鉄道雑誌のひとつ、「鉄道ジャーナル」が、今年4月発売の6月号をもって休刊となることが、各種報道及びSNSで明らかになりました。
鉄道ジャーナル休刊へ 58年の歴史に幕「好きだったな」「やはり…」|まいどなニュース
これまでに明らかになったところによれば、明日(1月21日)発売の3月号の誌上に、上述休刊のお知らせが記されているとのことであります。
また、上記「まいどなニュース」の取材によれば、休刊理由は「現状を取り巻く出版状況の厳しさも一因」と説明したとのことです。
毎月発行されている鉄道雑誌としては、今回休刊が発表された「鉄道ジャーナル」(鉄道ジャーナル社)の他、「鉄道ファン」(交友社)、「鉄道ピクトリアル」(電気車研究会)、「鉄道ダイヤ情報」(交通新聞社)が思いつくところです。
このうち、「鉄道ジャーナル」は、他誌が鉄道車両等を中心に取り上げているところ、同誌は「鉄道の将来を考える専門情報誌」と標榜しており、個人的には「輸送サービス」としての観点で鉄道に向き合っている、と捉えていました。
そのため同誌では、過去に長距離列車等に同乗して取材する「列車追跡」といった、今でも読み応えのある特集シリーズが組まれたのは、一定以上の年齢のファンでご存じの方も多いのではないのでしょうか。
また上述の「輸送サービスの観点から向き合う」というところは、バスや海外の鉄道についても継続的に取り上げてきたことからも垣間見え、それが幅広い読者の開拓、そして読者の「輸送サービス」への視点を広げる役割を果たしてきた、ともいえるのではないのでしょうか。
個人的には、こういった「鉄道ジャーナル」の取材・編集姿勢は、似たような趣旨のブログを書き続けている私にとっても参考になることも多く、当ブログでも特集記事を度々ご紹介してきたところです。
一方で、インターネット、特にSNSの発達により個人や企業が自らの見解を発表する障壁が格段に低くなったことにより、情報の鮮度や分析の深度において、インターネット上に流れる情報に対する優位性を維持することが難しくなってきた時代となってきましたが、この点は鉄道関係の雑誌の中では、特に「鉄道ジャーナル」にとって痛手だった、ともいえるのではないか、と思います。
そんな事もあったのかどうかは知る由もありませんが、最近の「鉄道ジャーナル」では、他誌では見かける「広告」の量があまりにも少なく、果たしてこれで今後もやっていけるのか、気になっていたところでしたが、果たして今回、「休刊」という結果となりました。
「鉄道ジャーナル」のような、鉄道をはじめとした輸送サービスを分析し、読者が納得・理解できる情報を提供するためには、その鍵となるのが記事の著者と編集者、といえるでしょう。
過去の「鉄道ジャーナル」には、編集長には竹島紀元氏、そしてライターの種村直樹氏が名を連ねていました。
勿論昨今も、他の鉄道雑誌で見かける方々がライターとして執筆されている一方、昨年7月号に当ブログでも指摘した「櫛田泉」氏のような記事が掲載されてしまっているところに、編集機能の喪失を感じたのは、果たして私だけだったのか、と思ったりしました。
勿論、この櫛田氏の記事が掲載されたことが、直接的な休刊の理由ではないにしても、ここに至るまでに、読者が何となく思っていた「鉄道ジャーナル」の内容の劣化が、この号で明らかとなったことが、休刊の遠因、とも考えられるのではないか、と感じました。
ともあれ、明日発売の3月号で通巻701号を数えてきた「鉄道ジャーナル」が、その歴史に幕を下ろすわけですが、何やかんや言って個人的には色々参考にしてきた記事もあり、継続的に購入をしてきただけに、残念の一言に尽きます。
今後、これまでの「鉄道ジャーナル」が担ってきた役割を、他の鉄道雑誌が引き継げればいいのでしょうが、他誌のカラーもあることから、それは難しいのは確かでしょう。
となると、利用者としてみた鉄道サービスの現場や事業者への取材、そしてそれらを支える制度の解説などは、今後どこから情報を得れば良いのか、と考えると、頭を抱えてしまっているのが正直なところです。
「他のネットがあるじゃないか」「動画サイトがあるじゃないか」という意見もあるのは承知ですが、やはりプロのライターが仕事としてきっちり取材し、それをプロの編集者が一冊の雑誌に仕上げるという、記事に対する信頼性は、書籍として世に出てくるものだからこそ認められるものであると考えますので、それがこの分野で失われるのは痛いの一言です。
その信頼性を、自らの編集方針で失ってしまったのは、言ってしまえば「鉄道ジャーナル」自業自得なわけですが、だからと言って、信頼ある情報を伝えるという役割が不要であるとは別問題であります。
そう考えると休刊は惜しいわけですが、あれこれ嘆いても仕方がないので、残された鉄道雑誌が引き続き発行され続けるよう、叱咤激励しながら購入しづけるしかないかな、と感じたニュースでありました。
【関連ブログ】
●【衝撃】雑誌「鉄道ジャーナル」が休刊に | 鉄道プレス
●鉄道の将来を考える専門情報誌「鉄道ジャーナル」休刊へ – 旅とまちなみとパインどうでしょう〜
鉄道ジャーナル休刊へ 58年の歴史に幕「好きだったな」「やはり…」|まいどなニュース
鉄道ジャーナル誌が近々休刊するとの一報あり。鉄道カメラマンとしての僕を育ててくれた雑誌だけにとても残念でなりません。
— 鉄道写真家 中井精也 (@railman_nakai) January 19, 2025
おはようございます。鉄道ジャーナルで育った人間としては、休刊の知らせは寂しいです。国鉄改革の時代には特に大きな役割を果たした雑誌でした。僕は記事を量産できないので近年はなかなかお役に立てませんでしたが、「失われた鉄路の記憶」という隔月連載を持てたのは大変光栄でした。
— 栗原景(くりはらかげり) (@kuriharakageri) January 19, 2025
これまでに明らかになったところによれば、明日(1月21日)発売の3月号の誌上に、上述休刊のお知らせが記されているとのことであります。
また、上記「まいどなニュース」の取材によれば、休刊理由は「現状を取り巻く出版状況の厳しさも一因」と説明したとのことです。
毎月発行されている鉄道雑誌としては、今回休刊が発表された「鉄道ジャーナル」(鉄道ジャーナル社)の他、「鉄道ファン」(交友社)、「鉄道ピクトリアル」(電気車研究会)、「鉄道ダイヤ情報」(交通新聞社)が思いつくところです。
このうち、「鉄道ジャーナル」は、他誌が鉄道車両等を中心に取り上げているところ、同誌は「鉄道の将来を考える専門情報誌」と標榜しており、個人的には「輸送サービス」としての観点で鉄道に向き合っている、と捉えていました。
そのため同誌では、過去に長距離列車等に同乗して取材する「列車追跡」といった、今でも読み応えのある特集シリーズが組まれたのは、一定以上の年齢のファンでご存じの方も多いのではないのでしょうか。
また上述の「輸送サービスの観点から向き合う」というところは、バスや海外の鉄道についても継続的に取り上げてきたことからも垣間見え、それが幅広い読者の開拓、そして読者の「輸送サービス」への視点を広げる役割を果たしてきた、ともいえるのではないのでしょうか。
個人的には、こういった「鉄道ジャーナル」の取材・編集姿勢は、似たような趣旨のブログを書き続けている私にとっても参考になることも多く、当ブログでも特集記事を度々ご紹介してきたところです。
一方で、インターネット、特にSNSの発達により個人や企業が自らの見解を発表する障壁が格段に低くなったことにより、情報の鮮度や分析の深度において、インターネット上に流れる情報に対する優位性を維持することが難しくなってきた時代となってきましたが、この点は鉄道関係の雑誌の中では、特に「鉄道ジャーナル」にとって痛手だった、ともいえるのではないか、と思います。
そんな事もあったのかどうかは知る由もありませんが、最近の「鉄道ジャーナル」では、他誌では見かける「広告」の量があまりにも少なく、果たしてこれで今後もやっていけるのか、気になっていたところでしたが、果たして今回、「休刊」という結果となりました。
「鉄道ジャーナル」のような、鉄道をはじめとした輸送サービスを分析し、読者が納得・理解できる情報を提供するためには、その鍵となるのが記事の著者と編集者、といえるでしょう。
過去の「鉄道ジャーナル」には、編集長には竹島紀元氏、そしてライターの種村直樹氏が名を連ねていました。
勿論昨今も、他の鉄道雑誌で見かける方々がライターとして執筆されている一方、昨年7月号に当ブログでも指摘した「櫛田泉」氏のような記事が掲載されてしまっているところに、編集機能の喪失を感じたのは、果たして私だけだったのか、と思ったりしました。
勿論、この櫛田氏の記事が掲載されたことが、直接的な休刊の理由ではないにしても、ここに至るまでに、読者が何となく思っていた「鉄道ジャーナル」の内容の劣化が、この号で明らかとなったことが、休刊の遠因、とも考えられるのではないか、と感じました。
ともあれ、明日発売の3月号で通巻701号を数えてきた「鉄道ジャーナル」が、その歴史に幕を下ろすわけですが、何やかんや言って個人的には色々参考にしてきた記事もあり、継続的に購入をしてきただけに、残念の一言に尽きます。
今後、これまでの「鉄道ジャーナル」が担ってきた役割を、他の鉄道雑誌が引き継げればいいのでしょうが、他誌のカラーもあることから、それは難しいのは確かでしょう。
となると、利用者としてみた鉄道サービスの現場や事業者への取材、そしてそれらを支える制度の解説などは、今後どこから情報を得れば良いのか、と考えると、頭を抱えてしまっているのが正直なところです。
「他のネットがあるじゃないか」「動画サイトがあるじゃないか」という意見もあるのは承知ですが、やはりプロのライターが仕事としてきっちり取材し、それをプロの編集者が一冊の雑誌に仕上げるという、記事に対する信頼性は、書籍として世に出てくるものだからこそ認められるものであると考えますので、それがこの分野で失われるのは痛いの一言です。
その信頼性を、自らの編集方針で失ってしまったのは、言ってしまえば「鉄道ジャーナル」自業自得なわけですが、だからと言って、信頼ある情報を伝えるという役割が不要であるとは別問題であります。
そう考えると休刊は惜しいわけですが、あれこれ嘆いても仕方がないので、残された鉄道雑誌が引き続き発行され続けるよう、叱咤激励しながら購入しづけるしかないかな、と感じたニュースでありました。
▲先月(2024年12月)に発売された「鉄道ジャーナル」2025年2月号。
今号では「複々線大研究」として、山手貨物線や品鶴線、そして京阪電鉄や南海電鉄の複々線についての特集記事が組まれていました。
京阪と南海の記事は、在阪の鉄道ライター伊原薫氏の執筆によるもので、今後も関西地区の話題を中心に当誌で読めることを楽しみにしていただけに、休刊は残念なニュースであります。
【関連ブログ】
●【衝撃】雑誌「鉄道ジャーナル」が休刊に | 鉄道プレス
●鉄道の将来を考える専門情報誌「鉄道ジャーナル」休刊へ – 旅とまちなみとパインどうでしょう〜