JR西日本では、福知山線の特急「こうのとり」で、列車出発時刻後でも特急券を購入できるチケットレスサービスを5月15日から実施しています。
(参考)
阪和線の沿線から : 【JR西日本】特急「こうのとり」で「乗った後でも買える」チケットレスサービス開始(2024.5.15〜)
この「乗った後でも買える」チケットレスサービス、当初は9月末までの予定でしたが、来年3月末まで延長されることが、先頃発表されました。
(参考)
特急こうのとり号「乗った後でも買える」 チケットレスサービスご好評につき期間を延長します:JR西日本
このサービス、乗ってしまった後でも予約操作が可能で、割安なチケットレス料金を利用できることから、正直「くろしお」や「はるか」でも実施してもらえると、阪和線ユーザーとしても有り難いわけですが、現在のところそのような予定はありません。
そう考えると現在のところ、「こうのとり」に特化したテコ入れ策と考えられますが、それならば、「こうのとり」の利用状況は実際のところ、深刻なものなのか?、という疑問がふと浮かびました。
そんな中、丁度先日、JR西日本の利用者数等のデータを掲載した「データで見るJR西日本2024」が同社より発表されました。
データで見るJR西日本:JR西日本
ここで発表されているデータの中に、「主要線区の特急・急行乗車人員の推移」というデータがあり、JR西日本発足の1987年から直近に至るまでの主要線区の特急列車等の乗車人員が折れ線グラフで掲載されています。
これらのデータを元に、実際「こうのとり」は他の特急列車に比べて利用者が極端に落ち込んでいるのかを、1987年度(JR西日本発足当初)、2019年度(コロナ禍前)、2023年度(直近)の利用状況で比較してみました。
ご覧のとおり、コロナ前の2019年度と比較すると、きのくに線(「くろしお」)、山陰線(「きのさき」等)が8割以上となっているのに対し、福知山線(「こうのとり」)は7割程度と回復の遅さが目に付きます。
しかも比較している区間をみると、例えば「くろしお」の和歌山〜箕島間に対し、「こうのとり」は大阪〜三田(さんだ)間と、最も利用者が多いと考えられる区間、そして人口減少の影響が他線区ほど大きくないと考えられる区間で比較してこの結果でありますので、「コロナ前7割」という数値以上に実態は深刻なのかも知れません。
「こうのとり」の沿線には、宝塚市や三田市、丹波篠山市といった都市が所在し、これら沿線からの着席利用のニーズも高いものと思われますが、それであってもなぜ、このような回復の遅さとなっているのか。
ヒントとなりそうなものの一つとして思いついたのが、大阪〜三田の高速バスであります。
(参考)
6年で本数“53倍”!? 高速バスで爆速成長した「新たな幹線」とは きっかけは新名神 運用効率が良すぎる!? | 乗りものニュース
この記事で紹介されている大阪〜三田線のバスは、上記記事によりますと、新名神高速道路の開通に伴い、中国自動車道の渋滞緩和が見込まれるとして、2018年に開業し、その後本数が激増し、現在は53往復(運行開始時は1往復)と、急成長を遂げた路線とのことです。
(参考)
神姫バス 三田からの特急 急行 快速バス情報|伊丹空港・新大阪・大阪
この神姫バス路線は、ゆりのき台、フラワータウン、そして関西(かんせい)学院大学(神戸三田キャンパス)を発着地としており、三田駅に乗り入れているわけではないため、直接「こうのとり」と競合しているわけではありません。
しかし、三田駅周辺と同様に人口の多いニュータウンを縫った後、中国自動車道を経由して大阪市内へ直行する路線でありますし、この路線が大増発した結果、従来「こうのとり」を利用していた利用者がこちらの高速バスに移行していたとしても、何ら不思議な話ではなさそうです。
そう考えると、「こうのとり」については、今後も利用者数の好転はなかなか見込めないと考えられ、引き続きテコ入れ施策の実施が続くものと考えられそうです。
今後どのような施策が実施されるかは分かりませんが、素人の私の思いつきで恐縮ですが、例えば、現在朝夕に限定している「西宮名塩(にしのみやなじお)」の停車列車を拡大して、高速バスと競合しないエリアの利用者確保などが考えられそうです。
一方、「こうのとり」の利用者回復が更に見込めないとなれば、223系・225系「丹波路快速」への「うれしート」導入とセットで「こうのとり」減便が実施されるというのも、あり得ない話ではないような気がします。
ともあれ、最近少なからず目につく「こうのとり」関係キャンペーンが気になっていたので、ちょっと調べてみたところ、色々と考えさせられる結果となりました。
勿論、大阪から福知山・城崎温泉方面への観光利用等は引き続き担っていくわけですが、利用状況次第では大きな変更が考えられそうだ、とも感じた次第です。
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(参考)
阪和線の沿線から : 【JR西日本】特急「こうのとり」で「乗った後でも買える」チケットレスサービス開始(2024.5.15〜)
この「乗った後でも買える」チケットレスサービス、当初は9月末までの予定でしたが、来年3月末まで延長されることが、先頃発表されました。
(参考)
特急こうのとり号「乗った後でも買える」 チケットレスサービスご好評につき期間を延長します:JR西日本
このサービス、乗ってしまった後でも予約操作が可能で、割安なチケットレス料金を利用できることから、正直「くろしお」や「はるか」でも実施してもらえると、阪和線ユーザーとしても有り難いわけですが、現在のところそのような予定はありません。
そう考えると現在のところ、「こうのとり」に特化したテコ入れ策と考えられますが、それならば、「こうのとり」の利用状況は実際のところ、深刻なものなのか?、という疑問がふと浮かびました。
そんな中、丁度先日、JR西日本の利用者数等のデータを掲載した「データで見るJR西日本2024」が同社より発表されました。
データで見るJR西日本:JR西日本
ここで発表されているデータの中に、「主要線区の特急・急行乗車人員の推移」というデータがあり、JR西日本発足の1987年から直近に至るまでの主要線区の特急列車等の乗車人員が折れ線グラフで掲載されています。
▲主要線区の特急・急行乗車人員の推移(引用:データで見るJR西日本2024)
これらのデータを元に、実際「こうのとり」は他の特急列車に比べて利用者が極端に落ち込んでいるのかを、1987年度(JR西日本発足当初)、2019年度(コロナ禍前)、2023年度(直近)の利用状況で比較してみました。
ご覧のとおり、コロナ前の2019年度と比較すると、きのくに線(「くろしお」)、山陰線(「きのさき」等)が8割以上となっているのに対し、福知山線(「こうのとり」)は7割程度と回復の遅さが目に付きます。
(2024.9.29追記)
記事アップ時のデータのうち、「やくも」に間違いがありましたので修正しています。
しかも比較している区間をみると、例えば「くろしお」の和歌山〜箕島間に対し、「こうのとり」は大阪〜三田(さんだ)間と、最も利用者が多いと考えられる区間、そして人口減少の影響が他線区ほど大きくないと考えられる区間で比較してこの結果でありますので、「コロナ前7割」という数値以上に実態は深刻なのかも知れません。
(参考)
他の比較対象として「やくも」も挙げてみましたが、こちらも2019年度比で8割超と利用が回復していることに加え、民営化直後の1987年度との比較でみると、7割弱とこれら4線区では最も高い水準となっています。
つまり「やくも」は、これらの列車の中ではこの35年間で最も利用者を維持しているわけで、新型車両「273系」が導入されたのも、ある意味納得できる時系列比較といえるでしょう。
「こうのとり」の沿線には、宝塚市や三田市、丹波篠山市といった都市が所在し、これら沿線からの着席利用のニーズも高いものと思われますが、それであってもなぜ、このような回復の遅さとなっているのか。
ヒントとなりそうなものの一つとして思いついたのが、大阪〜三田の高速バスであります。
(参考)
6年で本数“53倍”!? 高速バスで爆速成長した「新たな幹線」とは きっかけは新名神 運用効率が良すぎる!? | 乗りものニュース
この記事で紹介されている大阪〜三田線のバスは、上記記事によりますと、新名神高速道路の開通に伴い、中国自動車道の渋滞緩和が見込まれるとして、2018年に開業し、その後本数が激増し、現在は53往復(運行開始時は1往復)と、急成長を遂げた路線とのことです。
(参考)
神姫バス 三田からの特急 急行 快速バス情報|伊丹空港・新大阪・大阪
この神姫バス路線は、ゆりのき台、フラワータウン、そして関西(かんせい)学院大学(神戸三田キャンパス)を発着地としており、三田駅に乗り入れているわけではないため、直接「こうのとり」と競合しているわけではありません。
しかし、三田駅周辺と同様に人口の多いニュータウンを縫った後、中国自動車道を経由して大阪市内へ直行する路線でありますし、この路線が大増発した結果、従来「こうのとり」を利用していた利用者がこちらの高速バスに移行していたとしても、何ら不思議な話ではなさそうです。
そう考えると、「こうのとり」については、今後も利用者数の好転はなかなか見込めないと考えられ、引き続きテコ入れ施策の実施が続くものと考えられそうです。
今後どのような施策が実施されるかは分かりませんが、素人の私の思いつきで恐縮ですが、例えば、現在朝夕に限定している「西宮名塩(にしのみやなじお)」の停車列車を拡大して、高速バスと競合しないエリアの利用者確保などが考えられそうです。
一方、「こうのとり」の利用者回復が更に見込めないとなれば、223系・225系「丹波路快速」への「うれしート」導入とセットで「こうのとり」減便が実施されるというのも、あり得ない話ではないような気がします。
ともあれ、最近少なからず目につく「こうのとり」関係キャンペーンが気になっていたので、ちょっと調べてみたところ、色々と考えさせられる結果となりました。
勿論、大阪から福知山・城崎温泉方面への観光利用等は引き続き担っていくわけですが、利用状況次第では大きな変更が考えられそうだ、とも感じた次第です。
▲新大阪駅に停車中の特急「こうのとり」289系。
大阪と三田、丹波篠山、福知山、豊岡、城崎温泉を結ぶ特急列車で、前身の「北近畿」以来、福知山線の主力特急列車として活躍してきました。
しかし近年は、高速バスとの競合も増える中、乗客確保のための利用促進策が展開されていますが、今後の運行形態がどのようになっていくのか、気になるところであります。
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