当ブログでは、管理人が鉄道関係の書籍や雑誌を、自ら実際に購入して読んでみて、その感想などを記していますが、本日ご紹介する本はこちらです。
JR東日本 脱・鉄道の成長戦略 (KAWADE夢新書) [ 枝久保 達也 ]
国鉄の分割・民営化により生まれた、日本最大の鉄道事業者である「JR東日本」。
会社設立から35年以上を経て、これまでどのような道を歩み、そして今後どのような成長戦略を描いていくのか。
埼玉県出身で、東京地下鉄(東京メトロ)の広報、マーケティング・リサーチ業務を経て、現在は鉄道ジャーナリストとして執筆活動等を行う(本書著者紹介より)著者が記した一冊であります。
国鉄の分割・民営化で誕生したJR各社では、国鉄時代には制約が多かった関連事業をいかに増やしていくのか、という点が重要な経営課題であったかと思います。
そのために、ヒト・モノ・カネを投入して様々な新規事業を立ち上げてきましたが、上手くいくものもあればそうでないものもあったのは、様々な事例で我々も見聞きしたところ、といえます。
本書では、この関連事業の立ち上げから現在に至るまでの歩みを丁寧に記しています。
特に首都圏という人口が多い地域、そしてその中でも移動で人が集まる「駅」を拠点とした鉄道事業の関連でありますので、コンビニや駅ビル、ホテル、そしてカードといった、駅拠点の関連事業が今に至って柱となっていますが、その関連事業が育っていく過程を、資料や取材を通じて丹念に書き記している点では、貴重な記録になるのではないか、と感じました。
特徴を感じたのは、自前での関連事業育成でありまして、コンビニについては、当初は各社が独自ブランドで手がけつつも、現在は大手コンビニに転換した会社も多い中、JR東日本は「NEWDAYS」の店舗を今でも数多く運営していますし、クレジットカードについても、他社が既存クレジットカード各社との提携で手がけたのに対し、JR東日本では自らがクレジットカード業務を担っていたりと、いわゆる「内製」の事例が多いな、と感じました。
一方で、本書では地方路線の今後のありかたについては、あまりボリュームを割いておらず、現状までの動きをまとめているに留めていますが、「JR東日本」という巨大企業が、国鉄改革からリーマンショック、東日本大震災、そしてコロナ禍を経てどのように変化し、そしてどのような方向に向かおうとしているのかが分かる一冊といえるでしょう。
著者も最後に記しているように、民営化後の20年間については、社史が編纂されたり、初代、二代目社長などが回顧録を記していることから、歴史的資料が豊富な一方、その後についてはまとまったものがみあたりません。
タイトルの「脱・鉄道の成長戦略」は、そのまま鉄道以外の関連事業をいかに育てていくのか、という意味であることを考えると、本書はそういった歴史を体系的にまとめたものと、と評価できるのではないか、と感じましたので、是非お読みいただければと思います。
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JR東日本 脱・鉄道の成長戦略 (KAWADE夢新書) [ 枝久保 達也 ]
3冊目の著書『JR東日本 脱・鉄道の成長戦略』本日発売です。JR東日本発足からの37年を振り返りつつ、同社の進める「成長戦略」の今と未来を解説した一冊です。鉄道ファンにも鉄道経営に興味がある方にもおすすめです。https://t.co/LTKDB2YZ8A
— 小久保せまき@新著 『JR東日本 脱・鉄道の成長戦略』(KAWADE夢新書)発売中 (@semakixxx) August 26, 2024
国鉄の分割・民営化により生まれた、日本最大の鉄道事業者である「JR東日本」。
会社設立から35年以上を経て、これまでどのような道を歩み、そして今後どのような成長戦略を描いていくのか。
埼玉県出身で、東京地下鉄(東京メトロ)の広報、マーケティング・リサーチ業務を経て、現在は鉄道ジャーナリストとして執筆活動等を行う(本書著者紹介より)著者が記した一冊であります。
国鉄の分割・民営化で誕生したJR各社では、国鉄時代には制約が多かった関連事業をいかに増やしていくのか、という点が重要な経営課題であったかと思います。
そのために、ヒト・モノ・カネを投入して様々な新規事業を立ち上げてきましたが、上手くいくものもあればそうでないものもあったのは、様々な事例で我々も見聞きしたところ、といえます。
本書では、この関連事業の立ち上げから現在に至るまでの歩みを丁寧に記しています。
特に首都圏という人口が多い地域、そしてその中でも移動で人が集まる「駅」を拠点とした鉄道事業の関連でありますので、コンビニや駅ビル、ホテル、そしてカードといった、駅拠点の関連事業が今に至って柱となっていますが、その関連事業が育っていく過程を、資料や取材を通じて丹念に書き記している点では、貴重な記録になるのではないか、と感じました。
特徴を感じたのは、自前での関連事業育成でありまして、コンビニについては、当初は各社が独自ブランドで手がけつつも、現在は大手コンビニに転換した会社も多い中、JR東日本は「NEWDAYS」の店舗を今でも数多く運営していますし、クレジットカードについても、他社が既存クレジットカード各社との提携で手がけたのに対し、JR東日本では自らがクレジットカード業務を担っていたりと、いわゆる「内製」の事例が多いな、と感じました。
一方で、本書では地方路線の今後のありかたについては、あまりボリュームを割いておらず、現状までの動きをまとめているに留めていますが、「JR東日本」という巨大企業が、国鉄改革からリーマンショック、東日本大震災、そしてコロナ禍を経てどのように変化し、そしてどのような方向に向かおうとしているのかが分かる一冊といえるでしょう。
著者も最後に記しているように、民営化後の20年間については、社史が編纂されたり、初代、二代目社長などが回顧録を記していることから、歴史的資料が豊富な一方、その後についてはまとまったものがみあたりません。
タイトルの「脱・鉄道の成長戦略」は、そのまま鉄道以外の関連事業をいかに育てていくのか、という意味であることを考えると、本書はそういった歴史を体系的にまとめたものと、と評価できるのではないか、と感じましたので、是非お読みいただければと思います。
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