本日、JR西日本より輸送密度2,000人/日未満の線区別の経営状況に関する情報が開示されました。
輸送密度2,000人/日未満の線区別経営状況に関する情報開示:JR西日本

これは、ローカル線の地域沿線関係者と各線区の実態や課題を共有することを目的に開示しているもので、輸送密度2,000人/日未満の線区について、一定の前提をおいた算出のもとで、線区別の収支率や営業係数を発表しているものです。

これらの線区のうち、営業係数(100円の収入を得るためにかかる費用)はが最も高いのは、芸備線・東城〜備後落合間の11,766(100円の収入を得るのに11,766円の費用が必要。即ち収入に対し約118倍の費用を要する)で、以下、姫新線・中国勝山〜新見間(営業係数4,042)、木次線・出雲横田〜備後落合(3,424)が続いています。

この表のデータから、「1kmあたりの営業費用が高いところはどこなのか?」と気になったので、管理人自身で計算してみたところ、下記のとおりとなりました。
1kmあたり営業費用
(データ出典元:JR西日本発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/241029_press_senkubetsukeieizyoukyou.pdf

上記のとおりで、1kmあたりの営業費用が高い線区は、「紀勢線・新宮〜白浜」の3,592万円で、以下「関西線・亀山〜加茂」(3,000万円)、「芸備線・三次〜下深川」(2,930万円)、「山陰線・出雲市〜益田間」(2,895万円)と続きます。

1km当たり費用が高い線区をみますと、「特急列車が走っている」「平均通過人員も比較的多め」な線区が主体で、比例して収入も多いようで、営業係数も3桁台となっています。
卵が先か、鶏が先かの話ですが、利用者が多いから列車の本数が多く、それに応じて営業費用もかかっている、というところでしょうか。

ただ、一概にそういうわけでもなく、山陰線・城崎温泉〜浜坂間では、1kmあたり営業費用が5番目に高い2,581万円に対し、平均通過人員574名と直近の線区より低めであったり、一方で平均通過人員が4桁台の「播但線・寺前〜和田山」や「岩徳線・岩国〜櫛ヶ浜」の1kmあたり営業費用は抑えられていたりと、必ずしも比例関係ではないことは確かであります。

ともあれ、今回も線区別の営業係数及び収支率を主体に発表されており、どの線区も相変わらず厳しい状況であることは確かなわけですが、まずは利用者数の維持・増加に対してJR及び沿線自治体がどのように取り組んでいくのか、引き続き注目したいと思います。


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▲紀勢線・周参見〜紀伊日置を走る特急「くろしお」287系。
同区間を含む新宮〜白浜間の営業係数は703で、収入の7倍程度の費用がかかっているとのことでした。




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