去る2025年6月号(4月発売)をもって休刊となった鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」。

鉄道雑誌各誌の中でも、車両そのものよりも、その輸送にまつわるシステムを中心(ダイヤや営業政策、国や自治体の政策など)に焦点を充ててきたといえるこの雑誌は、他の鉄道各誌が車両を中心とした内容であるのに対し、その独自性が故に、かつては多くの読者を集めていました。

しかし、そういった分析情報が、今やネットニュースや個人の発信により一定程度流通してきたこともあってか、主要鉄道三誌(鉄道ジャーナルに加え、鉄道ファン、鉄道ピクトリアル)の中で、真っ先に休刊となってしまいました。

その後、こういった鉄道に関する社会的分析情報をまとめて発行する、という媒体が出てこないのか、と思っていたところ、「鉄道insight(インサイト)」という雑誌が発売された、ということを聞きましたので、購入してみました。

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▲「鉄道insight」と「運輸と経済」。
「運輸と経済」は、一般社団法人交通経済研究所が発行する、月刊の交通経済・経営の専門誌で、1947年の創刊から、交通研究の発表の場として、多くの研究者・実務者が執筆してきました。
「鉄道ジャーナル」休刊に伴い、新たに連載の場を「運輸と経済」写した連載記事も4月号より始まっています。


執筆者は、鉄道ジャーナルでも記事が連載されていた佐藤信之氏が中心に、「鉄道ジャーナル」の読者が集まって始めた雑誌、とのことです。

実際にページをめくって見てみますと、デザインは著者によりまちまちである上に、所々で編集作業のミスであろう記事の重複箇所があったりと、「月刊誌」というより「毎月発行される同人誌」というノリが近いのかな、と感じました。

記事についても、それぞれ内容の濃淡があり、結局は「ライター次第」なのかな、と感じています。
結局今後このプロジェクト?が続くかどうかは、
・どれだけ編集作業に注力できるか?
・どれだけ良質なライターを見つけられるか?

になるのかな、と感じました。

前者は、上述のとおり、デザインや構成、そして校正に関するところで、「鉄道ジャーナル」の後継を目指す書誌であるのなら、こういったところにも本気を見せて欲しい、と感じています。
内容以前の問題で、失望してしまう読者も少なからずいるとすれば残念に思えてしまいます。

そして後者は、個人的に参考になる記事もある一方、北陸新幹線米原ルートが小浜ルートより早くなるという、個人的にはなかなか承服しがたい記事もあったりと、その内容の差は大きいものと感じています。
(参考)
「鉄道insight」創刊号を読む | 旅するマネージャーのブログ

結局、良質なライターにどれだけ協力してもらえるか否か、がこの「鉄道insight」の継続の鍵なのかな、と思った次第です。

創刊号となる6月号を元にご紹介しましたが、第2号となる7月号も発売されているようです。
鉄道insight 2025年7月号 1訂
加藤好啓
Independently published
2025-06-08




リアル店舗では、「書籍グランデ」「書籍ブックタワー」でしか発売しておらず、加えて価格も1,850円とのことなので、今回は購入しようかどうか、見極めたいと思います。
一方で、上述のとおり「運輸と経済」でも、かつて「鉄道ジャーナル」から移ってきた連載記事が始まったりしており、「鉄道ジャーナル」無きあと、何を読んでいこうか、とも感じつつある次第です。



【関連ブログ】
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『鉄道insight』創刊~『鉄道ジャーナル』の後継誌に名乗り | 書斎の汽車・電車



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