富山県の富山地方鉄道では、厳しい経営状況にある鉄道線の「立山線」「不二越・上滝線」について、一部線区の廃止及び「みなし上下分離」による運営について、本日富山市で開催された会議で表明したことが、報道されています。

富山地鉄「立山線」 岩峅寺ー立山間を来年11月で廃止へ準備|NHK 富山県のニュース

上記報道によれば、路線の廃止等について富山地方鉄道が説明した内容は、以下のとおりとなっています。
【立山線】
岩峅寺(いわくらじ)〜立山間:来年(2026年)11月いっぱいで廃止の方針、申請に向けた準備中

【不二越・上滝線】
・月岡〜岩峅寺:富山市の支援よる「みなし上下分離」により運営

【本線】
滑川〜新魚津:廃止する方針で準備中
新魚津〜宇奈月温泉:廃止を基本として沿線自治体と協議


具体的な報道内容は、上記Webサイトよりご確認ください。



富山平野に路線網を広げる富山地方鉄道の鉄道線。

宇奈月温泉や立山といった、富山県のみならず全国でも著名な観光地を結び、また富山都市圏の郊外と都市部とを結ぶ鉄道となっており、主要な鉄道路線としての位置づけであることは確かであるといえます。

一方でその運営は、近年非常に苦しい状態が続いており、かつては特急列車などの優等列車が数多く走っていた線区でも、そういった列車も縮減されてきています。
しかし、いよいよ持続的な運営が難しくなってきたこともあり、今回の廃止の表明に至った、といえます。

今回廃止等の表明のあった線区をみますと、具体的な時期が示された立山線・岩峅寺〜立山間は、立山黒部アルペンルートへのアクセスとして観光客の利用者が多い一方、シーズンオフには利用者が僅少となっています。
今年4月15日に実施された鉄道線ダイヤ改正では、この立山線・岩峅寺〜立山間は、冬期間(12/1〜4/14)は日中の運行を中止するなど、大幅な減便改正が実施されました。
(参考)
鉄道線のダイヤ改正及び時刻表について【令和7年4月15日(火)改正】 | 富山地方鉄道株式会社

それでもやはり、鉄道としての維持が厳しいことから、来年の観光シーズン終了を目途に廃止することとされています。
上述のとおり、立山黒部アルペンルートの観光客が多く利用するものの、それだけでは年間を通じて鉄道を維持することが、もはや困難、ということでありましょう。


そして今回の発表では、本線(電鉄富山〜宇奈月温泉)の廃止についても言及されています。
このうち、滑川〜新魚津については、北陸新幹線開業後並行在来線として第三セクター移管された「あいの風とやま鉄道線」線と完全に併走している区間であります。

かつての北陸本線時代は、多くの特急列車の合間を縫って地域輸送の普通列車が走っていたこともあり、富山地鉄線との棲み分けが図られていたものと考えられます。
しかし、あいの風とやま鉄道への移行後は、地域輸送に特化した増発等の施策で利便性が高まり、以前は地鉄本線を利用していた乗客が移行したことは十分考えられます。

また、観光輸送としての宇奈月温泉についても、富山〜宇奈月温泉間は、運賃・料金でみれば北陸新幹線(黒部宇奈月温泉乗り換え)と、地鉄本線利用とでは200円(※)しか変わらず、もはや併走している同区間を存続させられる状況では無い、ということもあります。
(※)運賃・料金の比較
富山〜黒部宇奈月温泉/新黒部〜宇奈月温泉間(新幹線経由):2,140円
富山〜宇奈月温泉(地鉄本線経由):1,940円


加えて、宇奈月温泉へのアクセスルートとなるはずの新魚津〜宇奈月温泉についても、廃止を基本とした協議を沿線自治体と行うこととなっており、仮にこれらの廃止が実現したとすれば、富山県内の観光ルートを網羅していた地鉄の鉄道網がほぼ無くなることとなりそうです。


利用者の減少による収入減は勿論、運転士だけでなく、保線なども含む鉄道維持のための労働力が不足している現状、利用者が少なく他の交通機関で代替できる線区は、廃止せざるを得ないという事情は十分理解できるものがあります。

一方で、上述のとおり富山県内の観光地を結ぶ鉄道ルートであることを考えると、沿線市町だけでなく、富山県としても、何らかの支援方策を主体的に検討していく必要があるようにも感じました。


ともあれ、富山県内を結ぶ路線網として当たり前のように認識していたこれらの線区が、少なくとも1年ちょっとから先に、大きく変化するものとなりそうですので、今後の動向もこのブログで取り上げていかなければ、と感じたニュースでありました。


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▲岩峅寺駅に停車中の富山地鉄14760形電車。

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▲岩峅寺駅舎。
今回の廃止表明で、ここ岩峅寺駅が終点になることが想定されます。

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▲富山地鉄駅に停車中の宇奈月温泉行き14760形(左)と立山行き10030形(右)。

いずれの写真も、2006年に訪問した際に撮影したものです。
当時は北陸新幹線開業前であったことから、立山や宇奈月への主要な交通手段として機能していた地鉄の鉄道線でしたが、今やその役割が北陸新幹線やあいの風とやま鉄道線に取って代わり、廃止が議論される状況となっています。

この画像のように「立山」「宇奈月温泉」の行先が並ぶ光景が、まさか見られなくなる日がやってくるとは、と当時は想像だにできませんでした…




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