当ブログでは、個人的に気になる鉄道関係の書籍・雑誌を実際に購入し、その感想などをご紹介しています。
今回ご紹介する雑誌はこちらです。
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鉄道ジャーナル 2024年 12月号 [雑誌]
鉄道ジャーナル 2024年 12月号 [雑誌]

鉄道ジャーナル2024年12月号、特集は「地域鉄道の希望」です。
昨年10月に改正施行された「地域公共交通活性化法」において、ローカル鉄道の再構築において、鉄道事業者や自治体の要請を受けて国が「再構築協議会」を設け、この再構築協議会で、鉄道輸送の維持・高度化か、バス等への転換のいずれかによる利便性・持続可能性の向上を図るための方策を協議して「再構築方針」を作成する、という制度が構築されました。
この「再構築協議会」の制度ですが、改正法施行直後の昨年10月3日に、芸備線・備中神代〜備後庄原間に関する再構築協議会設置を、JR西日本が早速要請しました。
(参考)


このように、コロナ禍で露呈した「JR各社による内部補助の限界」を端に発した地方鉄道の存廃問題で揺れている線区も多い中、今回の「鉄道ジャーナル」では、いま渦中の「JR芸備線」だけでなく、今年4月に上下分離を果たして「近江鉄道」のケースをライターが実際に現地で取材したほか、国鉄時代からのJRにかけてのローカル線廃止の経緯をまとめており、地方鉄道のいま、そして今後を勉強する上では非常に参考となる特集となっています。

現地レポートのうち、「木次線・芸備線の寂しすぎる令和の今」(土屋武之著)では、上述の芸備線(備後落合〜新見)に加え、こちらも利用者が僅少となる区間も揺する木次線の両線を、実乗とともに沿線自治体等へのヒアリングも踏まえた、現地レポートとなっています。

もう一つの「近江鉄道と沿線の覚悟を知る」(鶴通孝著)では、今年4月に上下分離による再構築を実施した近江鉄道の、こちらも実乗+関係者ヒアリングのレポートとなっています。
特に近江鉄道の「下」の部分を担うこととなる一般社団法人「近江鉄道管理機構」について、その成立経緯から役割分担、そして今後の改善方針について、丁寧な取材を元にした分かりやすい解説記事となっています(P22〜P23)ので、こちらも一読の価値あり、といえるでしょう。

一読の価値あり、と言う点では「特定地方交通線廃止から41年 また始まる?「廃止」の時代」(岩成政和著)もお薦めで、こちらは国鉄時代から民営化後にかけての路線廃止についての概観で、「赤字83線」「特定地方交通線」、そしてその後2010年代に至るまでの廃線の状況を整理し、そして昨年改正された「地域公共交通活性化法」の改正内容とそれによる今後の方向についてまとめられています。
既に「赤字83線」だけでなく「特定地方交通線」の廃止というのも知らない世代も増えてきていると思いますので、この特集で知識をアップデートすることは、路線の面にしろ車両の面にしろ、これからの地域鉄道を見ていく上では非常に重要なことと思います。

以上のように、地域公共交通活性化法改正後の地域鉄道を見る上では、色々と勉強になる今回の特集ですので、「乗り鉄」にしろ「撮り鉄」にしろ、どんな「鉄」にしろ、今回は是非購入していただければと思っています。



ところで、「鉄道ジャーナル」は月刊誌ですので、当然次号の予告が載っているわけですが、こちらを見ると、少し心配を抱いたのは私だけでしょうか。
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(鉄道ジャーナル2024年12月号 P130より引用)

次号の特集は「北海道の鉄道未来図」となっています。
こちらも地域鉄道の存廃に揺れている北海道ですので、今号同様、読みごたえのある記事を期待したいところです。
ただ一方で、鉄道ジャーナルの北海道関係記事では、下記記事でご紹介した2024年7月号「根室本線部分廃止によるネットワーク分断の問題点」(櫛田泉著)について、記事自体の疑問だけでなく、素人から見ても疑問の多いこの記事を採用した鉄道ジャーナル編集部に対する疑問も記したところです。
(参考)


次号の「北海道の鉄道未来図」内の特集記事に、この2024年7月号のような疑問だらけの記事が掲載されず、読者にとってためになる特集記事となることを願いたいところであります。



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