JR東日本と岩手県北自動車とは、盛岡〜宮古間の山田線(JR東日本)及び106特急・急行バス(岩手県北バス)について、独占禁止法特例法に基づく共同経営の認可申請を行っていましたが、本日(2月17日)認可されたことを発表しました。

鉄道事業者とバス事業者による岩手県県央部と沿岸部間の共同経営の認可について|JR東日本
鉄道事業者とバス事業者による岩手県県央部と沿岸部間の共同経営の認可について|岩手県北自動車

概要は以下のとおりです。

【実施期間】
2025年4月1日〜2020年3月31日
(実施期間を変更する場合あり)

【対象エリア】
JR東日本(山田線):盛岡駅〜宮古駅間(上盛岡駅、山岸駅、上米内駅を除く)
岩手県北バス(106特急・急行バス):盛岡駅前(東口)、区界、松草、川内、箱石、川井、腹帯、茂市、蟇目、花原市、千徳駅前、宮古駅前
2025021721-31-581
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2024/morioka/20250217_mr01.pdf)より引用)

【共同経営計画に基づく実施内容】
・山田線盛岡駅〜宮古駅間(上盛岡駅、山岸駅、上米内駅を除く)を有効区間とするJRの乗車券類で106特急・急行バスを利用できる仕組みを継続実施することが可能。
・共同経営期間の中で、鉄道とバスの効率的なダイヤ設定や、各駅に対応するバス停留所の整理等を実施し、公共交通の更なる利便性の向上に取り組む。
2025021721-32-482
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2024/morioka/20250217_mr01.pdf)より引用)

【(参考)認可により可能となる事例】
2025021721-33-353
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2024/morioka/20250217_mr01.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



地方の公共交通機関は、構造的な利用者減少に加え、運転手等の担い手不足により、その運営が困難なケースが増えてきていますが、それらの課題に対応し、持続可能な地域交通として運営していくための方法の一つとして、「共同経営」が考えられます。
一方で、「共同経営」は、同業者間でダイヤや運賃などを直接話し合うことになるため、市場競争を阻むものであることから、独占禁止法により原則禁止されていますが、今回の「独占禁止法特例法」では、「地域における基盤的なサービスの提供を維持するという政策目的を達成する限度」において、特例を設けることで共同経営を行うことが可能となっています。

今回のJR東日本と岩手県北バスでは、併走して走る「JR山田線」「106特急・急行バス」との間で、乗車券類の共通利用が継続的に可能となるほか、今後は鉄道とバスとで効率的なダイヤを設定するなど、限られた人材リソースを活用して、地域の輸送サービスを維持・改善していくことが可能となります。


国土交通省のWebサイトによれば、この「独占禁止法特例法」に基づく「共同経営計画」は、今回のJR東日本・岩手県北自動車が7例目になるということです。
(参考)
公共交通政策:地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律について - 国土交通省

このうち、鉄軌道事業者が絡むものでいえば、「岡山駅・大東駅」(岡山電気軌道、両備ホールディングス)、「徳島県南部」(JR四国、徳島バス)に続くものとなっています。


鉄道とバスが併走している区間は、全国には沢山ありますし、今回のような「共同経営」が可能に思えるケースも決して少なくないと思われます。
今後もこのような、持続可能な好事例が出てくることを期待したいと思います。

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▲盛岡駅に停車中のJR山田線快速「リアス」。

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▲宮古駅に到着したJR山田線快速「リアス」。
現在も実証実験として、JRのきっぷで106特急・急行が利用できることとなっていますが、4月以降はこの仕組みが継続することとなります。

また、共同経営が認可されたことから、106特急・急行バスとJR山田線とのダイヤの調整も実施が見込まれることから、JR山田線の運行形態にも何らかの変化が見られることも想定されます。