和歌山県御坊市の新聞である「日高新報」の報じるところによれば、御坊市の三浦源吾市長は、存廃が議論されている紀州鉄道について、その事業譲渡先が決まったことを明らかにしました。

上記記事によりますと、紀州鉄道株式会社と譲渡先の事業者とで事業譲渡に合意しており、今後本契約を結ぶ見通しとのことです。

なお、現時点では譲渡先の事業者名は非公表とのことです。

また御坊市は、6月の議会において、紀州鉄道の「公共交通の価値」「観光・地域資源の価値」「持続可能な運行体制に向けた支援策」を調査・研究するための予算案を追加で提出することとしています。

詳細は、上記報道資料を参照ください。


和歌山県御坊市を走る紀州鉄道は、御坊駅〜西御坊駅間の2.7kmを走る、単独路線としては日本一短い民鉄事業者であります。

この紀州鉄道の存廃問題がにわかに浮上してきたのが、昨年の11月に報じられた「東洋経済オンライン」の記事でありました。

その記事の内容については、下記ブログ記事をご覧いただければと思いますが、記事によれば、継承する事業者を探す一方、引き継ぐ事業者が現れなければ、廃止となることが報じられていました。

(参考)



その後の動向については、紀州鉄道のあり方を話し合う専門部会が設置され、自治体や学識経験者、そして紀州鉄道が協議を実施し、これまで数回部会を開催したとのことです。

(参考)


当該記事では、沿線自治体の御坊市が「事業譲渡の交渉の行方を見守る方針」としており、廃止届けが提出される方針ではないとのことでした。

一方で、交渉が決裂すれば廃止の可能性も十分あったことから、その後の譲渡の行方がどうなるのか、気になっていた鉄道ファンも少なくなかったのではないかと思います。

今回、沿線自治体の御坊市の市長から、事業譲渡先が決定した旨の発表があったことから、この存廃問題はひとまずは「存続」という形で落ち着きそうであります。

一方で、鉄道というモードにとっては少ない利用者や、抜本的な収支改善が難しい状況は、事業者が代わっても変わりありません。

そもそも、この紀州鉄道という短い鉄道路線が、地域の公共交通として、また地域の観光資源としてどのように活用していくのか、という点がどうも見えていなかったようにも思えますが、今回御坊市でもそれらの課題を調査・研究するための予算案を追加で提出することとしています。

御坊市長が言及しているように、「自助努力に加え、公的な支援による持続可能な枠組みの構築も必要」なことは確かなのですが、では「公的な支援」を行うための必要性をきっちり検証し、それこそ地域の資源として持続可能な運営を続けるための仕組みづくりが必要かと思います。


そういう意味では、今回の事業譲渡は、「ゴール」では全然なく、「スタート」の段階でしかないと思います。

ただ、突然の経緯で時間的猶予が無かったとはいえ、こういった形で地域の鉄道の必要性を地域で見つめ直し、その結果必要であれば公的資金で維持していくのは、決して悪い話ではありません。

それに、仮に今回存廃問題が浮上していなかったとしても、そう遠くない将来に議論しなければならないには違いなく、その頃には更に状況が困難になっていたのではないか、と思います。


ひとまず存続の方向が見えてきた「紀州鉄道」。

それを引き継ぐ事業者がどこなのか、というのがまずは注目の的でしょうが、それを踏まえて、今後この紀州鉄道線をどのように地域として活かしていくのか。

御坊市をはじめとした沿線自治体や住民の取り組みに注目しつつ、引き続きこの話題にふれていきたいな、と思います。



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御坊駅に停車中の紀州鉄道の車両。

今回、事業譲渡先が決定しましたが、この路線が引き続き地域住民や観光客にとって必要な路線として持続してくためには、様々な取り組みが必要ですので、それをどのように実現していくか、御坊市を始めとした地域の本気が問われてくるのではないかと思います。

当ブログでも、地元・和歌山の鉄道路線の一つとして、その取り組みを引き続きご紹介していきたいと思います。