった実証運行バスへの利用が進む中、駅としての役目を終えることとなりそうです。




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