和歌山県の御坊市を走る「紀州鉄道」。
御坊駅〜西御坊駅間の2.7kmを走る、単独路線としては日本一短い民鉄ですが、この紀州鉄道が廃止されるかも知れない、というニュースが今週初めに報じられました。

大ピンチ「紀州鉄道」2026年中に廃線の可能性も 中国系企業に買収され方針変更、値上げもできず | 経営 | 東洋経済オンライン
大ピンチ「紀州鉄道」2026年中に廃線の可能性も 中国系企業に買収され方針変更、値上げもできず(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

はじめは上記の東洋経済の記事で、渡辺雅史氏というライターが紀州鉄道の鉄道事業部長である大串氏(※)を訪問し、同社の窮状を聞き取った記事を報じていたものです。
(※)記事中では「名前を記事に出すのは勘弁してほしい」とありながら、堂々と名字が出ているのはどうなのか?とも思いますが、「姓名」の「名」を勘弁してほしい、という意味だったのでしょうか…

上記記事によりますと、
2022年12月に中国系企業に買収されてから、不採算である鉄道事業を廃止したい意向
・2024年に廃止の意向を親会社から聞いてから、存続に向けて関係者と話をしている
・終点まで乗車しても180円という格安な運賃を値上げするにしても、申請書を作成するスタッフが長年不在で、消費税率の8%、10%の引き上げ時にも値上げできなかった。
・紀州鉄道の鉄道部門のスタッフは7名
・鉄道事業を継承する会社を探しているが、見つからず、10月20日に本社で話し合いが持たれることになった。
・話し合いの結果、事業譲渡金の話もまとまり、継承事業者を探す猶予ができたが、その間運行費用を削減するため列車の本数を減らす予定
・承継事業者が無ければ廃止となることは変わりない

とのことでした。

紀州鉄道は私も何度か利用しているのですが、この時代にありながら、運賃が長年据え置きだったのが不思議だったのですが、それはどうやら値上げしていなかったのではなく、値上げ「できなかった」のが真相、というのがこの記事で明らかとなり、それだけの人手不足・ノウハウ不足に衝撃を受けた方も多かったのではないのでしょうか。

もっともこの記事自体、取材しているのが「鉄道事業部長」一人だけのようですので、例えば紀州鉄道の社長や、行政機関等への裏取り取材も行われているようではないので、どこまでが事実なのかは、割り引いて考える必要はありそうです。

とはいえ、この記事で紀州鉄道の窮状が明らかになったことから、和歌山県内の地元メディアを中心に、後追いの記事が続けて報じられました。
紀州鉄道が鉄道事業廃止検討・事業譲渡先探しが急務/和歌山県御坊市(WBS和歌山放送ニュース) - Yahoo!ニュース
日本一短いローカル私鉄 紀州鉄道が廃線の危機 - 日高新報
“日本一短い私鉄”紀州鉄道、今になって赤字・廃止危機のワケ。今後の生き残り策は?(トラベル Watch) - Yahoo!ニュース

このように、今週はじめの鉄道関係の話題を占めたこの紀州鉄道ですが、そもそも紀州鉄道側のニュースソースが、相変わらず鉄道事業部長しか無く、会社としての公式見解が明らかになっていないことから、安直に廃止と断言するのは時期尚早である一方、路線の維持が崖っぷち、ということはあながち間違いでもない、というところでしょうか。

今後、この紀州鉄道が存続していくのかどうかは、上記記事での鉄道事業部長の発言が確かなものであるならば、引き継ぐ事業者が見つかるかどうか、というところでしょうか。

一方、並行して走るバス路線もあること、そして短い路線であるが故に自転車等の手段もある中、地域住民の生活を支える上では無くてはならない交通機関か、となると疑問符がついてしまうことも、残念ながら否定できるものではありません。

そんな紀州鉄道を引き継ぐ事業者が見つかるのか、また、見つからない場合は廃止となるのか、または行政からの補助により運営を続けるのか、鉄道ファンとしては今後注目し続けなければならないニュースだと感じた、一連の報道でした。

kitetsu
▲学門駅に停車中の紀州鉄道「KR205」。
元・信楽高原鉄道の車両を譲り受けて運行していますが、格安な運賃の裏には、運賃改定の申請書作成のためのスタッフが不在、という理由があったようです。
厳しい利用状況で、継承事業者を探しているとのことですが、果たしてそんな事業者が見つかるものなのか、今後の動きに注目したいところです。