JR西日本では、特急「こうのとり」の利便性向上を目的とした実証実験として、利用期間内に設定区間の特急「こうのとり」普通車指定席を何度も利用できる「こうのとりサブスクパス」を発売することを発表しました。

特急「こうのとり」利便性向上を目的とした実証実験「こうのとりサブスクパス」の発売について:JR西日本

概要は以下のとおりです。

【発売期間】
2024年11月18日(月)〜2025年2月28日(金)
※発売日毎に枚数限定発売。

【利用期間】
購入日から30日間
利用制限期間:2024年12月28日(土)〜2025年1月6日(月)

【設定区間・価格】
・新三田・三田〜大阪・新大阪:
6,500円
(参考:J-WESTチケットレス・・・650円)
・篠山口〜大阪・新大阪:
7,500円
(参考:J-WESTチケットレス・・・750円)

(※)利用には別途乗車券が必要

詳細は、上記発表資料をご覧ください。



少し前に記した下記記事で、特急「こうのとり」に「乗った後でも買える」チケットレスサービスが導入された背景について分析してみました。
(参考)


ここでは、コロナ禍後の利用者数の戻りが、「くろしお」「やくも」「きのさき」に比べて「こうのとり」が悪いこと、そしてその背景として大阪〜三田(さんだ)市内の高速バスが大増発された結果、「こうのとり」の利用者が流出していることが考えられるといった点を分析してみました。

そして、今後の方向性として、引き続き利用者増加のテコ入れが続くものと分析してみましたが、果たして次なる利用促進策が発表されました。

「サブスク」(サブスクリプション・定額制)と銘打たれたこの商品、要は「こうのとり定期券」のようなものといいましょうか、一ヶ月(30日間)の間、好きなだけ「こうのとり」を利用することができる商品となっています。

かつては「こうのとり」向けにも発売していた特急定期券「パスカル」の再来、とも思えますが、他の「くろしお」「きのさき」等で実施しないところを見ると、やはりこれも、他の特急に比べると落ち込みが激しい「こうのとり」のテコ入れ策、と考えるのが妥当といえるでしょう。


しかも価格が、J-WESTチケットレス料金の10回分となっていることも併せ持って考えると、相当破格であるといえます。

例えば週休二日制の通勤利用の場合、月20日で「こうのとり」を往復利用すれば40回程度の利用になりますが、これが10回分の料金で利用できるわけですから、相当にお得な商品といえます。
(参考)
上述の「パスカル」の場合、1ヶ月用の場合で30回程度の自由席特急料金(※)が上乗せされていますので、このことから考えても「こうのとりサブスクパス」の破格さが分かります。
(※)例えば50kmまでの場合、自由席特急料金が760円に対し、パスカル特急料金相当額は23,070円のため、23,070÷760≒30.4回分の料金が上乗せされています。
特急用定期券パスカルのおねだん:JRおでかけネット


このように、通勤・通学利用者にとっては破格この上ない「こうのとりサブスクパス」。
このようなおトク過ぎる施策を講じてもなお、利用者の回復が見られなければ、それこそ「こうのとり」減便が現実味を帯びてくるのかも知れません。

逆にいえば、「こうのとり」で効果が出れば、同じく利用促進が課題の「らくラクやまと」にも展開されていくのかも知れません。

ともあれ、カニのラッピングで話題になる一方、利用状況では課題の「こうのとり」。
今回の「サブスクパス」が利用回復の足がかりになるかどうか、引き続きチェックしていきたいと思います。

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▲新大阪駅に到着した特急「こうのとり」289系。
先に記した記事のとおり、他の在来線特急に比べてコロナ後の利用状況が低い「こうのとり」。
「乗った後でも買えるチケットレス」に続き、破格の「サブクスパス」の発売と、ここにきてテコ入れ策が続きますが、奏効するか否か、注目したいところです。




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