滋賀県の近江鉄道では、利用者の利便性向上等を目的に、JR西日本のICOCAシステムを同社鉄道線全線に導入することを発表しました。

近江鉄道線でICOCAなど交通系ICカード全国相互利用サービスを導入します!:JR西日本
近江鉄道線でICOCAなど交通系ICカード全国相互利用サービスを導入します!|近江鉄道

概要は以下のとおりです。
【サービス開始時期】
2026年3月(予定)

【サービス開始線区】
近江鉄道線全線(米原〜貴生川、高宮〜多賀大社前、八日市〜近江八幡)

【提供するサービス】
・ICOCA利用サービス(チャージによる電子マネー利用)
・定期券サービス


その他詳細は、上記発表資料をご覧ください。



滋賀県の琵琶湖南部を中心に走る「近江鉄道」では、利用者の減少等から厳しい経営が続いてきていました。
一方で仮に同社鉄道線が無くなれば、沿線の道路が混雑するなど社会的に影響が大きいこともあり、地域で同社鉄道路線を維持する仕組みとして、沿線自治体が出資する「近江鉄道管理機構」が設備等を保有し、近江鉄道が列車の運行等を担う「上下分離方式」に、2024年4月に移行しました。

上下分離への移行から一年半が過ぎようとしていますが、昨年度の近江鉄道の経営状況は、上下分離による効果もあり、鉄道事業で久々の黒字を経常するなど、まずは順調な滑り出しとなっている模様です。
(参考)
上下分離の近江鉄道 31年ぶりに黒字決算の見通し|NHK 滋賀県のニュース

とはいえ、「上下分離」は決して「ゴール」ではなく、いわば地域交通の「幹」である鉄道の維持のための「スタート」というべきであり、上下分離をした上で、いかに沿線住民や観光客等の利用者を増やしていく、そのためにどのような利用促進策を実施していくのかが大事であるといえます。

今回、近江鉄道全線で導入することとなった「ICOCA」の導入は、利用促進のメインとなるものといえるでしょう。

もとより、米原、彦根、近江八幡、貴生川と、JR西日本ICOCAエリアと4駅で接続している近江鉄道が、今までICOCAを導入していなかったことを、不思議に思う方ももしかしたらおられるかも知れません。

しかし、上述のとおり上下一体による民間事業者単独による運営では、投資額の大きさが故に決して実現できなかった交通系ICカードの導入が、上下分離により行政の支援も合わせて導入できた、というのは、上下分離、つまりは鉄道という交通インフラを地域が一体と支援することにより実現できた「成果」といえるのではないのでしょうか。

勿論これとて、交通系ICカードを入れて終わり、というのではなく、交通系ICカードが利用可能となったことで、乗車しやすくなった近江鉄道線に、どのように利用してもらうことができるのか、というのは、更に突き詰めていかないといけません。

もっとも滋賀県では、下記記事でもご紹介したように、「交通税」の導入も検討されていることからも、地域で公共交通を支えていく意識の醸成は他の地域よりも進んでいるのではないか、と思っています。
(参考)


そういった動きが、地方鉄道維持に課題を抱える他の地域にとっても、リーディングケースとなっていくことで、少子高齢化やコロナ禍後の行動変容により利用者の減少に苦しむ地方鉄道を抱える地域の課題解決につながればいいな、とも感じたニュースでありました。

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私自身、直近で近江鉄道を訪問したのは、上記の「鉄道むすめ」豊郷あかねのヘッドマーク撮影会でした。
(参考)

この頃には既に、上下分離方式への移行は決定していましたが、それがどのような形で実現するのかは、まだ検討段階だったかと思います。

そういったニュースを聞きながらの撮影会でしたが、その後、現在のような上下分離による維持となり、「上」を担う近江鉄道が黒字を計上できるまでになったことは、当時は思いもだにしませんでした。

近江鉄道の鉄道むすめ「豊郷あかね」「日野せりか」ともども、同路線の永続を引き続き願いたいところです。




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