JR西日本で提供されている、有料座席サービス「うれしート」。
221系などの転換クロスシート車の座席を活用し、ラッシュ時間帯等に一部指定席とするものです。
指定席に充当する際は、乗車口や通路に「のれん」を設けるだけという手軽さもあって、サービス開始2023年10月のサービス開始以降、設定路線は増え続け、来月のダイヤ改正でもさらなる拡大が予定されています。
(参考)
私が通常利用する阪和線には「うれしート」が設定されていない上に、他の設定路線でも、主に朝夕の通勤時間帯の設定となりますので、なかなか乗車する機会が無かった「うれしート」。
今回、平日の夕方に大阪市内に居るというタイミングがあったので、これはいい機会とばかりに、天王寺18時10分発の快速奈良行き(列車番号:408K)の「うれしート」に乗車してみることにしました。
18時10分発の快速「うれしート」設定列車は、6両編成で、最後尾6号車の後ろ寄りが「うれしート」となります。


▲天王寺駅の発車案内。
「△8うれしートあり」の表記がありますが、やはり小さいか…

乗車位置には「うれしート」のステッカーが貼られています。
18時10分発の快速列車が到着しました。

▲乗車口には「うれしート」の「のれん」が掛けられており、何も知らない乗客でも「ここから乗るためには別途料金が必要」ということが分かるようになっています。
しかもこの「のれん」、丁度成人の目の高さくらいの位置に掲げられているので、嫌でも「特別な車両」であることが分かるようになっています。

>ご覧のとおり、「うれしート」区画はゆったりと着席できる一方、「のれん」の先の自由席の区画は立ち客が多数となっており、混雑したエリアから隔離できる、という意味でも、300円(「うれしート」チケットレス料金)を支払う価値はあると感じました。
この列車の「うれしート」は、窓側が全て埋まるほどの乗車率で天王寺を発車しました。
既に一定の利用は定着しているようで、私の他は男女問わず通勤客が帰宅時に利用しているように見受けられました。

▲「うれしート」のれん。
丁度目の高さにこの「のれん」がありますので、普通の利用者なら何かしらの違いに気づくはずです。

▲「うれしート」ステッカー

▲「優先座席」に「うれしート」が設定されている場合は、優先座席の設定は無くなります。
今回は、試乗がメインのため、早速ですが次の久宝寺で下車します。

▲久宝寺発車時の「うれしート」車両を外から見た状況。


▲「うれしート」チケットレス指定券。
「チケットレス」という名前が付いているもの、このように発券することも可能となっていますので、乗車記念に手元に残しておくことにしました。
ご覧のとおり、「指のみ券」と指定券の2枚セットとなっています。
以上が、はじめての「うれしート」の乗車記録であります。
ところで上述のとおり、「うれしート」は線区に限らず(※)列車最後尾に設定されています。
(※)2025年3月に導入される嵯峨野線では、列車の進行方向に関わらず、園部方に設定されることとなっています。
そのため、今回の大和路線奈良方面のの列車の場合、天王寺駅の構造上、最も利用者が多いと考えられる「中央口改札」の階段に最も近い位置に「うれしート」専用乗車口が来ることになってしまいます。
そのため、「うれしート」と知らずに乗った乗客は、車掌の案内で前方の自由席エリアに動いていくわけですが、そこはラッシュ時間帯であることに加え、短い6両編成でもあることが災いし、大混雑の自由席エリアに移らずに、「うれしート」エリアに立ち続けるお客さんもいました。
私が乗車した際には、担当車掌が、直接肉声で何度か自由席エリアへの移動を促しましたが、混雑で入れないことから最後まで動くことの無いままの乗客が、結局数名残ることとなりました。

▲久宝寺駅到着直前の「うれしート」エリアから自由席エリアを見てみます。
立ったまま、自由席エリアに入れない乗客が数名いました。
グリーン車と違い、指定席車の場合は指定券が無い場合にその区画から排除する直接的な規程は無いように認識しています。
しかしやはり、「有料エリア」と銘打っているのであれば、混雑していたとしてもきっちり対応して欲しい、という意見も出てくるのでは、と疑問にも思いました。
それならば、JR西日本の公式案内で、「うれしート」の通路部分はどのような取り扱いになっているのか、改めて見てみたいと思います。
「通路部(指定席エリア内)での立席乗車はできません。」と記されているとおり、立席乗車はできないことになっています。
これをこのまま解釈すれば、「うれしート」指定席券を持っていない乗客は自由席エリアに移動しなければならない、ということになります。
一方、指定席券があくまで座席の確保に対する対価で、当該区画に居続けることまで排除していない、という解釈もあり得ます。
ただ、上記の公式Webサイトの記述、そして下記の天王寺駅での案内表示などを併せて考えてみますと、実際の運用上としては、「うれしート区画の通路部分には、指定席券がなければ入れない」と解釈すべきところと感じました。
なお、この「うれしート」は、車掌が発券端末を所持していないからなのか、車内で指定券を購入することはできない模様です。
下記記事でご紹介したように、来月のダイヤ改正で「うれしート」設定路線・列車が更に拡大することとなっています。
(参考)
特に奈良線(京都〜奈良)では、全ての快速列車(みやこ路快速、快速、区間快速)に「うれしート」が設定されることとなります。
一方、奈良線の京都駅ホームは多くが行き止まり式となっていることから、奈良行き列車の京都寄り(最後尾)は特に混雑する場所となっていることと考えられます。
いわば、今回の天王寺駅と似たような、
こうなると、うれしート利用者だけでなく、車掌の案内に従って移動した一般客からも、不満が出てくることが大いに考えられます。
「うれしート」自体は柔軟性の高いサービスでありますが、一方でこのような問題も顕在化していることから、安定した運用を目指すのであれば、案内どおり料金を支払った利用者だけが、「うれしート」エリアを利用できるよう、公平線の観点からの改善していく必要だと感じました。
もっとも、今回の天王寺18時10分の快速(402K列車)は、他より短い6両編成である上に、そのうちの1両が女性専用車となっているため、元来混雑が激しいと考えられる列車で、そこに更に「うれしート」の設定が加わるのであれば、一般席区間が激しい混雑になることは、目に見えているともいえるでしょう。
実際402Kの次に「うれしート」設定のある、天王寺19時10分発の快速(列車番号420K)は、8両編成であることに加え、混雑が収まっている時間帯であることから、上述のような混乱は見受けられませんでした。
そんなことも考えると、「うれしート」が円滑に運用されるためには、設定列車の選定も肝要ではないか、とも感じました。
最後は苦言めいたことを色々書いてしまいました。
ただ、快速列車停車駅から手軽に使える有料座席サービス「うれしート」は、通勤・通学客だけでなく、子供連れや荷物が多い利用者、体調が芳しくないケースなど、本当に様々なケースに対応できる着席サービスだと感じています。
そのため、個人的にはニーズのある線区には更に広がって欲しいと思っていますし、「のれん」だけで手軽に設定できる柔軟性は、他の有料座席サービスでは実現しがたい、利用者のニーズにきめ細やかに対応できるのではないかと考えてもいますので、その将来性は高いものと感じています。
それだけに、指定席料金を支払った利用者が満足して繰り返し利用できるよう、サービスの円滑な提供を目指して今後も改善を図っていって欲しいな、と感じた次第でありました。
221系などの転換クロスシート車の座席を活用し、ラッシュ時間帯等に一部指定席とするものです。
指定席に充当する際は、乗車口や通路に「のれん」を設けるだけという手軽さもあって、サービス開始2023年10月のサービス開始以降、設定路線は増え続け、来月のダイヤ改正でもさらなる拡大が予定されています。
(参考)
私が通常利用する阪和線には「うれしート」が設定されていない上に、他の設定路線でも、主に朝夕の通勤時間帯の設定となりますので、なかなか乗車する機会が無かった「うれしート」。
今回、平日の夕方に大阪市内に居るというタイミングがあったので、これはいい機会とばかりに、天王寺18時10分発の快速奈良行き(列車番号:408K)の「うれしート」に乗車してみることにしました。
18時10分発の快速「うれしート」設定列車は、6両編成で、最後尾6号車の後ろ寄りが「うれしート」となります。


▲天王寺駅の発車案内。
「△8うれしートあり」の表記がありますが、やはり小さいか…

乗車位置には「うれしート」のステッカーが貼られています。
18時10分発の快速列車が到着しました。

▲乗車口には「うれしート」の「のれん」が掛けられており、何も知らない乗客でも「ここから乗るためには別途料金が必要」ということが分かるようになっています。
しかもこの「のれん」、丁度成人の目の高さくらいの位置に掲げられているので、嫌でも「特別な車両」であることが分かるようになっています。

>ご覧のとおり、「うれしート」区画はゆったりと着席できる一方、「のれん」の先の自由席の区画は立ち客が多数となっており、混雑したエリアから隔離できる、という意味でも、300円(「うれしート」チケットレス料金)を支払う価値はあると感じました。
この列車の「うれしート」は、窓側が全て埋まるほどの乗車率で天王寺を発車しました。
既に一定の利用は定着しているようで、私の他は男女問わず通勤客が帰宅時に利用しているように見受けられました。

▲「うれしート」のれん。
丁度目の高さにこの「のれん」がありますので、普通の利用者なら何かしらの違いに気づくはずです。

▲「うれしート」ステッカー

▲「優先座席」に「うれしート」が設定されている場合は、優先座席の設定は無くなります。
今回は、試乗がメインのため、早速ですが次の久宝寺で下車します。

▲久宝寺発車時の「うれしート」車両を外から見た状況。


▲「うれしート」チケットレス指定券。
「チケットレス」という名前が付いているもの、このように発券することも可能となっていますので、乗車記念に手元に残しておくことにしました。
ご覧のとおり、「指のみ券」と指定券の2枚セットとなっています。
以上が、はじめての「うれしート」の乗車記録であります。
ところで上述のとおり、「うれしート」は線区に限らず(※)列車最後尾に設定されています。
(※)2025年3月に導入される嵯峨野線では、列車の進行方向に関わらず、園部方に設定されることとなっています。
そのため、今回の大和路線奈良方面のの列車の場合、天王寺駅の構造上、最も利用者が多いと考えられる「中央口改札」の階段に最も近い位置に「うれしート」専用乗車口が来ることになってしまいます。
(参考)
▲天王寺駅構内図(JRおでかけネット(https://www.jr-odekake.net/eki/premises?id=0620831)より引用、赤枠は管理人による。)
赤枠部分で強調しているように、「中央口改札」に近い階段が、奈良方面に向かって最後尾(「うれしート」設定時の専用乗車口)となります。
そのため、「うれしート」と知らずに乗った乗客は、車掌の案内で前方の自由席エリアに動いていくわけですが、そこはラッシュ時間帯であることに加え、短い6両編成でもあることが災いし、大混雑の自由席エリアに移らずに、「うれしート」エリアに立ち続けるお客さんもいました。
私が乗車した際には、担当車掌が、直接肉声で何度か自由席エリアへの移動を促しましたが、混雑で入れないことから最後まで動くことの無いままの乗客が、結局数名残ることとなりました。

▲久宝寺駅到着直前の「うれしート」エリアから自由席エリアを見てみます。
立ったまま、自由席エリアに入れない乗客が数名いました。
グリーン車と違い、指定席車の場合は指定券が無い場合にその区画から排除する直接的な規程は無いように認識しています。
しかしやはり、「有料エリア」と銘打っているのであれば、混雑していたとしてもきっちり対応して欲しい、という意見も出てくるのでは、と疑問にも思いました。
それならば、JR西日本の公式案内で、「うれしート」の通路部分はどのような取り扱いになっているのか、改めて見てみたいと思います。
(参考)
(「快速 うれしート」の通路エリアは誰でも利用できますか。 – 西日本旅客鉄道株式会社より引用)
「通路部(指定席エリア内)での立席乗車はできません。」と記されているとおり、立席乗車はできないことになっています。
これをこのまま解釈すれば、「うれしート」指定席券を持っていない乗客は自由席エリアに移動しなければならない、ということになります。
一方、指定席券があくまで座席の確保に対する対価で、当該区画に居続けることまで排除していない、という解釈もあり得ます。
ただ、上記の公式Webサイトの記述、そして下記の天王寺駅での案内表示などを併せて考えてみますと、実際の運用上としては、「うれしート区画の通路部分には、指定席券がなければ入れない」と解釈すべきところと感じました。
▲天王寺駅15番・16番のりばに掲出されている「うれしート」案内。
「うれしート設定列車は最後部車両一部エリアがデッキを含め「有料エリア」となります」と記されていますので、出入口付近に立っている場合でも、指定席券を別途購入する必要がある、と解釈できます。
なお、この「うれしート」は、車掌が発券端末を所持していないからなのか、車内で指定券を購入することはできない模様です。
下記記事でご紹介したように、来月のダイヤ改正で「うれしート」設定路線・列車が更に拡大することとなっています。
(参考)
特に奈良線(京都〜奈良)では、全ての快速列車(みやこ路快速、快速、区間快速)に「うれしート」が設定されることとなります。
一方、奈良線の京都駅ホームは多くが行き止まり式となっていることから、奈良行き列車の京都寄り(最後尾)は特に混雑する場所となっていることと考えられます。
(参考)
▲京都駅構内図(京都駅|構内図:JRおでかけネットより引用、赤枠は管理人による。)
奈良線が発着する8〜10番のりば(赤枠部分)は、行き止まり式ホームとなっており、京都行き先頭車・奈良行き最後尾に乗客が集中することが考えられます。
奈良行きの場合、最後尾が「うれしート」設定区画となっているため、指定席券を有しない乗客が「うれしート」区画に入ってくることが多く出てくることが想定されます。
いわば、今回の天王寺駅と似たような、
「指定席を持たない乗客がうれしートに乗ってくる」という展開が想定されます。
▼
「一般席区間に誘導するも混雑のため移動できない」
▼
「指定席を持っていない乗客がうれしート区画に居座ることになる」
こうなると、うれしート利用者だけでなく、車掌の案内に従って移動した一般客からも、不満が出てくることが大いに考えられます。
「うれしート」自体は柔軟性の高いサービスでありますが、一方でこのような問題も顕在化していることから、安定した運用を目指すのであれば、案内どおり料金を支払った利用者だけが、「うれしート」エリアを利用できるよう、公平線の観点からの改善していく必要だと感じました。
もっとも、今回の天王寺18時10分の快速(402K列車)は、他より短い6両編成である上に、そのうちの1両が女性専用車となっているため、元来混雑が激しいと考えられる列車で、そこに更に「うれしート」の設定が加わるのであれば、一般席区間が激しい混雑になることは、目に見えているともいえるでしょう。
実際402Kの次に「うれしート」設定のある、天王寺19時10分発の快速(列車番号420K)は、8両編成であることに加え、混雑が収まっている時間帯であることから、上述のような混乱は見受けられませんでした。
そんなことも考えると、「うれしート」が円滑に運用されるためには、設定列車の選定も肝要ではないか、とも感じました。
最後は苦言めいたことを色々書いてしまいました。
ただ、快速列車停車駅から手軽に使える有料座席サービス「うれしート」は、通勤・通学客だけでなく、子供連れや荷物が多い利用者、体調が芳しくないケースなど、本当に様々なケースに対応できる着席サービスだと感じています。
そのため、個人的にはニーズのある線区には更に広がって欲しいと思っていますし、「のれん」だけで手軽に設定できる柔軟性は、他の有料座席サービスでは実現しがたい、利用者のニーズにきめ細やかに対応できるのではないかと考えてもいますので、その将来性は高いものと感じています。
それだけに、指定席料金を支払った利用者が満足して繰り返し利用できるよう、サービスの円滑な提供を目指して今後も改善を図っていって欲しいな、と感じた次第でありました。