京阪電鉄では、2025年10月の実施に向け、1995年以来30年ぶりとなる京阪線・大津線の旅客運賃改定(値上げ)の申請(上限変更認可申請)を行ったことを発表しました。

1995年以来30年ぶりの京阪線・大津線旅客運賃の改定に向けた申請を行いました|京阪電鉄

概要は以下のとおりです。

【改定予定時期】
2025年10月

【改定率】
15.8%(鉄道駅バリアフリー料金加算後運賃からは12.4%〜

【初乗り運賃】
京阪線180円(現行160円(鉄道駅バリアフリー料金加算後運賃170円))
大津線200円(現行170円)

【その他】
・京阪線普通運賃は、7kmまでの区間の改定率を抑制
通学定期は、家計負担に配慮して改定率を通勤定期改定率の半分に抑制
(通勤17.5%に対し通学8.8%)
・2023年4月より京阪線で加算している「鉄道駅バリアフリー料金」は、運賃改定実施に併せて廃止
・鋼索線運賃、中之島線・鴨東線加算運賃、プレミアムカー・ライナー料金は変更せず

【主な区間の運賃改定状況】(管理人試算)
・淀屋橋〜出町柳
(現行)490円(BF料金・加算運賃込み)⇒(改定後)560円(加算運賃込み)

・淀屋橋〜枚方市
(現行)340円(BF料金込み)⇒(改定後)400円

(※)「BF料金」:鉄道駅バリアフリー料金


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



人口減少やコロナ禍後の生活様式の変化による利用者減少、一方で少子高齢化による労働力不足、物価高騰による経費増加など、鉄道事業を取り巻く環境が厳しく、必要な投資の原資の確保が困難となりつつあるなか、鉄道事業者各社ではこれまで比較的抑制されてきた運賃改定(値上げ)を実施していく流れが出てきており、既に関西大手民鉄でも、近畿日本鉄道や南海電鉄が運賃値上げを実施しています。
(参考)



これらに加えて、この度京阪電鉄でも運賃改定(値上げ)を行うべく申請を行ったことが発表されました。
発表資料の表題で「30年ぶりの運賃改定」と謳うあたり、これまで運賃改定を長期間にわたり抑制してきたことが感じ取れます。

値上げの理由として同社では、「輸送人員の減少」「自然災害、カーボンニュートラル等の社会課題への対応」「物価高騰の経費増加、人材確保に向けた待遇・職場改善への対応」を挙げています。

この値上げによる原資により、これらの課題に対応し、安全安心・安定した持続的な鉄道事業運営を目指すこととしており、今後の取り組みも同時に記されています。

鉄道ファン的にも気になる取り組みを一部ご紹介しますと、下記のあたりになるでしょうか。

【13000系車両の導入】
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(上記発表資料(https://www.keihan.co.jp/corporate/info/release/assets/241203_keihan-railway.pdf)より引用、赤枠は管理人が追記。)

既に導入が進んでいる「13000系」を更に67両導入し、製造から50年超の車両を置き換えていくこととしています。

上記発表資料にある2200系等、長年京阪で親しまれてきた車両も、これを期に一気に置き換えられるのではないか、と思われます。

【3000系プレミアムカー増結】
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(上記発表資料(https://www.keihan.co.jp/corporate/info/release/assets/241203_keihan-railway.pdf)より引用、赤枠は管理人が追記。)

3000系・8000系に連結されている「プレミアムカー」。
2017年8月に運行開始した「プレミアムカー」。
京橋駅での着席ニーズに対応することも狙いの一つとして導入されたこのプレミアムカー、京阪電鉄の代表的なサービスとしてすっかり定着した感があります。

このプレミアムカーを更に増強すべく、3000系のプレミアムカーを2両に増結することとしています。
実施時期は2025年秋となっています。

これに伴い、現在の3000系から入れ替えられる車両の動向も気になりますが、これまでの経緯を見ますと、恐らく上記の13000系に組み込まれるのではないか、とも考えられます。
引き続き、車両の動きに注目が集まりそうです。

【京阪本線・中之島線でのワンマン運転実施】
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(上記発表資料(https://www.keihan.co.jp/corporate/info/release/assets/241203_keihan-railway.pdf)より引用、赤枠は管理人が追記。)

既に交野線、宇治線といった支線系統で実施しているワンマン運転ですが、来年秋にも京阪本線や中之島線での実施が検討されています。

果たしてワンマン運転の実施が、どの区間で、どの種別で実施されるのかが気になるところであります。
上述のとおり老朽化の進んだ車両の置き換えも必要で、一方で来年秋にワンマン運転を行うとなると、一部区間の一部列車でワンマン運転の実施という、割とややこしいことにもなりそうですが、果たしてどのような対応となるのか、気になるところです。


これらの今後の取り組みを併せもって見ると、運賃改定を予定している2025年秋に、同時にダイヤ改正が実施されるのではないか、と推察されます。

改正内容の根幹は、上述のとおり「プレミアムカー増結」「京阪本線等ワンマン運転開始」でしょうが、コロナ禍後の利用者の回復により、京阪本線では混雑が表面化しているケースもあることから、これらへの対応も一定程度行われることも、値上げによる利用者の納得感を得るためには、必要な取り組みになってくるかも知れません


色々ととりとめも無く記しましたが、ともあれ来年秋に大きな動きが予想されるのは間違い無さそうなので、今後の続報にも引き続き注目してきたいと思います。

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▲京阪電鉄13000系。
画像のトップナンバーの編成は2012年に導入され、交野線や宇治線を中心に運行されています。
2025年秋には京阪本線等でのワンマン運転も実施が検討されており、本系式がワンマン運転の対象になることも想像に難くありません。