JR西日本では、これまで京都市と連携して京都駅の混雑緩和や、市内へのアクセスに山科駅の活用を促す情報発信を行ってきましたが、この度山科駅を京の東の玄関口として改良工事に着手し、完成後は特急「はるか」を山科駅まで延伸することを発表しました。

京の東の玄関口 山科駅改良について 〜特急「はるか」の山科駅延伸により京都市内アクセスがより便利に〜 :JR西日本

概要は以下のとおりです。

【整備概要】
・山科駅北側に12両対応のホームを1面新設
・特急「はるか」が山科駅で停車・折り返し可能となるように配線を変更

【供用開始時期】
・2025年度に工事着手、2029年度の供用開始を目指す。
・供用開始にあわせて、京都駅発着の特急「はるか」を山科駅に延伸

【山科駅活用の取り組み内容】
2024112421-43-352
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/241122_00_press_yamashinaeki_2.pdf)より引用)

【山科駅改良工事概要】
2024112421-43-413
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/241122_00_press_yamashinaeki_2.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR西日本の関西空港アクセス特急「はるか」は、京都と関西空港を結ぶこともあり、訪日外国人旅行者の利用が非常に多い列車となっています。
現在、一部を除くほとんどの列車が京都駅で折り返していますが、一方でこの京都駅は、JR西日本の各線のみならず東海道新幹線、近鉄、地下鉄、そして市バスと多数の公共交通機関が集中することもあり、特にシーズン時には大混雑が恒常化しています。

そのために、京都駅に集中する観光客を分散させるための一つの方法として、京都駅の東方にある山科(やましな)駅を活用する取り組みを実施してきました。
今回、その取り組みを更に強化すべく、山科駅の改良工事を実施し、現在京都発着となっている特急「はるか」を、山科駅まで運行することが発表されました。

山科駅で地下鉄東西線に乗り換えることにより、東山エリアや京都市内中心部へスムーズにアクセスすることが可能となりますが、海外から関空に降り立ち、京都に来る際にまず乗車する「はるか」が、山科駅まで直通することは、訪日外国人に対する強いアピールになるのではないか、と感じました。

同時に、現在京都発着となっている「はるか」が山科発着となることにより、現在の「はるか」ホームである30番線を嵯峨野線の列車が利用可能となることから、こちらもまた訪日外国人旅行者で混雑が激しい嵯峨野線の混雑緩和にも貢献することから、言わば「一挙両得」な施策であり、その完成が楽しみです。


なお、関西空港〜京都間(99.8km)が関西空港〜山科間(105.3km)と延びることにより、運賃・料金が大幅に上がることをもって、この「はるか」山科駅延伸をJR西日本の値上げ策と捉える向きもあるようです。
実は下記記事でご紹介しているように、2025年4月よりJR西日本の京阪神都市圏の運賃見直しが実施され、関西空港線及び京都〜山科間が「電車特定区間」に組み込まれることにより、運賃部分については、山科まで乗車した際は現在よりも負担が軽減される見込みとなっています。
(参考)


一方で、特急料金は、101km以上で割と大きく上がることから、利用者の負担的に見ると、距離区分の違いとはいえ、ある程度の負担増にならないわけでは無さそうです。

具体的に見ますと、
・運賃
(現行)関空〜京都:1,910円、関空〜山科:2,200円(+290円)
⇒(改定)関空〜京都:1,860円、関空〜山科:2,100円(+240円)

・特急料金
(現行)関空〜京都:1,730円、関空〜山科:2,390円(+660円)


となり、運賃はともかく特急料金は急に上がるという印象から、山科延長後も引き続き京都駅までの利用となる可能性も決して低くありませんので、混雑緩和のために山科駅へシフトさせるのであれば、料金面での誘導策も求められてくるのかも知れません。

ともあれ、実際「はるか」が山科駅折り返しとなるのは、2029年度と、あと5年程度先の話ですので、今後の工事計画の動向も逐次ご紹介していきたいと思います。

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▲京都駅30番のりばで発車を待つ「はるか」。
2029年度に山科駅まで延長されることとなると、このような光景も同駅で見られなくなることも予想されますが、それが果たしてどのような形で実現していくのか、引き続き追いかけていきたいと思います。




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