和歌山県の紀南地方をおもなエリアとする「紀伊民報」の報じるところによれば、JR紀勢線(きのくに線)の新宮〜白浜間の沿線自治体やJR西日本、和歌山県、和歌山大学で構成する「新宮白浜区間部会」では、同区間で現在平日(月曜日〜木曜日)5往復運転している特急「くろしお」について、1往復増便して一日6往復(金・土・日・祝と同様)の運転することに取り組む方針を決定したとのことです。

特急「くろしお」増便へ 11月から実証事業、和歌山県:紀伊民報AGARA|和歌山県のニュースサイト

対象となる列車は記事中には具体的に記載されていませんが、時刻表等の情報を総合すれば、現在金・土・日・祝等の運転となっている「くろしお5号」(新大阪9:28発→新宮13:53着)と、「くろしお30号」(新宮13:29発→新大阪17:53着)の1往復であると考えられます。

この「くろしお5号・30号」は、2020年5月の新型コロナウイルス発生による利用者の著しい減少を踏まえて運休となったうちの一往復でありました。
(参考)


その後、2022年6月からは現在の金・土・日・祝の運行となり、現在に至るまでこの運転形態が続いています。
(参考)
北陸新幹線・在来線特急 6月の運転計画のお知らせ:JR西日本

一方、訪日外国人旅行者のその後の回復傾向は続いている一方、きのくに線新宮〜白浜間の輸送密度は935人と、コロナ禍からの回復傾向は続いているものの、コロナ禍前の2019年の輸送密度1,085人にさえもまだ至っていない状況であります。


そんな中、この区間の利用促進を図るため、この部会では増便による実証事業を今年11月から実施するとともに、市町村や県も、バスやタクシーなどの二次交通整備や接続改善、また空港と連携した観光客誘客などに取り組むこととしています。


私自身、時折新宮や紀伊勝浦に「くろしお」で乗車する機会もありますが、白浜以南ではやはり訪日外国人旅行者を数多く見かけ、それは平日では特に顕著となっています。
そういった訪日外国人旅行者を取り込む、という意味では今回の平日運行は、利用増加に繋がる一つの取り組みだと思っています。

一方、減少はしているものの、沿線住民が自らの地域の交通手段として特急「くろしお」を使い続けることも大事ですので、観光客と地元の両方の利用につながる施策を実施していく必要があるかと思います。

この「くろしお」増便、今年11月に実施予定ですので、その際に何かイベント等があるのか、そんなところも気にしながら今後の正式発表を待ちたいな、と思っています。

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▲現在週末等を中心に運行している特急「くろしお」1往復には、この283系「オーシャンアロー」が充当されています。

鉄道ファンには人気の高いこの「オーシャンアロー」ですが、利用促進のためには、撮影するだけではダメで、実際に乗車する必要があります。

この「オーシャンアロー」が末永く、新宮〜白浜間を運行することができるよう、鉄道ファンとしては積極的にこの地域への移動の際に「くろしお」を利用していきたいところです。