下記記事でご紹介したように、鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」が、2025年6月号(4月発売)をもって休刊することが報じられていました。
(参考)


この「休刊のお知らせ」が掲載されているのが、今月21日に発売された3月号となっていましたので、私も早速購入してみました。
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この3月号には、特集記事の他に、「シリーズ 凋落のメインライン 紀勢西線 和歌山市〜新宮」「紀伊半島西部のバス事業盛衰」(いずれも岩成政和氏著)と、和歌山県内の鉄道・バスを取り上げた記事が掲載されることから、元々購入しようと考えていたところでした。

しかし今回、上述の「休刊のお知らせ」が掲載されることとなったため、にわかに注目を集めることとなってしまったのは、ある意味皮肉なところかも知れません。


その肝心の和歌山県内の特集記事については、「凋落のメインライン」では、和歌山市〜和歌山〜紀伊田辺〜新宮の紀勢西線(きのくに線)を、主に普通列車を乗り継いだ乗車レポートとなっていました。
乗車日は2024年12月13日(金)と、観光シーズンが過ぎ去った年末の金曜日ということもあり、観光客を含めた利用者が元々少ない時期であったことは差し引いたとしても、やはり寂しい描写が多いのは、地域の現実を著したものだ、と感じずにはいられませんでした。

もう一方の「紀伊半島西部のバス事業盛衰」は、大規模な統合が行われなかった結果、県内に拠点が点在することとなった、県内の路線バス事業者の歴史について記されています。
所々に著者の感想めいた記述があるところが気になるものの、特に現在の「熊野御坊南海バス」「明光バス」が現在に至るまでどのような歴史を歩んできたかを、簡単に知ることができる記事に感じました。

鉄道ジャーナルの魅力の一つとして、「鉄道」と銘打ってはいるものの、必ずしも鉄道に限らない記事も広く取り上げており、特に「バス」については、バス専門誌が世に出回る前から「バスコーナー」と国内のバス事情を紹介するニュースコーナーを設けているのは、鉄道ジャーナルを長年読まれてきた方にとってはよくご存じのところであるでしょう。

今回の和歌山県内のバス事業者の歴史を綴ったこの記事、3ページというボリュームではありましたが、長年ジャーナルが得意としてきた、他交通分野をもカバーする広さを、休刊前にして今更ながらではありますが、感じ取ったところでした。


その、「休刊のお知らせ」は、表紙裏に大きく記載されていました。
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▲鉄道ジャーナル2025年3月号 裏表紙「本誌休刊のお知らせ」より引用

上記「お知らせ」によりますと、「近年の雑誌出版をめぐる環境および本誌を取り巻く諸般の事情に鑑み」「令和7年6月号(令和7年4月21日発売予定)を最終号とし、翌月以降の雑誌制作・発行をとりやめ、休刊とさせていただくことになりました」としています。
(カッコ内太字下線部はいずれも同誌より引用)

「雑種出版をめぐる環境の変化」とは、やはりインターネットの隆盛による雑誌メディアの発信力の低下と、それによる部数減少といえるのでしょうが、もう一つ「本誌を取り巻く諸般の事情」というのが、一体どういうことなのか、気になるところではあります。

ただ、気になるといっても、休刊の事実が変わるわけではなく、6月号で発行が終了することとなります。

ちなみにこのお知らせでは、「4月21日発売予定の最終号までの各号については通常通り誌面作成を予定」(同誌より引用)となっていますので、どうやら最終号だからといって、何か特別な特集を組むことも無さそうに思えます。

ともあれ、あと3号で休刊となる「鉄道ジャーナル」。
折角ですので、あと3ヶ月、最後まで購入してご紹介することで、長年鉄道趣味をリードしてきた同誌への感謝の気持ちを少しでも伝えることができれば、と考えています。